全てが狂っている世界に転生したから死ぬるのは嫌でござる   作:砂漠のタヌキ

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(タグと原作が)増えたぁ!


戦力と人数が増えたがまだまだ先行きは不安である。

(これまでのあらすじ)

 

何もかもが狂った世界に転生してしまった主人公は、よくわからないうちに世界の真理を強制的に知ってしまう。

そして主人公が北斗の拳のモヒカンみたいな悪人にぶち殺されそうになった時、モヒカンと巻き添えの被害者を皆殺しにして現れたのは、前世でたしなんでいたアニメの悪役だった!

 

(こっから本編)

 

「貴様……なぜわしの名を知っている?まさか貴様も、バイストン・ウェルから来たとでもいうのか……」

 

おそらく世界の特性により、自動翻訳が働いているのだろう。

 

はっきり俺にわかる言語でミイラが返事をする。

 

ミイラの口からショット・ウェポンの名前が正解であることと、バイストン・ウェルの単語が出たことで確信した。

 

やっぱりこいつは「聖戦士ダンバイン」の悪役、ある意味物語のすべての元凶、ショット・ウェポンだ。

 

それも続編OVAの、本編から700年たって怨霊になった方のやつ。

 

「いやいやいやいや。俺からしたら、バイストン・ウェルはアニメの中の世界で、あんたはアニメの悪役なんだよ。なんで現実世界に出てきたのか知らないけど」

 

「わしがアニメの悪役……だと……?ククク、面白いことをいうではないか。気に入ったぞ……」

 

またしても凄みのある嘲笑を浮かべながらのたまうショットが片手を上げたので思わずそっちを見ると……

 

四つん這いの亀みたいなカニみたいな、赤い不気味なロボットが鎮座していた。

 

「え?これいつの間に出てきたの!?」

 

驚く俺を無視して、

 

「わしに怖じずに生意気な口をきいた貴様には、聖戦士になる権利を与えてやろう。なに、最悪でも生命を吸い取られて死ぬだけだ……!」

 

ショットは哄笑しながら、念力で俺を無理やりロボットのコクピットに座らせた!

 

途端に自動で手足と顔面が座席に拘束される!

 

「ウワーッ!これ名無しのオーラバトラーじゃねーか!死ぬ!生命力を吸い取られて死んでしまう!」

 

絶叫する俺の全身から、命が青白い粒子になって吹き出し、どんどん機体に吸い込まれていく!

 

「グワーッ!命が吸い取られて全身があっという間にミイラになって風化して死ぬグワーッ!!!!!グワッワッワッワーーーーー!!!!!……グワ?」

 

自分の命を根こそぎ持っていかれる苦痛と恐怖で絶叫していた俺だが、いつまでたっても死なないことに気づいた。

 

それどころか、顔面を拘束しているゴーグルの内側には、機体の外部の光景……ショット・ウェポンと奴が作り出した地獄絵図が映し出されている。

 

どうやら俺は、見事に名無しのオーラバトラーと同調に成功したようだった。

 

「え、マジ?俺聖戦士だったの!?」

 

「ははは!素晴らしい!素晴らしいぞ!!!先ほどボウガンでその辺にいたやつらを撃ち殺したときに全身に力がみなぎったと思ったらオーラバトラーは出てくるし、その上聖戦士まで見つかるとはな!このような訳の分からぬ世界に飛ばされて困惑しておったが、かくなるうえはこの無礼者を皮切りに聖戦士を集めてもう一度軍を編成し、世界を支配してくれようぞ……!」

 

驚きっぱなしの俺を無視して独演会をぶち始めたショット。

 

だが、ここで残念なお知らせをせねばなるまい。

 

「あー……ショット・ウェポン……殿?様?」

 

「何だ、無礼な聖戦士よ」

 

心なしかウッキウキな雰囲気を醸し出すミイラに対して、俺は先ほど脳内に降臨した世界の真実を言い放つ。

 

「えーと、あんたの思い通り、戦乱を起こして人を殺しまくればあんたの必要とするリソースがどんどんたまるんだけど。そのうちリソースと一緒に業がたまり過ぎて、強制的にこの世界を作った邪悪な存在の一部になるんだよ?」

 

が、

 

「お前は何を言っているのだ」

 

と塩対応で切って捨てられてしまった。

 

うーむ。俺がこの世界の真実を強制的に知ることができたのは、この世界に転生してから俺が死にかけたからだろうし…

 

そもそもショットは自分がアニメのキャラだということも信じてくれなかったので、おそらく俺が話をしても信じてはくれないだろう。どうすればいいんだ?

