全てが狂っている世界に転生したから死ぬるのは嫌でござる   作:砂漠のタヌキ

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42歳厄年です。
厄を濃縮還元するんじゃないよ!人が寝正月しているときにさア!


敵マシン登場!割と本格的に無茶な戦い!

(これまでのあらすじ)

 

眼鏡っ娘は世界を幸福にする。以上。

 

……あ、主人公と名無しのオーラバトラーに名前がついたり、スプリガンの成れの果てを撃ち落としたり、いよいよもって国盗りに踏み出したりもしました

 

(ここから本編)

 

俺ことギガースのオーラバトラー……名無し改めブロンズ・アケロン(命名コラム王)は、いい感じの高度を快速で飛行していた。

 

もともと飛べなかったのに機体底面から4つのノズルが生えてきたので、ちょうどオーラボム・タンギーのような感じで飛翔しているのだ。

 

ちなみに、ノズルが生えると同時に追加された速度計から判断するに、最高時速300リル、巡航速度でも250リル……kmに換算すると飛ばせば時速1200キロで、時速1000キロで巡航できるようだが、おそらく機体形状的に衝撃波でえらい目に合うし、生身でデサントしている人が死ぬ。

 

なので「いい感じの高度を快速で」というごっつ適当な範囲での飛行にとどめているのだ。

 

まあそれでも感覚的には高速道路を飛ばしているぐらい……おそらく時速100キロ前後で巡航しているのは間違いなく、コラム王とオフィーリア嬢は目を回しそうになっていた。

 

現代社会で生まれ育ったショットは平気だが、平気だけにトロさが我慢できないらしく、

 

「全く……お前のオーラ力が常時バリアーを展開できるぐらい高ければ、問題なく巡航速度で飛べるのだぞ」

 

とわざわざ収音装置に嫌味を垂れてきた。

 

「すんませんね……聖戦士レベル低くて。あ~あ、ハイパーオーラ斬り使いてえな~」

 

「なんだそれは」

 

「必殺技ですよ」

 

不得要領な会話を交わしながら飛んでいると、ほどなくして前衛芸術気取りのような、タワー天丼のような、4つの細長い構造物を四角錐っぽく立てかけた建築物が見えてきた。

 

話に聞いていた距離的におそらくあれがモノソクリペペルなのだろう。

 

俺はモニターを望遠モードにして、可能な限り建築物の様子を割り出そうと試みる。

 

「どうやらあれがモノソクリペペルみたいですね。……ええと、立てかけられているのは……げ、ゼラーナじゃねえか!?他の3つはナムワン、ナムワン、グリムリー、か。ショット様!ナムワンを垂直におっ立てて、居住の用には使えると思うか?」

 

「ふむ……無理やり吊り床を作ったりすれば何とかならなくもないかもしれないが……まあ、まず無理だろうな。グリムリーはアの国では使っていなかったからわからんが」

 

「あー、あれは中に空間が多い輸送船みたいなもんなので、ナムワンよりは何とかなると思います。とすると、メイン居住区はグリムリーか……」

 

様子を見ていると……機種を地面に突き刺す形で斜めに立っているゼラーナの、格納庫の大きな開口部から、何かが飛び出してきた。

 

「おいおい。こないだのゲーミング全裸中年男性が飛んできたら怒るぞ……って違う!やべえ、オーラプレーンだ!ショット様、コラム王、オフィーリア嬢!すぐに地上に降りるから機体の影に隠れて!」

 

警告を発すると、俺は動力を切って落下し、地上に激突寸前にオーラノズルを逆噴射して着地!

