「待たせたな!」「大丈夫?怪我してないわよね⁉」
そんな言葉と共に飛び込んでくるツインテイルズ。息を切らせてという表現が相応しい状況である。まぁ実際は、二人共フィジカルモンスターな上にテイルギアの恩恵もあるからそんな事はないが。
「待ってたぜ、ヒーロー」
地べたに尻をついたままで些か不恰好だが、サムズアップをして答える。安心させるには、普段通りなんとも無い様にするのが一番だからな。いやまぁ、実際なんとも無いんだが……
「おぉ………、テイルレッド…………。究極のツインテールがこれ程のものとは………。美しい、あまりにも美しい!!」
ツインテイルズの登場により蠍野郎の意識はそちらに向かう。あまりにも熱心に見つめて隙丸出しだ。無用心なことこの上ないが、俺の攻撃なんぞ脅威ではないってことですかそうですか。
まぁ、何にせよチャンスには変わりない。今の内に抜け出しとくか。
「よっと」
身体のバネを使って起き上がる。ついでに目の前のデカブツを蹴飛ばしておく。
「ぐっ………、おのれ!」
大して力も入っていない一撃だったが、気もそぞろな奴はモロに喰らい無様によろめく。それでもダメージらしきものは一切入っていないのが憎たらしい。
無駄なまでの頑丈っぷりに舌打ちしつつ、ツインテイルズと合流する。
「ナイスタイミングの到着だったぜ、サンキューな」
「あの放送は八兄さんの仕業?あんなの初めてだったから、何事かと思ったわよ」
俺の目論見通り伝わったみたいだな。これで誰も気が付かなかったら、マジ詰んでいた。
「それと、連絡が付かない、って小町、泣きそうだったわよ?………安心なさい小町、ピンピンしてるわ………。帰ったらちゃんとフォローしときなさいよ」
テイルギアの通信機能で秘密基地にいる小町に現状を伝える。
そういや、スマホ、荷物と一緒にメイドさんに預けてたわ。妹を心配させるとはお兄ちゃんの名折れだ。これも全ては蠍野郎って奴の仕業だ。絶対に許さねぇ!
「さっきから気になってたんだけどさ。手に持ってるそれ、何だよ?」
と、レッドが俺の手元を指差す。ああ、持ったままだったか。
「何って、ブレイザーブレイド・レプリカ(大破)だ。こいつのお陰で間一髪乗り切れた。サンキューな、レッド!」
「いや、俺に言われても……」
「大体、なんのイベントよ。なんかレッドばっかりなんだけど」
ぐるりと、会場を見回したブルーが言う。アルティメギルとのゴタゴタで多少とっ散らかってはいるが、それでも会場の至る所ではレッドを題材にした制作物が主張している。
「レッドオンリーイベントだとよ。良かったな、レッド。お前を応援してくれるファンはこんなにいるぞ」
「イベントって、行動力早すぎだろ……」
応援されて嬉しいやら、自分が題材のイベントで恥ずかしいやらで、なんとも複雑そうに苦笑いを浮かべるレッド。
「レッドオンリーって……、ブルーはどうしたのよ!」
反面、自分がいないブルーは大変ご立腹だ。
「まぁ、ブルーはデビューしたてだし、間に合わなかったんだろ。これからだこれから」
そう言ってフォローをしとく。なんか万人受けしず、コアなファンしかつかなさそうだけど。
「ええい!オレを足蹴にした挙げ句、テイルレッドと親しげに話しよって!さっきから貴様はなんなんだ!」
幼馴染みのグダグダなやり取りにより完全にスルーされていた蠍野郎が地団駄を踏む。二人もそういや戦闘中だったわ、と武器を構えた。敵なのに忘れられるって、こいつお嬢様属性じゃなくってボッチ属性の間違いじゃないか?
