表向き一般村人ビーの冒険手記   作:タータスタータ

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第3話 12日目

 12日目

 

「2人はどうしてリースティユルに行くんです?」

 

 馬車に揺られながら聞いてみた。

 リースティユルまでは馬車で3日くらいかかるらしい。

 あと2日かな? 

 まだまだ時間はあるから2人とお話ししよう! 

 

「……」

 

 リステライカさんには無視された! 悲しい! 

 

「ん〜そうね〜リースティユルに行くのは〜リスちゃんの望みだからかな〜」

 

「そうなんですね」

 

「そうそう〜そこにいけば〜噂のルリビタキに〜会えるんじゃないかな〜ってね〜」

 

「ルリビタキ?」

 

 あれ? どこかで聞いたような? なんだったかな? 

 

「ルリビタキ、王国の秘密兵器って噂」

 

「それがどんな人なのか〜団体なのか個人なのか〜男なのか女なのか〜一切不明の存在ね〜」

 

「そうなんですね」

 

 んー、聞き覚え、あるんだけどなールリビタキ、なんだったかなー? 

 

「雑魚王子の功績、殆ど偽物、裏にそれいる」

 

「そうなんですね」

 

「噂では〜数年前にできた〜例のアビスもルリビタキが〜作ったんじゃないか〜て言うのもあるのよ〜」

 

「西方の山、一夜で谷に、それもルリビタキ」

 

「そうなんですね」

 

 もうちょっと、頭のここまで出かかってるんだけど、うーん? 

 

「王国の秘密兵器なら〜大規模な災害とか〜そういうところに行けば〜見つけられるんじゃないかな〜ってね〜」

 

「男なら子供作る、女なら戦う」

 

「そうなんですね」

 

 引っかかってる、うーん……あああー! 思い出せそうで思い出せないの辛い! 

 

「聞いてる〜?」

 

「あ、はい聞いてますよ」

 

 多分! 聞いてはいたと思う! 何も覚えてないけど! 

 

「で〜、あなたは〜何しに行くの〜」

 

「あ、僕です? 僕は旅です! 主人公は色々な場所に旅するものらしいですからね!」

 

「貴方、モブ」

 

「え? 僕主人公ですけど? 昨日のゴブリン襲撃イベントもこうやって日記に書いてますし!」

 

「主人公で〜日記〜イベントって言ったら〜マグレインの冒険手記かしら〜」

 

「あ、知ってます!? 僕はその主人公が好きで!」

 

「私は商人の〜」

 

「最強の魔術師が」

 

 僕達は同じ物語について語り合った! 

 

 

 

 

「大金で相手を黙らせるあのシーンが〜本当に爽快で〜♪」

 

「剣での鍔迫り合い! 切った張ったの大立ち回り! ああいうのが本当にかっこいい!」

 

「集団戦、主人公、無力、単体集団両対応魔術師、最強」

 

「えー? 魔術師は神竜の長にぼろ負けしてたじゃないですか! その点主人公は神竜の長を切り殺してるんですよ! 1対1最強! 主人公はすごい!」

 

「ゴブリン軍団すら対応できない主人公、ザコ、魔術師居なければ村滅んでた」

 

「えー? でも魔術ってそんなに面白く無いですし、強いのは認めますけど楽しくない!」

 

「才能ない僻みウケる」

 

「そもそも〜お金があれば解決できる問題を〜わざわざ武力に頼るのは〜野蛮よね〜」

 

「戦闘で逃げる商人、ゴミ無能」

 

「確かに! かっこ悪い!」

 

「あれはそもそも〜お金に理解のない主人公の〜」

 

 僕達はこうして語り合い仲良くなった! 

 

 

 

 夜。

 

 星って、凄いよね。

 キラキラ輝いていて綺麗だし、強いし! 

 数が少ないのだけが難点かな? 

 

 っと、これは今は関係ない話だった。

 

 あー、星が綺麗だなー。

 輝く星の光を浴びる青い鳥も綺麗だ。

 

 ……あー! 思い出した! 今日引っかかってたやつ! あー! お前か! 

