全てが狂っている世界に転生したから死ぬるのは嫌でござる   作:砂漠のタヌキ

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テンションと気分と精神状態でフラフラ揺れ動く小説にまさか感想が来るとは思っていなかったのでたいそうビビりました。
これは気合を入れて書かねばなりますまいて。


世界の秘事に近づけば正気度は当然下がるわけで。ニューテスタメント

(これまでのあらすじ)

 

戦争準備を進めるフレム・リュード王国。

 

だがいまいち決め手に欠けるサーティーンロボの武装強化は成らず、切り札であるモーターヘッドを動かせる騎士メイユ・スカは根性が悪すぎて協力してくれないばかりか、ギガースを斬ろうとしてツトムにぶん殴られ入院が伸びる始末。

 

前途多難な中、ガロウ・ランの大侵攻と、おまけで付いてきた敵オーラバトラーが王国を襲う。

 

別の国に転移していた聖戦士、トカマク・ロブスキーの協力で戦いには勝利したが、敵との戦闘でブロンズ・アケロンは破壊され、ギガースも重傷を負って意識を失うのだった。

 

(ここから本文)

 

意識を失った俺が目を覚ましたのは……やはり精神世界だった。

 

だがこれまでと様子が違う。

 

謎の空間というよりは洞窟の中のような環境であり、壁や床はまるで内臓のごとくぐにゃぐにゃしており不快な生臭さがある。

 

壁には照明の代わりなのか、直径30センチぐらいの眼球が並び、でたらめに視線を動き回らせている。

 

「今回は趣向変えてきたね?」

 

俺は軽口をたたきながら、裏拳で眼球を叩き潰しつつ廊下を進む。

 

するとモンゴリアンデスワームが現れたので、拳銃で射殺する。

 

また歩く。

 

ジャージーデビルが現れたので、拳銃で射殺する。

 

また歩く。

 

妖怪ひょうすべが現れたので、拳銃で射殺する。

 

また歩く。

 

ナイフを持って震えているガキが現れたので、拳銃で射殺って待て待て待て待て俺の行動おかしくないか!?

 

「ちっ気づきやがったのかよ、正気に戻ってんじゃねーよ」

 

ガキは吐き捨てると、ものすごい勢いで成長した内臓に内側から引き裂かれて飛び散った。

 

俺は逃げようとしたが、内臓の増殖スピードは秒速百戦億万に達し、俺は取り込まれて全方位的に消化された。

 

中途半端に溶かされ、半生の腐敗したゾンビみたいな有様になって這いずる俺のもとに、巨大な四つの顔が現れる。

 

「人殺し」

「偽善者」

「サイコ野郎」

「クズ」

 

やめろ、と言いたいが、喉が消化されて声帯が溶け落ちているので声が出ない。

 

「ブタ」

「キモい」

「ゴミ」

「生き恥」

 

無理やりやめろ、と叫ぼうとすると、声を出そうとして圧が高まったのか、左目が溶け落ちた眼窩から脳髄が噴射した。

 

世界が回り

 

poう

 

koi

オリ

 

繧ェ繝/・ヒ。。ェネ・・・ワ螟/ュ

 

た。

 

 

そして気が付くと俺は干し首になっていた。

 

干し首の俺をボール代わりにして、爆笑しながらモヒカンがホッケーをやっている。

 

高く打ち上げられた瞬間、なぜか野球のバットがうなりを上げ、俺を場外ホームランにした。

 

場外ホームランにされたと思ったら、俺は被告席にいた。

 

そして裁判官席から、俺が殺したミの国の残党軍の兵士たちが俺を見つめていた。

 

しばらく無言で見つめあううちに、なんとなくだが、俺は残党軍の兵士たちの気持ちが分かった。

 

それは単純に敵を討てなかった無念ではない。

 

負けた悔しさや、殺された無念さというプリミティブな怒りでもない。

 

言葉にするならば

 

「なんで俺たちは選ばれなかったんだ?」

 

ということだ。

 

 

おそらく俺はこの世界に転生してきた中でも割と特異点といっていいポジションにいるのだと思う。

 

少なくとも殺されるためだけに沸いてくる一般市民や、殺すためだけに沸いてくるモヒカンとは一線を画している。

 

なんとなれば、俺にとってはフィクションに当たる世界から転移してきた人間のうち、出会った大半の人間と俺は縁を結んで、新しい国を築く仲間として共に歩んでいる。

 

だがミの国の残党兵は違った。

 

初手こそ計略を使って仲間にしようと試みたが、それは俺が声をかけた相手がタンギーに乗っていたからだ。

 

フラッタラの方はハナから倒すつもりしかなかった。

 

初手でショットを仲間にしていたからか?

 

俺たちはモモソクリペペルの制圧をもくろんでいたからか?

