俺がお兄ちゃん属性なのはまちがっていない。   作:八重垣八雲

23 / 33
4-3 ツインテール・ディサイシヴバトル

 『グランドブレイザーーーーーーーーー!!』

 

 『何故わからぬ!うさぎは寂しいと死んでしまうという儚━━━━』

 

 開幕の必殺技ぶっぱで、断末魔ごとあえなく消えていくエレメリアン(うさぎ野郎)。こんな人気のない山の中に現れたから罠の一つや二つあるかと身構えていたが、この有り様じゃどうやら杞憂だったようだ。

 

 つーか、ほんとに何しに来たんだよ、こいつ。まさかラビット属性が行き過ぎて、リアルなうさぎを探しに来たってわけじゃないよな?いくらなんでもケモナーレベルが高過ぎるぞ。いや、こいつらも見た目は獣に近いから違和感はないのか?純愛ってやつなのか?だが、うさぎの方からしたらたまったもんじゃないだろうし━━━

 

 「ごめん!遅れた」

 

 変態共の変態性癖にうんうん唸っている内に、通信を確認した愛香たちがやって来た。

 

 「ん?ああ、大丈夫だ。変態ならレッドがもう片付けた」

 

 袋小路に陥りそうな思考を中断し愛香に答える。つーか、なんで真面目に性癖考察なんかしてんだよ。近年稀に見る無駄な時間だったわ。

 

 「んじゃ、レッド転送するねー」

 

 席に着いた小町が帰還の準備をする。

 

 レッドは思いの外あっさり片付いた事に気が抜けたのか、ボーッと空を仰いでいる。おもいっきし伸びまでして、油断しすぎだろ。 

 

 「おう、頼━━━」

 

 俺の言葉を遮るように突如鳴り響く警告音。またアルティメギルが出現したのか?今度は何処だ。

 

 「出現場所は━━━同じ場所⁉」

 

 「レッド!」

 

 場所が判明すると同時に何かがレッドに向かって落ちてくる。それを咄嗟に転がり躱す。

 

 『な、なんだ!』

 

 立ち込める土煙。その中に浮かび巨大なシルエット。

 

 『………済まぬ。不意打ちになるとは思わなんだ。お主ならばこの程度、易易と捌くと思ってな』

 

 低く響き渡る重厚な声。画面越しにもひしひしと伝わってくるプレッシャー。今まで対峙して来た奴らとは違う。こいつは只者じゃない。

 

 『我が名はドラグギルディ!全宇宙においてツインテールを愛する心に右に出る者はないと自負している!』

 

 ………やっぱ、おんなじバカ者だわ。

 

 「ドラグギルディ………。親玉のお出ましってわけか」

 

 全世界への宣戦布告した時に出て来た幹部っぽい偉そうな奴だな。おそらく前線司令だから綾小路律子ぐらいのポジションだろうが、纏うオーラはゾル大佐に匹敵する。ようは強敵って事だ。

 

 「あたしも出るわ!」

 

 ブルーに変身した愛香がカタパルトに乗り込む。

 

 「気をつけろ!明らかに今までの奴らとは違う」

 

 「分かってる」

 

 ブルーは頷くと、レッドの元へ翔んで行った。

 

 「今までにない強敵だ。俺たちもしっかりバックアップすんぞ」

 

 「あいあい、了解でありまーす!」

 

 ビッと敬礼をする小町。反面やけに静かでじっとモニターを見つめるトゥアール。

 

 「なあ、小町。トゥアールの奴やけに静かなんだが、なんかあったんか?」

 

 「なかったと思うよ。さっきまで愛香ちゃんにしばかれてたし」

 

 ならいつも通りか。トゥアールの事ばかり気にしても仕方ない。今はあの強敵をどう倒すかが重要だ。

 

 画面上ではレッドとドラゴン野郎が壮絶な斬り合いを繰り広げている。流石は幹部級のエレメリアンといったところか。今まで数多のエレメリアンを屠ってきたレッドの一閃を容易く受け、お返しとばかりにその巨躯に似合わぬ俊敏な太刀筋で翻弄している。蠍野郎のへっぽこ剣とは大違いだな。