 

三人がブロンズ・アケロンの背面から降りて機体の下に潜り込むのと、迫ってきた小型戦闘機……オーラプレーン・フラッタラが、機種のオーラバルカンで地上を掃射しながら通り過ぎるのはほとんど同時だった。

 

カンカンカンカンカンカン!と、装甲を叩く耳障りな音がコクピットに響く。

 

「貫通は……されてねえ!オーラキャノンも……損傷なしか!とはいえ撃ち落とせなければ生身のメンツはじり貧だ……!」

 

「おい!ドレイク軍でも他の軍でもあんなオーラマシンは見たことないぞ!この世界には独自にオーラマシンを作れる技術があるというのか!?」

 

ショットの焦った声が収音装置から響く。

 

「あー、あんたが生きて怨霊になった世界とはまた別の、並行世界のバイストン・ウェルでミの国が使ってた戦闘機だよ、あれは。ゲドレベルの機体ですら持ってなかったからあんなもんを作るしかなかったんだ。脅威度ははっきり言ってドロ以下だ……とはいえ、このままじゃどうにもならねえ……」

 

射撃を仕掛けてきた機体は一航過でゼラーナへ戻っていく……が、敵の戦力がオーラプレーン2機だけとも思えない。

 

地面に突き刺さっているオーラシップの大砲類はまともに使えないとしても、艦内にフラッタラ以外のオーラマシンが搭載されていない保証はないし、そもそもモヒカンどもはモノソクリペペルを拠点にあちらこちらに部隊を送り出していると聞いていたじゃねえか。

 

「チョーっとばかり早まった……かっ!?」

 

どうすればよいか必死に策を考えていた俺は、フラッタラと入れ替わりに、ナムワンのハッチから出撃してきたものを見て目を見開くことになった!

 

甲殻類のような着陸脚を備えたオーラマシン。俺の機体にやや劣るが互角以上に戦闘が可能と思われるオーラボム・タンギーが2機!

 

こいつらがめいめい、胴体下に足の爪でつかんで、鉄の樽に手足を付けたような姿で長槍を持ったロボットをぶら下げて飛んできたのだ!

 

「や、やべえ。本格的にやべえ。逃げようとすればタンギーが来る!かといって俺がタンギーに立ち向かっても、従兵機がみんなを……!」

 

ぎりぎりと奥歯をかみしめる。

 

これは詰んだか……!?

 

その時、ショットが問うてきた。

 

「おいギガース!今コラム王に確認したのだがな、あのロボットは王の世界にいたマシンに似ているそうだ!おそらく従兵機というものらしい!」

 

「ああ知ってますよ!コラム王はご存じないと思いますが、あいつは東方製のムルーアって従兵機です!従兵機の中でも最低の粗悪品ですよ!歩兵の手にはちょっと余る敵だけど!」

 

「聞いたところ人間の手持ちの武器ではまず傷がつかんそうだな!だが安心しろ、私はスプリガンの艦内に残っていたガダの矢を持てるだけ持ってきている!これを撃ち込めば、装甲の質が中世レベルの鋼なら何とかなるはずだ!」

 

ガダの矢というのは、バイストン・ウェル特有の、鏃に爆発物を取り付けた矢である。

 

弾頭への衝撃で爆発するので使う人間にとっても結構危ない代物なのだが、どうやら砦攻めと聞いて用意周到に回収してきていたらしい!

 

有難い!ビバショット!

 

「いいか!私とコラム王とオフィーリア……嬢は三人でガダの矢で従兵機を相手する!お前はタンギーはじめとしてオーラマシンを落とせ!」

 

「分かった!ああ、従兵機の装甲がもしも抜けなかったらヤバいだろ?仮面……奴の顔を狙え!そこをぶっ壊せば機体が死ぬ!」

 

弱点を伝えると俺も覚悟を決める。

 

分は圧倒的に悪いが……やるしかねえ!!!

 

 

 

俺の妨害砲撃をかいくぐって、タンギーが従兵機を地面に下ろす。

 

それが戦闘開始の合図だった。

 

俺はブロンズ・アケロンのオーラコンバーターに全オーラを送り込み、最大速力でタンギーに突っ込んだ!

