表向き一般村人ビーの冒険手記   作:タータスタータ

1 / 4
第1話 9日目、10日目

 僕は、物語の主人公に憧れた。

 

 ピンチに駆けつけ、様々な人を救い、世界を平和にする。

 見知らぬ場所、見知らぬ魔物、見知らぬ世界。

 様々な冒険を山あり谷ありで駆け抜けていく主人公に、僕は憧れたんだ。

 

 だから。

 

「村を出て! この剣一本で成り上がるぞー!」

 

 僕はお父さんの部屋に置いてあった錆びついた剣を、日の出の太陽に掲げて誓う。

 

 主人公の旅立ちは、やっぱり日が昇る早朝だよね! 

 

「にぃー?」

 

 っと、妹が起きてしまった、もっと静かにするべきだったか。

 まぁ、妹ならいいかな。

 

「おーくのーおやぅめー?」

 

 僕は声を潜めて妹に話す。

 

「いいや違うよ、僕は今から旅に出るんだ!」

 

「たにぃ? どぅてー?」

 

 妹は頭を左右に揺らしながら聞いてくる。

 

「この間行った所で吟遊詩人さんが話していたんだ、主人公は小さな村から飛び出して、魔物を倒したり人を助けて、最後には世界を救うって!」

 

 僕の住んでいる村は、辺境の谷底にある小さな村だ。

 ここから近くの街までは徒歩で10日くらいかかる。

 

「おおー! ……お? にぃーいぁおぁーじー「つまり! 小さな村に住んでる僕は! 主人公になれる! だから行ってくるね!」うー? うー? ……うー! いーかりゅ?」

 

「うーん、しばらくは帰って来ないかな」

 

「しばーぅ? いっか!」

 

「ううん、もーっと長い間帰って来ないかな」

 

「おー! なーぃおーくのーおやぅめ! おやぅめばんばー!」

 

「うん! 違うけど、頑張ってくるよ!」

 

「ばんばー!」

 

 妹の応援を背に、僕は旅出つ。

 

 

 ここから、僕の剣での成り上がり主人公物語が始まる! 

 

 きっと、街に着くまでにも魔物と戦ったり! 人を助けたり! たくさんの物語が僕を待っているんだ! 

 

 さぁ、行こう! 輝かしい未来に向かって! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1日目、魔物もいなくて、人もいなくて、何もなかった。

 

 ま、まぁ、まだ旅立って1日目だし、村からそんなに離れてないし、こんな所に人はいないよね! うん! 魔物は当然居ないけど仕方ないね! 

 

 2日目、魔物もいないし、人もいないし、何もないし。

 

 そう簡単にはイベントとかは発生しないよね! 

 

 3日目、魔物もいない、人もいない、何もない。

 

 そろそろ何かあってもいいんじゃないかなー? ワクワク! 

 

 4日目、魔物もない、人もない、何もない。

 

 早く何か来ないかなー? 

 

 5日目、魔物、人、何もない。

 

 そろそろくるか!? 

 

 6日目、魔物×人×何×

 

 まだかなまだかなー? 

 

 7日目、魔物人何無い

 

 そろそろ街についちゃうよー? いや、街付近でこそ何かあるよね! きっとそこで巻き込まれて大変な目に合うんだろうなー! 

 

 8日目、魔人何無

 

 ついちゃうよ? そろそろ街についちゃうよ? どうしよう? イベント待ちでもっと寄り道する? えー、でも食料とかもあるし、自分からイベントを探しに行くなんて主人公のやることかな? やっぱり巻き込まれてこそ主人公! 真っ直ぐ街に行ってもイベントはやってくる! そう信じてる! 

 上を向いて歩こう! 

 

 見上げた先には、青い鳥が飛んでいた。

 

 9日目

レースフルト領主、フランクリン・レースフルトの精霊封印化実行

 10日目

 

 ついちゃった。何もなかった……

 いや! ここから! ここからだから! 街についてからが本番! 人が沢山いるってことはそれだけトラブルも多いし! 山あり谷ありのイベント盛りだくさん! バンザーイ! 

 

 街に入る入り口で一悶着あったり! 

