俺がお兄ちゃん属性なのはまちがっていない。   作:八重垣八雲

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5-2 その少女、お嬢様でヒーロー!

 「さて、テイルギアの対策についてはここまでにしておきましょうか。八幡さんも来たことですしこちらのアイテムをお渡しします」

 

 トゥアールはそう言うと白衣のポケットよりぬるりとパンドラパネルぐらいの大きさの箱を取り出した。つーか、そのポケットどうなってんだ?あれか?ライダーが変身前にベルトやガジェットを仕舞ってるのと同じ原理なのか?何それ凄い羨ましいんですけど。

 

 「ツインテール部始動の記念に開発したツインテイルズ用のツールです。小町さんには後ほどお渡しします」

 

 開かれた箱の中には長方形の平たい板が並んでいた。小町の分もあるのか。ありがたい。

 

 「おお!」

 

 目新しい機械に総二が瞳を輝ける。分かるぜその気持ち。男だったら新しいガジェットを見るとこうワクワクするよな。

 

 「高速性能通信端末、名付けて“トゥアルフォン”です!」

 

 びしりとその豊満な胸を貼るトゥアール。

 

 「………あんた、名付けて恥ずかしく思わなかったの?」

 

 そのネーミングセンスに愛香はげんなりした様子だが、

 

 「いいえ、微塵も思いませんよ」

 

 当の本人はどこ吹く風だった。

 

 「まぁ、名前を冠するのは特撮あるあるだしな」

 

 戦極ドライバーなんかは最たるものだろ。あ、なんかトゥアールが戦極凌馬に見えてきた。

 

 トゥアールはスペックを説明しだす。地下だろうが宇宙空間だろうが圏外にならない通信機能に、変声機能、成分解析機能その他諸々、さらにはバージョンアップまで可能となるとはまさに特撮に出て来る夢のガジェットである。

 

 「そして、このトゥアルフォンの一番のウリは“通信内容をリアルタイムに暗号化出来る”点です。声に関してはイマジンチャフの欠点でしたから」

 

 これまたさらっととんでもない事を言い出したな。

 

 「それは凄い!」

 

 「え?どういうことよ?」

 

 やはりこういった事に理解の高い総二はその技術の高さを絶賛する。反面、愛香は困惑気味だ。仕方ない、ここはお兄ちゃんが説明しよう。

 

 「ようするにだな、実際話していた事とそれを近くで聞いていた人には違って聞こえるって事だ。例えばだな、総二がトゥアルフォンを使って公衆の面前で『アルティメギルが出たって!』て叫んだとするだろ?その声はトゥアルフォンを介してならそのまま聞こえるが、周りの人間には『ツインテール写真集の発売だって!?』って聞こえるってわけだ。そうだろ?」

 

 ざっと説明して、トゥアールに確認をする。これで違っていたら黒歴史の積立だな。

 

 「ええ、合っていますが……相変わらず完璧すぎて引きます」

 

 失礼な。

 

 「助かるよトゥアール。正体がバレないようにするのは色々とストレスが溜まるからな。通信関係がクリアーされるのは凄く大きい!」

 

 その恩恵を一番受けるであろう総二は大絶賛。

 

 「えへへ〜ご褒美に胸を撫でてください」

 

 想い人からのお褒めの言葉にトゥアールは蕩けた表情を浮かべる。いや、それセクハラだからね。

 

 「もっと詳しく教えて欲しいんですけどー!」

 

 そこは愛香が許さない。俊足のガードベントで総二とトゥアールを分断した。

 

 「まぁ、いいですけど。総二様、試しに私にかけてください。使い方は普通のスマホと変わりません」

 

 トゥアールの依頼により、総二がトゥアルフォンを操作する。

 

 「アルティメギルが、(ツインテールツインテールツインテール、)出たって!(ツインテール!)

 

 「急いで(あは〜ん、私トゥアールちゃん!)出撃して(今貴方の後ろで)下さい(スケスケの下着で)(おっぱい)総二様!(見せてるの)

 

 …………………………これは酷い。

 

 「ちょっと何よ総二の変換!まるで古代ツインテール語じゃない!」

 

 「総二様のツインテール好きはもはや周知の事実ですので、違和感はないかと」

 

 「いや違和感しかねーよ。流石に総二もここまでやばくはないぞ」

 

 そもそも古代ツインテール語ってなんだよ。ツインテールしか言ってないじゃん。どうやって会話するんだよ。

 

 「………古代ツインテール語か。大学に進学したら専攻してみたいな」

 

 おい、総二。

 

 「………次は俺がやってみるか。愛香、かけるぞ」

 

 「いいわよ」

 

 俺もトゥアルフォンを手に取り555キーを入力、もとい電話帳を呼び出す。使い勝手は普通のスマホと変わらないな。あとでアプリを入れ直しとくか。

 

 「変態(なに、小町の可愛いさを)どもの(聞きたいだと?)お出まし(そうかそうかそれは)だ。(いい心掛けだ。)さく(まずはあの天真爛漫の笑顔)っと(だな。キラキラ輝く)潰す(瞳にチラリと覗く八重歯、)(実にプリティー。次に━━━)

 

 「了解、(ヴェァハハハハハ、)さっさと(生肉が食いてぇ!)片付け(生がいいんだよ生が!)るわよ(なんたってアタイは)(ビッチだから!)

 

 ………愛香の大丈夫か?また、トゥアールぶっ飛ばされるんじゃね?

 

 「んで、俺はなんて言ってた?」

 

 「ひたすら小町の事を惚気けていたぞ」

 

 なんだ、何時もの俺と変わらないなじゃないか。何も問題ないな。

 

 「うん、愛香さんのも問題ないですね。ばっちり変換されてましたよ」

 

 いけしゃあしゃあと宣うトゥアール。

 

 「ほう、どれどれ?」

 

 そう言うと愛香は自分のポケットから今まで使っていたスマホを取り出して操作をし始める。数秒後流れる音声。あらやだ愛香ちゃんばっちり録音していたのね。

 

 「おらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 甲子園球児もびっくりの投球でトゥアルフォンを壁に叩きつけた。おいおい、壁にめり込んでるじゃないか。ここの壁、見た目はそのままだけどトゥアールの謎科学で強化されてんだろ。どんだけ恨み()込めてんだよ。

 

 「トゥアルフォンがーーーーー!いずれはバージョンアップしたらテイルブレスと連動して変身携帯になるはずでしたのにーーーーーー!」

 

 何その素敵仕様。いずれじゃなくて今直ぐしてくれてもいいんだぞ。

 

 「何が変身携帯よ!こんなのただの変態じゃない!」

 

 「落ち着けよ、愛香。実際役立つんだから変換音声の部分だけ直してもらえばいいだろ?」

 

 なんとか愛香を宥めようとする総二。それを横目に壁からトゥアルフォンを引っこ抜く。凹みどころか傷一つない。アプリも問題なく動く。愛香の投球で無傷なんて、エレメリアンの連中より頑丈じゃね?

 

 「ほれ、トゥアルフォンは無事だ。用が済んだならそろそろ帰るぞ。続きは秘密基地でしろ」

 

 全員に退室を促す。いつまでもグダグダくっちゃべってたらきりがないからな。

 

 「「「はーい」」」

 

 おう、いい返事だ。

 

 四人揃って帰路につく。今日は朝から色々あったな。アルティメギルの出現から部活新設、神堂の事もある。流石に疲れた。今日はゆっくり休みたい。

 

 だが、この後もうひと騒動あるとは知る由もなかった。

 

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