 スッキリした! 

[緊急]北方ダイサイザイにて神竜族と思われるドラゴン集団の侵略を確認、現任務は破棄し、至急討伐を依頼する、周囲の被害は問わない、迅速な対応を求む

 13日目

 

 明日にはリースティユルに着く見たい! 

 それまでリステライカさんとミーナライカさんと沢山話すぞー! 

 

「……すぅ」

 

「……んっ」

 

 と、思ったけど、2人とも寝ちゃってる……

 

 昨日夜遅く、いや朝まで近くの森を走り回っていたらしい。

 昨日すれ違ったけど、僕は普通に馬車で寝ちゃった。

 何やってたんだろう? 鬼ごっこかな? 僕もやればよかったなー。

 

 起こすのも悪いし、今日はのんびりかなぁ。

 

 ……暇だなぁ。

 この後の予定もなくなっちゃったし、どうしよう? まあ、リースティユルには行けばいいかな。

 

 ……暇ー。

 急にすけすけふわふわとかバサバサパタパタとか襲いかかってこないかなー。

 いや、バサバサパタパタは昨日倒したしまあいいか。

 

 アッチッチにょろにょろとか、カチコチピチピチとか、マルマルぶーぶーと、か、ピカピカしゃーとかでもいいよ! 

 

 最近食べてないから久しぶりに食べたい! 

 あっ、今はやめたほうがいいかな? 今度取りに行こっと。

 

 イベント来ないかなー? 暇だよー? 暇すぎて死んじゃうよー? 

 もうマジカルマジマジ以外ならなんでもいいからこないかなー? 

 

 何かイベント起きないかなー? 

 

 ……暇だぁ。

 

 

 

 

 

 1日前 夜 ミーナライカ視点

 

 お金が欲しい。

 それは子供の頃からずっと抱き続けている、私の欲であり、根幹だ。

 子供の頃、お金がなかったから、父も母もいなくなってしまった。

 ずっと苦しい思いをし続けた。

 だからこそ、私はお金を求める。

 いつか子供を産んだ時に、子供に私と同じ苦労をさせない為に。

 

 本当なら、私は商人になりたかった。

 でも、私には商才なんてものは無くて、あるのはこの恵まれた体だけ。

 だから戦士なんてものをやっている。

 体が傷つくかもしれない戦士は、本当にやりたくないのだけれども、仕方ない。

 

 私の持っているものの中で、1番高く売れるのは何か? 

 それは、私自身だ。

 お金持ちに私を売り込んで、結婚することが、1番お金が手に入る。

 だから私は冒険者になって、ランクを上げて、地位を高めて、自らの付加価値を上げている。

 

 リスちゃんとは違って、私は自分磨きを忘れない。

 おしゃれにもお肌にも、異性に好かれる為に、そこにお金と労力は惜しまない。

 肌に傷が残らないように、高いポーションも常備している。

 

 言葉遣いだって、男性は女性に母性を求めるものと聞いてからはゆったりと話すようにしているし。

 

 ……お酒の席は例外よ? 

 

 だから本来は夜更かしなんてする気はなかった。

 けど。

 

「リスちゃ〜ん、待ってよ〜」

 

「絶対、いる!」

 

 私は夜の森を駆けていた。

 

 

 

 少し前の話。

 

 夜、私は小腹がすいて、寝床になっている馬車を抜け出した。

 

 そしたら、リースティユルまで一緒の馬車に乗っているビー君が、青い鳥を錆びた剣に乗せて、近くの森の方を眺めながら小声で何かをつぶやいていた。

 

 どうしたのだろう? 

 私は声をかけてみた。

 

「……ブルー「ビー君〜?」あ、ミーナライカさん、どうしたんです?」

 

 私が声をかけると、青い鳥は飛び立っていった。

 

「こんな時間に〜何をしてるのかな〜」

 

 ビー君はまだ幼いように思う。見た目は12才から15才くらいかな? リスちゃんと同じくらいって感じだ。

 まあ、見た目をいじる術や、成長が遅い種族なら、もっと歳をとっていても不思議ではないけれど。

 でも言動や態度的に、かなり若いと思う。

 

「ああ、いえ、ちょっと掃除に行こうかなと」

 

「掃除〜?」

 

 掃除? 何かの暗喩だろうか? 