 

頭をひねっていると、いきなり目の前にかき氷が現れた。

 

不思議なことに、かき氷を目にした途端、俺を拘束していた座席のパーツが解除される。

 

そして俺はこのかき氷を一気食いしなければならないという強迫観念にかられ、それを実行し……

 

「頭いてえええええええええ!!!!!」

 

当然、猛烈なアイスクリーム頭痛に見舞われた。

 

だがその時……

 

≪神託!かき氷を一気食いした時の頭痛の神てるんのりゃつつの神託でーす!≫

 

意味不明なアナウンスがどこからともなく響いたと思うと、生理的嫌悪感を催すぶっさいくな顔をした赤子の背中から羽が生え、頭の上に蛍光灯みたいな光るわっかが浮かんだクリーチャーが姿を現す。

 

もしかして天使のつもりか?と思う間もなく、ぶさいくなクリーチャー(死んでも俺はこいつを天使と呼びたくない)はショットに何事かを耳打ちした。

 

するとショットは

 

「マジでえええええええ~~~~~~~!?」

 

と絶叫すると、ローブがはじけ飛んで髪の毛ふっさふさの骸骨の姿になり……

 

ぐちょぐちょびちゃびちゃという不気味な音とともに、朽ちた骨が生気を取り戻し、骨から血管が生え、血管から筋肉や臓器や脂肪が生え、最後に全身を皮膚が包み込み……

 

テレビ本編の姿になった。全裸で。

 

「フフフ……信じがたいが信じるしかないようだな。わし……いや、私は世界の真実を知り、こうして全盛期の姿になって復活したのだしな……」

 

芝居がかったポーズをしながら、またも朗々としゃべるショット。全裸なのに。

 

俺は思わず突っ込まざるを得ない。

 

「ええとショット・ウェポン様、大変かっこいいセリフの途中で恐縮ですが……あんたフルチンだぞ」

 

 

 

 

裸ローブの不審者スタイルではさすがにお天道様の下を歩けないと観念したのか、ショットはものすごく嫌そうな顔でモヒカンと犠牲者の死骸から服をはぎ取り、血に汚れてない、サイズの合うものを組み合わせて着用したうえで改めてローブを羽織った。

 

「やっとフルチンから進化したなショット様」

 

「やかましい。この姿に戻っても念力は使えるのだ、あまり舐めたことを言うとボウガンで撃ち抜くぞ」

 

「おお~こわいこわい」

 

仲良く喧嘩しながら(?)その場を探索した俺たち。

 

俺たちがいるのは荒野のど真ん中にポツンと建てられた一軒家であり、建物の中と周囲を入念に探したが奴隷が四人がかりで回すようになっている何の意味があるのかわからない柱と、ショットが殺した犠牲者たちの死体以外に何も見つけることができなかったので、とりあえず食料と水のありそうな場所を探すしかないという結論に達した。

 

さっきまでの怨霊スタイルなら少なくともショットは飲食の必要がなかったのだが、今は肉体を取り戻してしまっている。

 

そして俺は、どうやってか知らないがおそらくは母体から摘出同然に放り出されたり、意識が飛んだまま5年生存してそこからいきなり10歳成長したりとわけわからん状態ではあるが、少なくとも自覚としては生身の人間である。

 

危機的状況を脱したと思ったら空腹とのどの渇き、それにモヒカンにどつきまわされた全身の痛みが一気に襲ってきた。

 

口の中に残る、さっき一気食いしたかき氷の味が、余計に飢餓感をあおる。

 

裸一貫で出ていくわけにもいくまいと、俺は名無しのオーラバトラーに再び乗り込んだ。

 

シートに座ると再び拘束具が装着されるが、操縦桿やスイッチらしきものは一切手に触れないので、とりあえず

 

(歩け~前に歩け~)

 

と念じてみる。

 

するとオーラバトラーは四本の足を亀のように動かしてのそのそと歩き始めた。

 

「おお、思念で動くのかこれ。ええやん」

 

俺がご満悦の体でいると。

 

モニターに映るショットがフワーッ!と浮き上がって、オーラバトラーの背中に乗りやがった。

 

「何をなさってけつかるんですかショット様」

 

「ふん、自分で歩くよりこっちのほうが楽だろう。私のオーラバトラーを勝手に使っているのだから背に乗ったぐらいで文句を言うな」

 

あー!なんかむかつく!正論ぽいだけに余計!