 

……いや、違う。

 

俺は彼らを「モブ」としか認識していなかったんだな。

 

モヒカンがオーラマシンを使いこなせるなどありえないと頭でわかっていたのに、理性を持った相手として説得しようという気にならなかった。

 

積極的に戦っていなかったとはいえ、サイボーグ0013は敵か味方かわからない状態で説得したのに。

 

「すまなかった」

 

気がつけば俺は謝罪の言葉を口にしていた。

 

「すまなかっただと!?お前は俺たちを殺しておいて、すまなかったで片付けるつもりだというのか!?」

 

激高した様子で残党の一人が俺を糾弾する。

 

俺は首を横に振った。

 

「片付けるつもりはねえよ。名前は知らないが、バイストン・ウェルから来たことは分かってたし、ここはバイストン・ウェルじゃないんだから、恩讐を超えて協力するように呼び掛けることも多分できた。俺が直接手にかけなかったからここにはいない従兵機の操手も同じことだ」

 

「口では何とでもいえるわ!では貴様は我々をむざむざ殺した責任をどうとるというのだ!」

 

別の一人が糾弾を続ける。

 

俺は答える。

 

「悪いが生き返らせるとか、そういう形で責任はとれねえ。今回は相当やばいケガした覚えがあるから、もしかしたらこのまま肉体に戻れずに死ぬかもしれねえんで、そうなったら地獄で詫びは入れるしどんな罰も甘んじて受けるが……もしこのまま生き返ったとしたら、あんた方を追悼し、今後出会う相手はできる限り殺さねえようにする、と誓うことしかできねえよ」

 

自衛の力を与えているといえば聞こえはいいが、オーラマシンや操兵を動かし、戦闘に参加している兵士は今のところ全員この世界に沸いてきた一般市民。

 

戦う存在でないものを組織して戦わせているという時点ですでに俺たちは存在としてはアンモラルだし、世界の構造上絶対に改心も協力も、もちろん何か別の文化文明を創造することもありえないモヒカンを殺しまくらなければ理想国家の建設はないのだといっても、所詮は業を積み重ねる血塗られた道を広げている事実現実にはかわりはないのだ。

 

だからといって止まるわけにはいかない。

 

実際問題として安定した、一定のモラルの水準のあるエリアを増やしていかねば、世界すべてが混沌に飲み込まれておしまいになるのだし。

 

俺個人としても、モヒカンが馬鹿みたいにヒャッハーしながら殺しあってる世界でいつやられるか怯えて生きるのではなく、まっとうな世界で普通に生活して普通に死にたいのだ。

 

「俺はこの狂った世界以外のすべての並行世界の意思とかいう存在から、この世界にまともな国作ってくれって頼まれてしまったんだよ。誓ったからにはそこに向かって走るしかない。その過程であんた方みたいに問答無用でぶっ殺す相手はできるだけ減らすように努力すると約束する。生き返れたらそれは絶対に守る」

 

俺はあらためて宣告した。

 

おそらく、(俺は今でも神様と認識しているが)並行世界の意思は、こういう無念怨念の発生もできるだけ少なくしたうえで国を作れ、といっているのだろうし。

 

完璧は無理でも、今はできる限りのベターを積んでいくしかないのだ。

 

すると三人目が

 

「口は重宝なものよな!そこまでいうなら……こやつらをなんとかしてみろおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

 

絶叫すると、ぶわっと真っ黒な靄の塊になってはじけ飛び……

 

「オーラボムもどきのパイロット……今度こそ、確実に殺してやる!」

 

憎悪に燃えるシャルド・スカルスと。

 

「ア……アガーガガガ!ギィ~グガァ~!!!!!」

 

ぼさぼさの髪に服だっただろうぼろきれを全身に巻き付け、大ぶりのナイフを逆手に持っているガロウ・ランっぽい女が現れた!

 

「くっ……!」

 

俺はとりあえず一撃でやられないように神経を研ぎ澄ます。

 

シャルドはブロードソードを構え、じりじりと距離を詰めてくる。

 

そしてガロウ・ランの女は

 

「ギャガッガガー!!!」

 

叫びながらナイフを振りかざして跳躍してきた!

 

「はっ!」

 

振り下ろされる腕を受け止め、次いで俺の金的狙いに蹴りこまれる足を膝蹴りで迎撃!

 

ぼきゃっ

 

嫌な音をたてて、女のすねの骨が砕ける。

 

え?そんな威力出たか?

 

一瞬の硬直と

 

「ビギャアアアアアアーーーーーー」

 

女の絶叫を隠れ蓑に、シャルドが一気に距離を詰めてきた!

 

女ごと叩き切ろうと俺に剣を振り下ろし

 

「だりゃあ!」

 

女を突き飛ばした反動で横っ飛びした俺は攻撃をかわす!

 

そして体制の崩れたシャルドに飛びかかり、手首を無理やり押さえつけて、ツボを押し込まれる痛みで思わず握る力が緩んだシャルドの手から長剣をもぎ取り、できるだけ遠くへ捨てる!

