カタストロフィ・メシア 作:汐海朔夜
「──というわけで、連れてきた」
「
〈
廃墟に行ったメシアは、取り敢えずロボ娘もといアインとやらにボロボロの布を着せて連れてきていた。
「ええっと……姫様? 彼女は……その、ロボット、なのですか?」
「そのようだな」
「マジですかっ!?」
「え、ガチで人間じゃないの!?」
「うっわ、完全に現代の技術じゃねぇ……」
困惑している〈
「え、ちょっと身体を触ってみても……」
「
「ぐふっ!?」
アインにさらっと触れることを拒否された一人の男は、吐血したような声を出して崩れた。
「あいつの好みって確か……」
「ああ、ロボ娘だったと思うぞ」
「可哀想に……面白い有様だけど」
団員達はその男を哀れむような、愉しむような眼差しをおくる。
「……私の〈
「
メシアはそんな団員にジト目をし、アインは不思議そうに首を傾げる。
「
「別に触らなくてもいい」
「
「嫌なのはこのポンコツ集団だ」
未だにワチャワチャと、アインというロボ娘の話をしている団員達を指差すメシア。
「……アインのことを話せたし、やるべきことはもう無いな」
「
「
「
アインは訳が分からないというような顔をしているが、実際に団員の女性によって
メシアが試しに一人に食べさせてみたが、悶絶した後に泡を吹いて倒れた。
後に最悪の黒料理事件と呼ばれているそれは……うん、思い出したくない。
「……それより、アインはお風呂に入れるのか? 水とか……」
「
「入れるなら入ってこい。もう沸いてるだろうし……しっかりと女湯の方に行けよ?」
「
「…………は? データとか、無いのか?」
「
どうしようかとメシアは頭を抱えるが、その事について詳しく考えていなかった自分も悪いと思い直す。
「先に風呂場に行って、そのボロボロの布切れを脱いでおけ。私が後から行く」
「
「……マジか?」
無茶振りをしてくるアイン。
絶句する姫壊メシア。
後ろでヒューヒューと茶化してくる団員達。
この場は、完全にギャグ空間となっていた。
■□■
広いお風呂場に、二人の声が木霊する。
「どうだ? アイン」
「……
「此処には沢山の人が居るからな」
今はメシアとアインの二人だけだが、〈
その全員が入れる広さだ。
「さて……」
メシアはアインの隣に寄って、持って来た白色のお風呂用椅子に座る。
「今から身体とか髪の洗い方を教えるぞ。……身体構造が違うから、通用するか分からないが」
「
メシアとアインのお風呂が、今ここで始まった。
「まずは身体を洗うぞ。汚れを落とさないといけないからな」
■□■
「凄いな……」
アインの身体に触れ、観察したメシアは息を呑んだ。
アインはオーバーテクノロジーとも呼べる技術によって魔術と科学を合わせて造られていた。
その精密さは、異常と言えるほど。
それはまるで、
「
「それは無い」
「
このロボ娘、何故こう人間らしいんだ……。
予想外のことが立て続けに起こり、頭が痛くなってきた。
メシアは何時もの調子を崩されながらも、出会ってからずっと疑問に思っていたことを口にする。
「なぁ、アイン」
「
「どうして私がお前のマスターとやらになったんだ?」
そう、そこだ。
「…………
「だから、それが何故だと──」
「
「…………」
はぁ、とメシアは溜息をついて、アインの髪を洗い始めた。
■□■
おまけ
「
「ああ、タオルを髪に巻いて邪魔にならないようにするぞ」
髪の長いアインが湯船に浸かるための方法を、メシアは教えてタオルを巻きつけようとして……。
……他人にやるのは初めてなので、上手く出来ない。
「……まあ、アインは私と違い髪はそこまで長くはないし良いか」
メシアは諦めた。
「
「正直、長さは何でも良いな。……でもな、なんでお前は好意を抱いているんだ?」
「
「……理由なんてないのか?」
「
「……」
「
「別に構わないが……普通、人は何かしら理由があるんじゃないのか?」
「
「……なんか押し付けがましいな」
「
「まあ、好きになる理由なんてないこともあるんだろうな」
メシアは呟きながら、ゆったりと風呂に浸かる。
「まあ、とにかくお前はアインにとってのマスターとやらになったようだし、少しは好意に応えないとな」
「
「いや、私は何かしらお前にしてやりたいことがあるんだよ」
「
「それは……まあ、考え中だ」
「
「そうか?」
メシアは軽く苦笑した。