 

よっぽど高速走行してやろうかと思ったが、よく考えたらショットは念力で浮遊移動できるのだし、変に根に持たれてボウガンを打ち込まれても困る(ショットは用意周到に、ボウガンを一緒に持ってきていたのだ)。

 

仕方なく、おとなしくショットを乗せたまま歩くこと30分余り。

 

「ホホホッー!」

 

「へっへっへ、お楽しみだぜぇ~!」

 

「殺すんじゃねーぞ!今夜はたっぷりヤらせてもらうんだからよぉ!」

 

口々に下卑た歓声を上げながら、モヒカンがバイクに乗って一組の男女を取り巻いていた。

 

う~ん、世紀末。

 

ていうか、北斗の拳みたいなバイクに乗ってトゲのついた革ジャンを着て斧やら棍棒で武装したモヒカンがいるし、本当にこの世界はアニメを含むありとあらゆる世界から糞みたいな悪党ばっかり送られてきているんだろうなあ……。

 

しみじみ思った俺は、とりあえずバイクに乗ったモヒカンに取り巻かれながらも、きっとした表情で敵をにらみつけながら剣を構える身なりのいい少年と、身をちぢこめて少年の背中にしがみついている同年代のメイドさんを救うことにした。

 

この二人がこの世界本来の住人か、それともどこかの作品から転移してきた極悪人かはわからないが、少なくともモヒカンよりは話が通じるだろうと思ったからだ。

 

ショットはもともと邪悪なのでこれ以上人を殺しまくれば邪神ブタガルホザナキに取り込まれるんじゃないかと懸念した俺は、

 

「とりあえずモヒカンぶっ殺すんで!このオーラバトラー武器とかついてないのかショット様!?」

 

と機体の上に陣取るショットに呼び掛けた。

 

「ないっ!そいつはあくまで聖戦士を見出すためのものだ!」

 

「ありがとうよっ!オーラバルカンかフレイボム、せめてショットクローぐらいはつけといてほしかったなあっ!」

 

叫ぶと俺は、

 

(突撃しろ!最大戦速!)

 

と思念を送り、オーラバトラーを駆けさせ……

 

そのままカギ爪の生えた前足で、バイクのうち二台をカチ上げた!

 

「かぶ!」「べすぱっ!」

 

断末魔と共に派手に血を流し、手足と首があらぬ方向に曲がって吹っ飛んでいくモヒカン。

 

だがモヒカンはまだまだいる。

 

「野郎オブクラッシャー!」「俺たちを乙(おつ)軍団と知ってのことか~!」「ヒャッハー!」

 

次から次へと現れるモヒカンに対し、俺は

 

(オーラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオーラァッ!)

 

と前足でラッシュを繰り出す!

 

「はーれぇ!」「どぅかってぃ!」「ほんだっ」「やまはぁ!」「めいとっ!」

 

ものの5分もしないうちに、モヒカンどもは全員大地に屍をさらし、バイクは残らず鉄くずと化してしまった。

 

「ククク……御大層な警告をしていたが、貴様もなかなかどうして残虐な真似をするではないか」

 

ショットの嘲笑を聞き流しながら、俺はオーラバトラーのコクピットを開ける。

 

途端にむわっと立ち込める血とガソリンの悪臭。

 

俺は努めて意識を悪臭から切り離しながら、

 

「大丈夫ですか!襲われてた人ー!?」

 

と声をかけた。

 

すると、いまだに警戒態勢で剣を構えたままの少年が

 

「どこの手のものだ……!その見慣れぬ操兵といい、従えている練法師といい、兄の手の者とは思えんが!」

 

と激しい言葉を飛ばしてきて、俺はびっくりした。

 

操兵?練法師?兄の手の者……うーん聞き覚えがあるぞ……

 

改めて少年とメイドさんの顔をしげしげと見た俺は……

 

即座に膝をついて首を垂れ、臣下の礼を取った。

 

「初めてご尊顔を拝します。知らぬこととは申せ、不作法の数々をお詫び申し上げます。コラム・イスカ・コーバック第三公子様」

 

そして首だけ後ろにねじると

 

「ぷかぷか浮かんでないで早く降りてきて臣下の礼を取ってくださいショット様。このお方はあんたの前世でいえばリムル・ルフトぐらいえらい立場なんで」

 

とショットに声をかけた。

 

(ダンバインの次は聖刻シリーズかよ……もしかしてファンタジーロボット物なんでもありの世界観なの?ここ)

 

目の前にいるのは俺が大好きだったファンタジーロボット物小説、「聖刻群龍伝」のなかでも、とりわけ悲劇的な運命をたどった主従だ。

 

それだけに思い入れがたっぷりあるキャラなんだよね。

 

さて、どうするかな……

 

不満たらたらで臣下の礼を取るショットをほったらかして、俺は意識を巡らせる……




続いちゃったよ

新年からどーすんのこれ
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