 

「くおっ、この……」

 

「ふんあーっ!」

 

俺は何か言おうとしたシャルドの鼻っ柱に思いっきり頭突きを食らわせた!

 

ごぎっと嫌な音がして、俺の頭に鈍い痛みが走る!

 

だがこの感触……鼻の骨を折るには至らないが、鼻血ぐらいは出させてやったぜ!

 

しかしシャルドもさるもの、思いっきり俺の腹に膝蹴りをぶち込んできた!

 

「げあっ!」

 

「う、がああ!」

 

双方痛みをこらえながら離れる。

 

そこへ女が再び襲い掛かってきたが……

 

「おおお!お!?おがああ!ギィーグガァー!!」

 

なにやらめちゃくちゃに手足を振り回してその場でのたうち回り始めた。

 

「ちいっ!麻薬中毒か!役に立たん!」

 

吐き捨てたシャルドに、俺は

 

「おいおいだいぶやばくねえかそれ!……ち、ちょっとだけ待てや!」

 

と声をかけ、とりあえず女がとり落としたナイフで服の袖を裂いて、舌を噛み切らないように猿轡をかませる。

 

「何をしているのだ!?」

 

「シャルド、あんたは分かってないと思うが、ここはこの世とあの世の間みてえなもんなんだよ!俺とあんたは多分相打ちになったから魂がここにきてる!だとするとこの女もたぶんしかりだ!俺はさっき啖呵切っちまったからな、とりあえずこいつは助けて様子を見……みっ!おい、マジかよ、こいつ日本人か……!」

 

四苦八苦しながら相手のぼろ服を引き裂いて手足も拘束していたのだが、その際に何か懐に入れていたものを落としたのを見ると……

 

運転免許証だったのだ。日本の。

 

それを見た瞬間、正体にも目星がついた。

 

これは起きたら探してやらなきゃなるまいなあ。手遅れになる前に!

 

「……たぁー。悪い、待たせたな。ほら返すぜ」

 

俺はシャルドの長剣を拾って投げ返すと、女が落とした大型ナイフを構えた。

 

「続きと行こうぜ。あんたが俺をばっさりやるか、俺があんたを行動不能にして説教垂れるかだ」

 

「舐めるのもたいがいにしろ!そんなナイフで……俺の剣は止まらん!」

 

うなりを上げて振るわれた剣が、引き戻し遅れた俺の右手首を切断!

 

「だらずうぅぅぅぅ!」

 

俺はそのまま手首を精一杯振って、あふれ出す血液で目つぶし!シャルドの顔面にクリーンヒット!

 

「う……くく、ぐあっ!」

 

くそ、左に持ち替えたナイフで腕の付け根を刺してやったが、片腕になった上に痛みに気を取られて全然深く刺さらねえ!

 

「いってーな!畜生!精神世界じゃなかったら俺死んでるぜ!」

 

刺突が効かないなら締め落とすまでだ、と俺はシャルドの首を右手の肘で締め上げながら叫ぶ!

 

「てめーには言いたいことが山ほどあんでよ!もし生きて目を覚ましたら探してやるから逃げるんじゃねーぞコラ!うがあああ!!!!!」

 

渾身の力で締め上げることしばし。

 

もがき暴れていたシャルドの抵抗が急になくなった。

 

絞め殺したのか?さにあらず。

 

シャルドも、日本人だったらしい女も、煙のように消え、目の前には白衣の研究者っぽい人間が立っていたのだ。

 

頭から触角を生やし、両眼が複眼になっており、口がない人間を人間というのならだが。

 

あっけにとられた俺は右手で思いっきり右の頬をつねり……

 

「いてえし、手首再生してる!なんじゃこりゃあああああ!!!!」

 

絶叫した。

 

<<私は足の裏の痒さと毛虫の神てぽーぴち。君の覚悟はしかと見た。混沌を排除し秩序の世界を広げようとする君は邪神と相容れないから、てるんのりゃつつはケツを割ったが私は違う。独立電波として今後は私が君に加護を授けよう。具体的には、足の裏の痒さを覚え、毛虫が取り付くことによって、私の天使が事情を説明すべき人間を訪れるようになる>>

 

俺の絶叫にかまわず、目の前の昆虫と混ざった研究員は宣言した。

 

「地味に嫌な加護だな……」

 

俺は愚痴ったがそれでどうにかなるものではない。

 

<<さあ、行け。行き生きて己のなすべきことをなせ>>

 

えらそうに命じてくるてぽーぴちにすこし、嫌かなりイラっと来た俺だったが、

 

「分かりましたというか、言われなくたってそうしてやる!」

 

啖呵を切ると、拳銃の銃口を心臓の上、肋骨の間にセットして、引き金を引き

 

 

パチッと目を覚ました。




ヒキ・ジツ

今回精神世界で一話丸々使ってしまった

そしてヤク中のガロウランだと思ったら実は日本人だった女の明日はどっちだ
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