小町の笑い声を引き裂くように突如鳴り響く警告音。最早条件反射なのか、小町はその音を聞くと笑うのをやめ即座にモニターの前にかじりついた。
この音が鳴るという事は十中八九アルティメギルが出たことだ。普段ならまた性懲りもなく出やがってと思ったとこだが、小町の馬鹿笑いが止まったんだ、今回だけはGJとだけ言っとく。
「エレメリアン反応を確認したよ!………これは、凄い
「おそらくは、ドラグギルディの様な幹部クラスの敵が現れたのです」
小町の報告から直ぐに解析に移ったトゥアールから補足が追加される。幹部クラスが二体同時、絶体絶命のピンチと言われてもおかしくはない。だが━━━
「望むところよ!今ならどんな奴にだって負ける気はしないわ!」
「その意気だ、愛香!行こうぜ!」
総二達のやる気は十分。全力全開、すぐさまテイルオンすると駆けて行った。まったく頼もしい限りだ。
「俺も念の為にスタンバっとくわ」
転送されていく二人を見送りながらも、イマジンチャフ付きメットを手に取る。
あいつらだけでも大丈夫だとは思うが、勝負は水物というぐらいだから何があってもおかしくない。特に今回は幹部級だしな、つまりはド級の変態って事だろ。ドラグギルディは総二と波長が合ったから特に問題はなかったが、そんな奴ばかりとは限らん。むしろ純粋なツインテール属性の方が貴重なまである。あんまり特殊過ぎる性癖が出てくるなら、保護者フィルターとしてチェックを入れんとな。
「心配性だねー」
呆れたように小町は言うが、そんな事ぐらい自分でも分かってはいる。だが、こいつらが危ない目に会おうもんなら、身体が勝手に動いちまう。歳下を守護る為に全力を尽くす、お兄ちゃんってのはそう言うもんだ。
それに、エリートも言ってたろ?念には念を歯には歯を、って。え、意味は何だって?徹底的に報復しろって事じゃねーの。知らんけど。
「八くん、出撃するなら、これを着てって」
転送装置に向かおうとする俺に、未春おばさんが何かを渡してくる。何これ?
「ていうか、お兄ちゃんそんな格好で戦うつもりなの?」
小町に言われて自分の姿を見る。今の俺の格好は天道総司のオフスタイル、ようするに作務衣に下駄履きだ。流石にこれは薄着すぎるか。
「いくら八くんでも流石にその格好はどうかと思うのよ」
渡された物を拡げてみれば上下がひと繋ぎになった服、所謂ツナギだった。それも普通の野良作業用ではなく随所に刺繍がされている。特に背中にはツインテールの紋章とツインテイルズ至上主義の文字が。特攻服かな?
「ありがとうございます。でも、大変だったんじゃないんスか?」
流石に服飾まで手を出してないから詳しいことは分からない。だが、ここまで細かく刺繍がされていれば相当手が込んでいると見てわかる。専門業者が作ったと言ってもいいレベル。
「大した事じゃないわよ。それにトゥアールちゃんがミシンを改造してくれたから捗ったわ〜」
安心(?)と実績のトゥアール製を使ったとはいえ、このクォリティはそう簡単にできるものではない。今着ている悪の女将軍司令服もそうだし。今なお成長し続ける厨二病属性は伊達じゃないって事か。
「良いじゃん!さっそく着てみなよ!」
と、小町も絶賛。
貰った服に着替える為、更衣室代わりにトゥアールの研究室へと入ると、早速とばかりに袖を通す。成る程、ツナギというものは初めて着たが、割とゆったりとした造りとなっており動きを阻害するような事はなかった。また、靴代わりにと足先に保護プレートの付いた地下足袋まである。至れり尽くせりだな。
だが、こうしてツナギを着ると、特撮ファンとしては佐藤太郎が思い出させる。お披露目の際にはあの台詞を言おうかな………
「着替えたぞ。アルティメギルを倒したら夜は焼き肉っし『我が名はクラーケギルディ。貴女の美しさに魅せられたのです。我が愛を受け取って頂きたい、
と、渾身のネタを披露しつつ戻ってみれば、ブルーがエレメリアンに告白をされていた。いや、一体何があった!?