 

「止まれ、子供が一人? ……おい、身分の証明できるものはあるか?」

 

「あ、これです」

 

「これは……ああ、どうぞお通りくださいませ」

 

「あ、はい」

 

 何もなかった……

 

 切り替えていこう! 

 

 冒険者ギルドで冒険者登録しに行ったら、いかつい人たちに絡まれたりとか! 

 

 ギルドにやって来た! 受付に着いた! 

 とりあえず受付のところにいるキレーなおねーさんに話しかけよう! 

 

「あの」

 

「君、どうしたの? 何か依頼かな? それとも冒険者登録かな?」

 

「あ、登録です」

 

「そうなのね、じゃあ色々聞いていくね? 文字は読み書きできる?」

 

「あ、はい」

 

「あら、小さいのにすごいわね、じゃあこっちにきて……ここに書いてあることをしっかり読んでから、この紙に色々書いてもらえるかな? 大丈夫?」

 

「あ、はい」

 

「じゃあ書き終わったら呼んでね、次の方ー? 依頼ですか? 登録ですか?」

 

 カキカキ…………

 

「あの、はい」

 

「あれ? もう書いたんだね、ちょっと待っててね、このあと色々しけ……ん……成る程、承りました、これであなた様も冒険者です」

 

「あ、はい」

 

「冒険者証は身分の証明にも、あ、いえ……分からないことがありましたらいつでも対応しておりますので、お気軽にご相談ください」

 

「あ、はい」

 

 絡まれなかった……

 

 うーん、イベント、何も起きないなー。

 僕にはマグレインみたいな巻き込まれ主人公は無理かも……

 ある程度は自分からトラブルに巻き込まれに行かないとなのかな? 

 

 つまり! 情報集めだ! 

 

 というわけで! やってきました酒場! 

 情報集めといったら酒場だよね! 

 

「注文は?」

 

「あ、ミルクで」

 

「……」

 

 さて! 他の人に話を聞きにいこう! 

 

 キョロキョロ。

 

 ……うん! やっぱり、耳をすませてお話を聞こう! 

 

 ちょ、ちょっと厳つい人が多いから及び腰になってるわけじゃ無いヨ? 話しかけに行くのが怖いわけじゃ無いヨ? ホントダヨ? 

 

 ……耳をすませてー、盗み聞きー! 

 

「3番通りの武器屋、最近扱う武器の種類増やしたみたいだぜ、クリーゼ様の影響かもな」

 

「はぁー、辛えよ……とっとと死なねぇかなぁ……ゴミ領主が、はぁ……」

 

「ねぇ、世界一強い、誰?」

 

「あん? そりゃ勿論! 最強と言ったらクライム様だよな! 単独ドラゴンキラーだし!」

 

「クライムアート様を超える強さを持つ奴なんていねぇよなぁ!!」

 

「はぁ……お前ら何もわかってねぇ……最強はルリ────」

 

「あー! クッソ! マジクソ! マジカルマジマジッ! クァー!」

 

「聞いた? 魔法陣? の研究が進んでまた一つ解読できたとか」

 

「っぱメルメル様は天才よ!」

 

「なぁ知ってっか? リースティユルが植物まみれになったらしいぜ? なんでもウッドエレメンタルが出たとか、やべぇよなぁ」

 

「精霊病ね……胡散臭すぎ、どうせ国の陰謀とかでしょ」

 

「ふむ、確かに今までの傾向を考えると、国の利」

 

「なぁ! さっきドレスのクッソ可愛いお嬢様みたいな人見かけたぜ! あーいれてぇ」

 

「お前ヨメいんだろ、精霊病かかるぞ」

 

「ばっ! オメェこんなんでかかるかよ! はっはっは! っと、ちょっと掃除に行ってくる!」

 

「掃除? 何行ってんだ? 酔ってんのか?」

 

「トイレだよトイレ! トイレの暗喩だよ! 言わせんな恥ずかしい!」

 

「いつかクライムアート王子様に〜私を見つけてもらって〜! 玉の輿〜! 来ないかな〜! 平民と王子様の〜! 身分違いの恋!」

 

「雑魚王子」

 

「お金を持ってればいいんです〜白馬の王子さま〜私をさらって〜」

 

「妄想乙」

 

「は? 戦闘狂ビッチのガキが」

 

「まだ処────」

 

「マジカルマジマジィ! ぎぃぃぃい!! マジマジカル! ああああ!! マジマジィ!!!!!」

 

「お前酔いすぎ、不幸だが災害みたいなもんだろ、諦めろ」

 

 ……うん! 

