早いもので四月ももう半ば、
とは言っても、ツインテイルズの活躍のお陰で人的被害は一切ない。アルティメギルの追跡、撲滅、いずれもマッハに片付けていく。
こうなってしまえば地球人類も慣れたもの。連日、テレビやネット等あらゆる媒体で取り上げ話題沸騰。最早、リアルなヒーローショー感覚である。そのうち、暢気に観戦する輩まで出てきそうな勢いである。
これは侵略が日常になりつつある、そんなある日の話。
× × ×
「比企谷君、今度の休日なんですがお時間はありますか?」
夕暮れに染まる生徒会室、雑務が片付きさて帰りますかと鞄を掴んだ所、ふと神堂が尋ねてきた。
「あ、お先でーす」「会長、ファイトですよ♪」「比企谷、爆ぜろ!」
神堂の言葉に何かを察したのか、各々挨拶して帰っていく役員達。いつまでもダラダラ残らずさっさと切り上げていく様は生徒の鑑である。ただ、爆ぜろはなんだよ。俺、副会長ぞ?
「いや、特にないな。むしろ、あったとしても神堂のお願いなら最優先にするまでもある」
天使の為なら有象無象なんぞ二の次三の次だ。とは言っても、身内以外で俺を誘うのは神堂しかいないけど。
「比企谷君はまたそんな事を……こほん」
神堂は俯いてもごもご呟いた後、けぷけぷ咳払いをし言葉を続ける。
「実はマクシーム宙果でイベントがあるのですが、比企谷君も是非ご一緒に如何と思いまして」
神堂が参加するイベントとなれば特撮関連だな。普段なら人混みばかりのイベントなんぞ御免被るが、神堂からのお誘いとあらば吝かでない。
しかし、直近で何かイベントはあったかしらん?ミニイベントかなんかかな。
まぁ、俺も特撮好きとはいえ、舞台挨拶とかそういったイベント関連にはノータッチだからな。俺とは比べ物にならないぐらいにガチな神堂だから、ミニイベントの類にもアンテナを張ってそうだ。
「おう、俺の方は問題ないぞ」
対アルティメギルも、テイルブルーが参戦した事により大分余裕が出てきたからな。この前も元気にブチ倒していたし。むしろオーバーキル気味なまである。
何かあった所で、トゥアールからパク…借りたゾーンメモリ(仮)を使えば秘密基地まで一瞬だしな。
「それは良かったですわ!予定については後ほどメールいたしますね」
嬉しそうにはにかみながら、神堂は胸の前で手を合わせた。あらやだ、可愛い。この笑顔が見れたなら誘いを受けて良かった思う俺ガイル。
そーいや、マクシームってトカゲ野郎との戦いでボドボドになってなかったっけ?
そんな疑問を抱きながらも、イベント当日。天気は快晴、絶好のイベント日和である。
「んじゃ、行ってくるから」
「うんうん、お兄ちゃんが慧理那さんとデートなんて……。順調にフラグが立って小町は感激です」
「デートじゃねぇよ。ただイベントに行くだけだ」
神堂にとって、心置きなく特撮を語れるのは俺ぐらいだからな。他意はないだろ。
あと、フラグってなんだよ。死亡フラグでも立ってんのか?デート……死亡フラグ……
「や、いきなり何涙ぐんでんのさ」
「何でもねぇよ…。それよりなんかあったら連絡入れてくれ」
「はいはい、りょーかい。ま、愛香ちゃんもいることだし、大丈夫でしょ?」
そう思うが相手はあの変態どもだ、何が起こるか分からん。まぁ、折角の神堂とのお出かけだ。余計な茶々を入れようものなら激情態になって殲滅するまでもある。
「とにかく、お兄ちゃんは余計なこと考えずに慧理那さんをエスコートすること!」
そう言った小町に追い出され、集合場所であるマクシーム宙果に向かうのであった。
さて、マクシーム宙果といえば我が家から車で二十分と中々の距離である。歩いて行くのは以ての外、自転車を使うにも些か面倒。
だが、俺にはこれがある。そう思いながら自宅に併設されているガレージへと向かう。自家用車の隣りにある愛車━━━XR250を引っ張り出す。そう、バイクである。
特撮好き、特にライダーに憧れるものとしては是非ともバイクを乗り回してみたくなるならな。十六になったらすぐに中型免許を取った。丁度夏休みだったしな。
ヘルメットを被り颯爽と跨る。オフロードタイプ故に車高は高めだが、俺自体そこそこ身長はあるから問題ない。エンジンに火を入れると、途端に響く軽快な音と心地よい振動。排気音をBGMに目的地へとマシンを走らせるのであった。