 

 十数秒の斬り合いの後、仕切り直すかの様に距離を取る二者。

 

 『ドラグギルディ……。お前の、剣は………』

 

 睨み合いながらもレッドが口を開く。まさか今までの斬り合いで見切ったのか。端から見ても柔剛兼ね備えた厄介な剣技としか思えない。

 

 『ほう、僅か数合の結び合いで見きったか!そう我が振るうわ………』

 

 それに対し嬉しそうに答えるドラゴン野郎。

 

 『『ツインテールの剣技(けん)!!』』

 

 あまりにも馬鹿な回答に思わずずっこけそうになる。小町も隣でないわー言ってるし。到着したブルーものっけからのお馬鹿発言で着地ミスってるわ。

 

 『テイルレッド……恐るべき幼女よ!我が神速の剣、これ程早く見切ったのはお主が初めてぞ!』

 

 『見くびるなよ。どんなに早かろうが、心の形をなぞっているなら見切れるに決まってるぜ!俺はいつだって心にツインテールを映して生きてるんだからな!』

 

 これまた阿呆な事で啖呵を切り合う両者。かつてない強敵で雪白した状況のはずなのに、どんどん気が抜けて来るんですけど。

 

 「お兄ちゃん……あの二人は何言ってんの?」

 

 「変態同士の会話だ。理解しなくていい」

 

 と、総二級の(類まれなる)変態と言えどその実力は本物でその絶技にレッドは防戦一方。ブルーも割り込む隙がなく手を拱いている。なんとも厄介な奴だ。

 

 『見事だ!見事なツインテールだ!敵として出会ったのが口惜しい!』

 

 かと思えば、ツインテールに目を奪われ褒めだす始末。見た目は傷だらけで歴戦の古強者なのに中身は総二、残念にも程がある。

 

 『気になるか、この傷が』

 

 どうやらレッドも傷跡に注目していたようで、それに対し嬉々として説明しだす。

 

 『そして見よ!このドラグギルディ、背中に傷がないことを誇りとしている!』

 

 自らの背中を指し示し語るドラゴン野郎。背中の傷は剣士の恥だ、ってか?どこの海賊狩りだよ。

 

 『いつか出会う至高の幼女に背中を流してもらう為この背中は守っている!』

 

 くっそくだらん誇りだった。替わりに俺が硫酸でも流してやろうか。

 

 『ブルー、分かったぞ。こいつの属性力(エレメーラ)が』

 

 『え、ごめん、何?』

 

 そんなぐだぐだした会話の中で、レッドは何かを確信したのか語りだす。すげぇな、俺なんか聞き流していたぞ。ブルーに至っては半分寝てたし。

 

 『ドラグギルディ……お前は、正真正銘ツインテール属性を持つエレメリアンなんだな!』

 

 『然り!ツインテール属性は共鳴しあうものなのだ!』

 

 『共鳴だと⁉俺達が!!』

 

 スタンド使いかよ。

 

 『それって要するに“類は友を呼ぶ”ってやつでしょ……』

 

 心底呆れた様なブルーの声。ご尤もだ。

 

 だがしかし、最強の属性力と呼ばれるツインテール属性のエレメリアンなんだ。即ちスペックはレッドと同等。加えて数々の世界を侵略して来ただけあって、実戦経験は比べ物にはならない。

 

 対してこちらは平和なご時世の日本生まれの高校生。実戦もトカゲ野郎が初戦。それまでは精々、俺や愛香と手合わせするぐらいなもんだったからな。まぁ、その愛香の身体能力自体がコイツに匹敵するぐらいなんだが……

 

 だが、属性力が物を言う世界。いくら身体能力が優れていてもブルーの属性力では突破は難しい。なんやかんやいい感じに二人のパワーが合わさってくれればいいんだが………

 

 訪れたかつて無いピンチ(約二週間ぶり)に手を拱く俺だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。