カタストロフィ・メシア 作:汐海朔夜
アインとイフが歪んだ会話をし始めた頃、メシアは駆けていた。
セレアによって仲間同士で戦わされていた場所に全力を尽くして戻った彼女は、ある状況を目撃した。
ん?と声を出してしまったメシアが見たもの。
それは──
「行くよー、おりゃーッ! とりゃーッ! 眠れーッ! っすーッ!」
「おい待グァッ! ガバッ! もう正気にゴブッ! 戻っグフゥ!?」
「は〜、これで最後の一人っすね」
…………
どこか他人事のように、棒読みの掛け声を聞き流しながらメシアは心の中で呟いた。
「ゆ、ユキ……? 何してるんだ?」
「あっははは……あ、姫様! おかえりなさいっす!」
──ボゴォッ!
「おいテメふざ──ぐぅあああああああああああああああああッ!?」
そうして、一人の仲間が動かなくなったのだった……。
「ふぅ、ようやく気絶しましたよ……」
そこには。
自称メシアのサポート役のユキが、満面の笑みなのにどこか笑っていないような顔で、一人の仲間をバールで何回もボコしている場面があった。
その周りには、他の仲間達が痙攣&気絶のダブルコンボを決めていて……。
…………え、何これ。怖っ。
メシアは純粋にそう思った。
「いっやー、流石に私も疲れちゃったっす」
「…………何があった?」
まずは状況を把握しようと、メシアはユキに問い掛ける。
「あの変な波みたいなのが私達を操って、その力から解放するために姫様とアインちゃんが立ち去ったとこまでは知ってるっすよね」
「ああ」
「あの後、私は姫様への愛の力で無理矢理"支配"を解いたんすけど」
「……ん?」
「そしたら周りの仲間がお互いを襲ってて、私びっくりしちゃったんす」
「あ、ああ……」
それを、愛の力という訳の分からないような代物で防げるわけが……。
「最初は正気に戻そうとしたんすけど、なんかもうめんどくせぇ、ってなったので、取り敢えず全員をまとめて気絶させちゃおうって、皆をバールで叩き潰しまくって、こうなったっす」
やれやれ……と言いたげなユキに、メシアは全てがどうでも良くなっていた。
「………………そうか、分かった。ありがとう」
めしあ は しこう を ほうき した !
一応は気絶してるだけて一人も死んでないみたいだし……もう、別にいっか!
思考停止したメシアは、そんな結論にたどり着いた。
「姫様〜、頭撫でてほしいっす〜」
「……頭だな。よしよし……」
「んふふ〜」
ハイライトを無くしながら、メシアは虚無の心でユキの頭を撫でる。
……一人も死んでなくて、良かったなぁ
「…………うん、良くやった。いや、本当に」
「えへへ……私は姫様のサポート役っすからね!」
「ん? いや、前から言ってるがそんな役職は無──」
「ふっふーん、姫様に褒められちゃったっすー! わぁーい!」
「……もう、いいか。それで」
アインとイフがお互いギスギスしてるのと同時刻に、メシアは部下とイチャイチャ(?)していた。
謎の解説役「……エッ、何あの子。ユキだっけ? 怖……」