 

 情報収集はそろそろいいかな! 

 色々聞こえて来てたから、情報を精査しよう! 

 

 えーっと……マジカルマジマジしか覚えてない。

 近くにいるのかな? うーん……

 

 ……うん! 人には向き不向きがあるよね! 情報収集するくらいなら街を歩き回ろう! 

 

 

 

 やっぱりイベントがあるとしたら、路地裏とかだよね! 

 よーし! 歩き回るぞー! 

 

 

 

 うーん、普通に治安いいなぁ、この街。

 昨日領主が死んだ……死んだ? まあ死んだでいいか、死んだばかりなのに治安いいのはすごいよなぁ。

 これじゃあイベントも起きないかな……

 

「き、やー、たすけーてー、わー」

 

 お! 人の助けを求める声! きた! これこそイベント! 

 

「ヘッヘッヘー、こいつぁー高く売れるぜ!」

 

「ひゃっはー! このまま奴隷に売っぱらってやるぜぇ!」

 

「おじょ、お前様は、えーっと……なにかひどいことになります、あ、ぜ!」

 

 いかにもならず者みたいな格好した厳つい顔つきの3人の男が一人の女性を取り囲んでる! 助けないと! 

 

「ヘッヘッヘー、きっと慰み者にされて尊厳グチャグチャだぜ!」

 

「ひゃっはー! お前の人生終わりだなぁ!」

 

「あー、何かひどいことされます、お、あ、お前様は、ぜー!」

 

「いーやー、たすけーてー、だれかー、しゅーん、たすけーてー、しゅーん」

 

 でも、3人か、勝てるかな? 

 いーや! きっと主人公パワーがなんかこう覚醒してなんとかなるはず! 

 

 行くぜ! 

 

「やめろ! 何をしている!」

 

 僕は飛び出した! 

 

「ヘッヘッヘー、やっときた……か?」

 

「誰だあいつ?」

 

「え、あ、え、ど、どど、どう、ど!?」

 

「ちょっと! どうするの!?」

 

 何やらならず者3人が女性の近くで固まって小声で話し合っている。

 

 も! もしかして! 僕の力に恐れをなして! 恐怖してる!? 

 何か主人公補正が働いているに違いない! 

 

 勝ったな。

 

「さあ! その人から離れろ!」

 

「いや、あの、これはですね、ちょっと事情があるというかなんというか」

 

「申し訳ありませんが、見なかったことにしていただきたい」

 

「あの! ……えっと……あ、あ、あ」

 

 あれ? 荒くれ者風な人たちが急に背筋正して雰囲気ががらりと変わった。

 

「あ、あの、本当に攫われそうになっているとかじゃないので」

 

 そして女性からそう言われる。

 

 んー?? 

 

「えっと」

 

「ま、マリィちゃんから、離れろー!」

 

 急に後ろから大きな声がした。

 

 振り返ると、そこには身なりのいい、高そうな服を着てる人が巨大なハンマーを持っていた。

 

「あ……き、やー、たすけーてー、わー、4人におそわれてるのー、しゅーん」

 

「え? 4人?」

 

 荒くれ者は3人では? 

 僕は思わず女性の方に振り返りそう呟いた。

 そして。

 

「ま、マリィちゃんに手を出したら、ゆ、許さないぞー!」

 

「え?」

 

 ガツン! 

 頭に軽い衝撃が! 

 

「あ、やば、民間人に……」

 

 あ、どうしよう、よく分からないけど、まあ良いか。

 おやすみ〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは」

 

「お目覚めになりましたか」

 

 目がさめると、いつのまにか大きな部屋のベッドで眠っていた、でいいかな。

 

「あの」

 

「巻き込んでしまい、大変申し訳ありませんでした!」

 

 そこには、さっきまで荒くれ者の格好をしていた人達が、かっこいい騎士甲冑を着て、頭を下げていた。

 

 

 

 

 話を聞くと。

 

 どうやらあれは、この街の亡くなった領主の娘さんが、意中の人の気をひくために攫われそうな演技をしていただけらしい。

 

 そこに自分が来たから困って、結局しゅーんという人のハンマーで☆後頭部強打☆され、僕は意識を失ったとかなんとか。

 

 その後、2人はいい感じになったとかなんとか。

 

 うーん? 