 ……あー、そういえば、トイレに行く事を、掃除しに行くって言っている人もいた気がする。

 そういうことを言うのが恥ずかしい年頃なのかな。

 

「あ〜そうね〜気をつけていってらっしゃ〜い」

 

「行ってきます!」

 

 そう言って、ビー君は森の中に入っていった。

 

「……化・が……レイ…………」

 

 どうしよう? ついていったほうがいいのかな? 

 まあいいか。

 お金持ちならついていって、じ〜っくり見守ってあげても良かったけど。

 そうじゃないからね。

 

 さて、食事をとりましょう。

 幸いなことに私は食べてもお腹に肉が付きにくい体質をしているみたいだから、よっぽど食べすぎなければ問題ない。

 

 まあ、街の中でもないから、味気ない食事ではあるんだけどね。

 

 じゃあ、いただきます。

 

 

 

 

 

「ミーナ」

 

 しばらく食事をしていたら、リスちゃんも起きてきた。

 

「あら〜リスちゃんも食べるかしら〜」

 

 お腹が空いたのかしら? 

 

「うん」

 

「じゃあ〜一緒に食べましょうか〜」

 

 リスちゃんとは結構長い付き合いになる。

 私とリスちゃんの関係性は、保護者兼姉変わりと行ったところか。

 

 私とは少し事情が違うけど、リスちゃんも天涯孤独の身。

 魔物に襲われて、村が壊滅、その村の唯一の生き残りがリスちゃんみたい。

 

 リスちゃんが助かったのは、偶然通りかかった人物に救われたかららしい。

 

 それが誰かとかは全く思い出せないみたいだけど。

 

「はい、リスちゃ〜ん」

 

「……」

 

 私とリスちゃんが出会ったのはその後の……って、あれ? 

 

 リスちゃんが固まって動かなくなってしまった。

 

「どうしたの〜」

 

「嘘……ありえない……」

 

 リスちゃんは目を見開き、私の背後の森の方を見ている。

 森に何かあるのかしら? 

 

 しかし、振り返っても森があるだけだ。

 特に何かあるようには見えないが。

 

「何かあったの〜?」

 

「……見え、無い? ……」

 

 リスちゃんには何か見えているのだろう? 

 何らかの魔法? 私には魔法の才能が少ししか無いからよく分からないが、リスちゃんが驚いていると言うことは、何か相当すごいものなのだろうか? 

 少し警戒心を上げておこう。

 

「ありえない、魔力ない? ……なぜ? ……光の柱、召喚、いや、招来? 何を? ……極位、天位、いや、神位魔法の可能性すら、なのに……私の眼でも……もう1回? 2度目も同じ……いや、あの目しか見れない? 幻惑? 幻影? 隠蔽? ……いや……三回目?」

 

 リスちゃんが珍しく饒舌に独り言をつぶやいている。

 リスちゃんでも解析できない事態と言うことは、かなりマズイかもしれないと言うことだ。

 

「……うぅっ」

 

 リスちゃんが急に片目を抑えてうずくまってしまった。

 

「リスちゃん!? 大丈夫!?」

 

「この光景……どこかで……ぐっ……何、これ……目に……目が……うう……行かなきゃ……いる……あそこにきっと!」

 

 そう言って、片目を抑えたリスちゃんは森の中に向かって走り出した。

 

「あれ? どうし「邪魔!」ぐえっ」

 

 森から出てきたビーくんを突き飛ばしながら。

 

「リスちゃん待って〜」

 

 突き飛ばされたビーくんはポカーンとしていて可哀想だけど、今はリスちゃんを追いかけないと! 