「まぁ、いい。テイルレッドが来たのならばグ・ミーンには用はない。オレの名は「そいつは蠍野郎だ。見ての通り騎士気取りのイタい奴だがかなり硬いぞ。現に俺の蹴りではびくともしんかったからな。それと、
さっきまでの足止めで判明した事を伝える。初見殺しみたいな技でも、種さえ分かればどうとでもなるからな。なお、初見の俺も殺せなかった模様(^U^)。
あと、蠍野郎が何か言いかけていたみたいだが、口を開いた所で出て来るのは変態性癖の暴露なだけだ、わざわざ耳を傾ける価値などない。
「OK!ちゃっちゃと倒しちゃうから、下がってて!」
「屋内だから俺は派手に動かないほうがいいか。ブルー、援護するぜ!」
各々の武器を構え、蠍野郎へと突っ込む二人。
「掛かってくるがいい!種が割れた所でオレの妙技は破れん!」
それに対し、蠍野郎は悠然と剣を掲げ待ち構える。ご自慢の鎧で防いで、必殺剣でカウンターを決めるつもりなんだろう。
だが、甘いんだよ。マッ缶よりも甘々だ。俺一人相手に良いようにあしらわれていた輩が、上位互換二人相手に立ち回れるかってんだ。
「ふっ……」
ブルーのウェイブランスが奴の鎧と鎧の隙間━━━左肩の付け根に突き刺さる。針穴に糸を通す様な妙技だが、そこは生まれる時代を間違った女、ブルーの技量を以てすればお茶の子さいさいである。
「ぐぅぅ………、だがまだだ!」
ご自慢の防御を越えられ怯むも一瞬、突き刺さった槍をそのまま抑え込み残った片腕で剣を振るう。
だが、まだなのはこちら側もだ。
「でりゃあぁぁ!」
ブルーの影に隠れていたレッドが赤熱化したブレイザーブレイドで腕ごと剣を弾き飛ばす。
「どうだ!剣が見えなくても腕に当てれば関係ない!」
「くぅぅぅ………おのれぇぇぇぇ!」
必殺剣も防がれ武器も失い、まさに満身創痍。これで決まりだ。
「トドメよ!エグゼキュートウェイブ!!」
ウェイブランスを突き刺したまま
「しっ……!」
駄目押しとばかりに蹴り飛ばし、ウェイブランスを引っこ抜く。やだ、ブルーさんってば超バイオレンス。
「ああ…………どうせなら、こんな……胸の慎ましい蛮族じゃ、なく…………お淑、やかなお嬢様………に、やられた………かった……………」
「なんだとゴルァ!」
そのまま壁に叩きつけられ、お馴染みの今際の戯言をほざきながら蠍野郎は爆散していった。つーか、命知らずな事を言いやがって。いや、死んだけどさ。
◇ ◇ ◇
「比企谷君!お怪我はありませんか?」
蠍野郎を片付け、ツインテイルズと外に出れば神堂が駆け寄ってきた。神堂が上手いこと掛け合ってくれたから、こうして大した被害がなく済んだ。
「おう、神堂。連絡、サンキューな。お陰で助かってぇえええええええーーーーーーー!?」
「良かった………。本当に良かったですわ………」
神堂はそのまま俺に抱きつき、良かったと繰り返しながら顔を埋める。
え?何、この状況。なんで俺、神堂に抱きつかれてるのん?あれか、実は蠍野郎にやられて都合のいい夢でも見てんのか?
「あー、神堂。見ての通り俺はなんともない。むしろなんともなさ過ぎてもうひと暴れ出来そうなまである」
だからニヤニヤ見ているブルーは後で覚えとけ。なお返り討ちに合う模様。返り討ちに合っちゃうのかよ。
「確かにイベントは滅茶滅茶になったが、人的被害は一切なし。これも神堂のお陰でツインテイルズが来てくれたからな。所謂、終わり良ければ全て良し、って奴だ。だから神堂は笑顔でいてくれ。その方が、なんだ、俺も嬉しい」
我ながら気障ったらしい台詞で羞恥心がクライマックスだが、そうも言ってられん。神堂を泣かせる事は、おばあちゃんが言っていたやってはいけない事の一つだからな。
神堂の肩を掴みやんわりと剥がしてから、ハンカチ(黒緑のツートン)で涙を拭う。
「ありがとうございます。ツインテイルズのお二人にはなんとお礼を申し上げれば。こうして皆様は無事ですし、わたくしの大切な人も怪我一つありませんわ」
うん、大切な友だちって意味だよね。八幡勘違いしちゃうからやめてね。あと、ニヤニヤ見ているブルーは後で(ry
「気にしなくていいぞ。アルティメギルを倒すのが俺達の使命だからな」
「そうそう。むしろ今回はあたし達が気づくのが遅れたぐらいだからね」
「それでも皆を代表してお礼を申し上げます。本当にありがとうございました」
そう言って深々と頭を下げる神堂。後ろに整列して主人に倣うメイドさん's。
「ありがとー」「助かったよ!」「応援してるよー」「生レッドたんhshs」
歓声を上げる参加者一同。そんな声援を背に基地へと帰還するツインテイルズ。
てんやわんやしたものの、こうして神堂とのお出かけは無事(?)終わったのであった。
なお、帰還したら案の定小町は大層ご立腹だった。すわ、これはお説教コースかと、正座でスタンバイしたが、愛香の入れた茶々(神堂とのやり取り)により、ご機嫌は一転。今日はお赤飯だね!と小豆と餅米を買いに飛び出していった。炊くのは俺なんだけどね。
まぁ、何にせよ助かった。さっきニヤニヤ見ていたのは許してやろう。いや、小町にバラしたからやっぱ許さない。
オリジナルエレメリアン
スコーピオンギルディ
身長:225cm
体重:337kg
武器:レディカリバー
必殺技:そよ風の如きお嬢様の溜息
お嬢様属性
自称・アルティメギルの騎士。ドラグギルディ部隊では若手。スワンギルディは同期で親友。
やや尊大で熱しやすいところもあるが、実直ではあるので古参からはスワンギルディと同様に目をかけられている。
そんな部隊員の為に属性力を使いこっそりとテイルレッドグッズを買いに行ったが八幡に見付かった。適当に属性力を奪って帰ろうとしたが、相手がイレギュラーの塊だったのが運の尽き。善戦された挙句、ツインテイルズまで呼ばれ敢え無く敗北する羽目になった。