 

 つまり自分は、恋のキューピッドになった、てきな感じ? 

 つまり人助け? いい感じになったなら人助け成功! 

 そう考えれば主人公っぽい! 

 

「ありがとうございました!」

 

「え? ん?」

 

 やっと主人公らしいことができた! やったー! これはいいイベントだ! 

 

 

 

 

「こちら慰謝料になります」

 

 そう言って騎士の方はお金を差し出してきた。

 

「いいや、受け取れません」

 

 主人公は見返りを求めない! 

 ってやつだね! 

 それに、医者料なんて言われても、僕が医者にかかることなんてあり得ないし、こんなはした金受け取っても、別に嬉しくないからなー。

 

 

 というわけで、僕は断って邸を後にした。

 それにしても、昨日領主が死んだばかりなのに忙しくないのかな? 別に関係ないのかな? まあいいか。

 

 今日は満足! 時間も時間だし、宿を取って休もう! 

 街に来て1日目、色々なこと……は、なかったけど、主人公っぽいことが出来た! 

 明日からもしばらくはこの街で活動しよう! 

 ずっと同じ場所にいる気はないけど、大きい街だし、領主も死んだばかりだし、色々なことが起こると思うから! 

 

 夕日が眩しい。まるでこれからの僕を祝福してくれているかのようだ。

 見上げた空には、沈みゆく太陽を背に飛ぶ青い鳥がいた。

リースティユルに出現したウッドエレメンタル、及び陰月の4に出現予知が確認されたアクアエレメンタル両精霊のリースティユルでの捕縛並びに王城への護送命令

 騎士視点

 

 やれやれ、お嬢様のお守りは大変だぜ。

 意中の人の気を引くために街中で攫われそうな演技をするなんて、そんなもん、うまくいくのかねぇ。

 

 ま、やるからには全力だ。

 

 今ここには、ゴロツキに扮した俺と先輩騎士二人、そしてお嬢様。

 これはどこからどう見てもゴロツキに攫われそうなお嬢様って盤面だぜ! 

 

 そして! 主役の商家のご息子様が、もうすぐここを通るってことは分かっている! 

 

 さぁ! この俺、サブロー様の名演技で商家のご息子様を華麗に騙してやるとするか! 

 行くぜ! 

 

「き、やー、たすけーてー、わー」

 

 ブハッwwなんだよその棒読みww大根役者すぎるだろww

 演技の才能ゼロじゃねえかww

 こんな演技に騙される奴なんていねぇだろww

 しゃーねぇーなー、これはもう俺の名演技でカバーするしかねぇ、本気、出しますか! 

 

「ヘッヘッヘー、こいつぁー高く売れるぜ!」

 

「ひゃっはー! このまま奴隷に売っぱらってやるぜぇ!」

 

 先輩方もダメダメだな、及第点すらあげれねぇ。

 しゃーねぇ、俺が手本ってやつを見せてやるか! 

 

「おじょ、お前様は、えーっと……なにかひどいことになります、あ、ぜ!」

 

 ……完璧だ。

 先輩方もお嬢様も俺を見習えよー? 

 

「ヘッヘッヘー、きっと慰み者にされて尊厳グチャグチャだぜ!」

 

「ひゃっはー! お前の人生終わりだなぁ!」

 

 見よ! 俺様の華麗な名演技を! 

 

「あー、何かひどいことされます、お、あ、お前様は、ぜー!」

 

 いやー、天才すぎてやばいわー自分の才能が恐ろしいね! 

 

「いーやー、たすけーてー、だれかー、しゅーん、たすけーてー、しゅーん」

 

 ブハッwwお嬢様演技下手すぎワロタww

 

「やめろ! 何をしている!」

 

 っと、ついに来たか。

 さあ、ここから更に俺の名演技が光るぜ! 

 

「ヘッヘッヘー、やっときた……か?」

 

「誰だあいつ?」

 

 ん? 