 

 

 

 

 

「2人とも慌ててどうしたんだろう? ま、いっか、掃除も終わったし、寝ようかな」

 

 

 

 

 

 深夜の怪しげな雰囲気が漂う森の中、私はリスちゃんを見失わないように、なんとか追いかけている。

 

「リスちゃ〜ん、待ってよ〜」

 

 底力というやつかしら、普段ならとっくに体力が切れているはずなのに、未だにリスちゃんの速度が緩まる気配がない。

 その小さい体を生かして木々の間をスルスルと走り抜けている。

 体力は私の方が多いのに、全然追いつけない。

 

 それでも見失うことはなく、しばらく追いかけていると、急にリスちゃんの動きが止まった。

 

 体力の限界かとも思ったが、違った。

 そこには、リスちゃんだけではなく、もう一人、別の人物が立っていた。

 背中に無数の武器を背負う鎧武者、顔は鬼の仮面で隠れており見ることができないが、身長は2メートルほどあり、とても厳つい、怖い雰囲気を持つ人物がいた。

 

「貴殿らが、ブルーバードか?」

 

 ブルーバード? なんの話だろうか? 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 リスちゃんは息が上がっており、返事する余裕もないようだ。

 状況がわからないが、私は咄嗟にリスちゃんを庇うように前に出た。

 

「ようやく見つけたぞ」

 

 そう言うと、鎧武者は背中の武器ではなく、腰に下げた刀をゆっくりと引き抜いた。

 

「っ!」

 

 この人、強い! 

 刀を引き抜いた瞬間、強烈な存在感が襲いかかってきた。

 この人は私一人では到底太刀打ちできないほどの強さを持っている。

 

 戦うのは本気で避けたいレベルだ。

 

 だけど、状況がそれを許してはくれなさそうだ。

 威圧感が凄まじい。

 こちらを逃す気はかけらもなさそうだ。

 

 やるしかない。

 

 私は盾を構える。そして、直ぐに魔法を使えるようにゆっくりと魔力を浸透させていく。

 

 相手は格上、けど、私の盾は格上にも通じる。

 これほどの敵だ、私の攻撃は効かないだろう。

 でも、防ぐだけなら出来る。

 私が全ての攻撃を防いで、リスちゃんが全てを薙ぎ払う。

 そう、いつも通り、私は私に出来ることをやるだけだ。

 

 チラリと横目でリスちゃんを見る。

 まだ息は上がっているけど、戦えないほどじゃない。

 

 攻撃は全てリスちゃんに任せて、私は防御に専念する! 

 

「我が名は、クリーゼ」

 

 鎧武者の鬼の面の奥の眼の光が妖しく輝いた。

 

「この刀に!」

 

 そう言うと、鎧武者は刀を掲げたまま、こちらに突っ込んできた! 

 

 そして、私の盾にも魔力が浸透しきり、魔法の待機状態は完了した。

 この魔法は瞬間的な盾の超強化、そして強力な吹き飛ばし効果を付与する魔法。

 発動が早すぎても遅すぎても効果を成さない。

 

 相手の攻撃に合わせる必要がある為、扱いはかなり難しいが、その分燃費と効果はかなり良い。

 私が唯一使える魔法だ。

 

 もう少し、ギリギリまで引き付ける。

 鎧武者が、目前に来るまで、逸る心を抑えつける。

 

 焦るな、焦るな……今だ! 

 

「フォートレス!」

 

 私の盾が光り輝き、私を魔法が発動した。

 

 だが。

 

「……!?」

 

 タイミングは、完璧だった。

 剣の間合いに入った瞬間に、フォートレスを発動させた。

 しかし、敵は未だに剣を振ってこない。

 

(タイミングをずらしてきた!?)

 

 鎧武者は目前で急停止した。

 フォートレスの発動を読まれたのだろう。

 

 普段は魔物専門な為、対人戦の経験は少しばかり薄い。

 だからこそ、このフェイントに対応できなかった。

 

(マズイ、魔法が……き、れ……)

 

 フォートレスが、解除された。

 

 そして…………

 

 

 

 

 

 

「サインください!」

 

「……え? ……人違いです〜」

 

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