 

 商家のご息子様かと思って見てみれば、そこにいたのは黒髪で、ちょっとサイズの大きいくたびれた服を着、腰にかなり錆び付いていてなんの手入れもしていないだろう剣を鞘にも入れずに下げた年若いガキがいた。

 

 全然別人じゃねぇか! 

 

「え、あ、え、ど、どど、どう、ど!?」

 

 他の奴が来るなんて想像してなかったぜ! 

 

「ちょっと! どうするの!?」

 

 っと、お嬢様はもう演技が剥がれている。

 予想外が起きた時のアドリブ力にこそ、名役者の力量は試されるんだ。

 少しはアドリブ力鍛えなー? 

 俺を見習えよー。

 

「さあ! その人から離れろ!」

 

「いや、あの、これはですね、ちょっと事情があるというかなんというか」

 

「申し訳ありませんが、見なかったことにしていただきたい」

 

 こうなったら! 俺の名演技! 名アドリブで華麗にこの場を納めてみせる!! 

 

「あの! ……えっと……あ、あ、あ」

 

 ……ま、どれだけ優れた役者でも、たまーには咄嗟にアドリブが出来なくて固まることもあるからな。

 いやー何時もはできるんだけどなー偶々! 今回だけ! うまくいかなかったなー、かぁー、運が悪いなぁー。

 

「あ、あの、本当に攫われそうになっているとかじゃないので」

 

「えっと」

 

「ま、マリィちゃんから、離れろー!」

 

 おっと!? 更に人物が増えてますます舞台が大混乱だ! 

 って、商家のご息子様じゃねぇか! タイミング悪りぃー! 

 

「あ……き、やー、たすけーてー、わー、4人におそわれてるのー、しゅーん」

 

 棒読みすぎるwwそれに4人ってww

 

「え? 4人?」

 

 何言ってんだこのお嬢様はww数も数えられねぇのかww

 

「ま、マリィちゃんに手を出したら、ゆ、許さないぞー!」

 

「え?」

 

 ……あー、このガキも巻き込んだのか。

 困るんだよねー台本にないことを咄嗟にされると。

 他の人がどう対応したらいいか困るだろー? 

 これだから大根役者は。

 俺の完璧な役者ぶりを少しは見習ってほしいね。

 

「あ、やば、民間人に……」

 

 お、ガキが倒れた。

 よし! これで台本通りお嬢様と俺たち暴漢役3人と商家のご息子様だけになったな! 

 

 これで再開できるぜ! 

 

「今日のところはこれで勘弁してやる!」

 

「ずらかるぞ!」

 

 あれ? 先輩方はガキを背負って逃げてしまった。

 何やってんだ? はーあ、これだから素人は。

 台無しじゃねぇか、これじゃあお嬢様と商家のご息子様の仲も進まねぇなぁ。

 

 しゃぁーねーなぁーここは俺一人でもやってやるかぁ! 

 

 ここからが俺のオンステージ! 

 

「おい! サブロー! 何やってる! 早く来い!」

 

「え? あ、あ、はい」

 

 ……は、次回に持ち越しだ! 

 

 

 

 にしても、変なガキだったな。

 あんな巨大なハンマーで殴られたってのに、起きたらピンピンしてやがったし、あんな大金、受け取らねぇで帰りやがって。

 勿体ねぇ。

 あんだけ金がありゃ今すぐにでも騎士なんて辞めてやるってのによぉ。

 

 まぁそれはいい、さて、領主様に金でもせびりに行くか。

 娘のことを気にしていたし、俺様の名演技のおかげで2人が結ばれそうだって報告してやろう! 

 

 そうすりゃ、臨時収入、給料アップ、間違いなしだぜ! 

 

 コンコン

 

「領主様ー、ご報告したいことがー」

 

 返事がねぇ? いないのか? 昨日から見かけてないし、そういう時は大体この研究室に篭ってるもんなんだがな。

 寝てんのかね? 

 

 しゃーねぇ、起こしてやるか! 

 

「失礼しまーす……あ?」

 

 扉を開けると……そこには……

 

「あ……お、おい、マジかよ……」

 

 レースフルト領主、フランクリン・レースフルトの……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。