 

タンギーはさっとかわすと、一機が機体の前向きに生えたキャノンを放ち、一機がショットクローを打ち出してワイヤーでブロンズ・アケロンをからめとろうとする!

 

「くそ!やりにくいな相手にまともな反撃手段があるってのは!」

 

それにしても、相手は完全にタンギーを乗りこなしているようだ。

 

モヒカンにここまで巧みにオーラマシンが動かせるとは思えない。

 

もしタンギーのパイロットたちがバイストン・ウェルから来ているのなら、タンギーを使っているということは、もしかしたらクの国の兵士かもしれん。

 

そうだとしたら折角ショットを連れているのだし、こっちが同盟国のドレイク軍だとアピールして寝返らせることができないだろうか?

 

一瞬でそう考えた俺は、オープンチャンネルでタンギーに呼びかけを試みる!

 

「おーい!俺たちはドレイク軍だ!ショット・ウェポンもこっちにいる!お前らクの国は同盟国だ!同士討ちをやめろーっ!」

 

一瞬タンギーの動きが止まる。

 

せ、説得が効いたのか……!?

 

「ドレイク軍の手の者……?!おのれ、野盗の群れに身を投じ、捲土重来を期して耐えに耐えた甲斐があった!」

 

「ロクとギュゲスをすぐに呼べ!我らミの国機械兵団、ピネガン王の恨みを今こそ晴らしてくれるわ!」

 

しまった!賭けは失敗だ!

 

フラッタラがいる時点で予測しておくべきだったかもしれんが、こいつら、ドレイク軍に滅ぼされたミの国の遺臣じゃねえか!

 

こうして俺は、タンギー2機に加え、再出撃してきたフラッタラ2機からも攻撃を受けることになってしまった!

 

4対1の攻防に、俺は攻撃をかわすのが精いっぱい。

 

時折キャノンで反撃を試みるが、残念ながらマシンの操縦は相手に一日どころではない長があり、ひらりひらりとよけられてしまう。

 

地上の三人を思いやる余裕もなく、俺は次第に追い詰められていくのだった。

 

【side コラム】

 

東方式の長槍を携えた二台の従兵機……確かギガースがムルーアと呼んでいた……は、予たち3人をめがけてのしのしと突き進んできた。

 

予とオフィーリアは、ショットなる練法師だか操兵鍛冶師だかから渡された弩に、ガダの矢とかいうものを装填し、やってくるムルーアを待ち受ける。

 

空では先ほど予たちを銃撃したフラッタラなる空飛ぶ機体が戻ってきて、タンギーなる機体に加勢し、ギガースのブロンズ・アケロンを追い詰めている……。

 

「コラム王。気を散らすな。死ぬぞ」

 

ショットの窘める声で、予は我に返った。

 

そうだ。予はこいつらの思惑に敢えて乗ってやる形で、国盗りの第一歩を踏み出したのだ。

 

こんな所で従兵機ごときに殺されてやるわけにはいかんのだ。

 

ちらりとオフィーリアを見る。

 

先の戦いの後の葬儀後、たわむれに無法者たちが持っていた弩や、「ピストル」だか「サタデーナイトスペシャル」だかいう弓のない弩の台尻だけのような奇妙な武器を打たせてみたところ意外なことに4人の中で一番うまかったのでここまで連れてきてしまったが……

 

オフィーリアは、必死に落ち着いてムルーアを狙っている。

 

それでも震えは隠し切れないのだろう。

伏せ撃ちの姿勢になって、震える全身を必死に地面に押し付け、照準をぶらすまいとしている。

 

「コラム王。私は左側のムルーアを狙う。王とオフィーリア嬢は右側を狙え」

 

ショットの言葉に「わかった」と返すと、予もしっかりとムルーアに狙いを定めた。

 

ムルーアが長槍を振り上げる。

 

走ってくる。

 

鈍重な動きが次第に加速されていく。

 

地面が揺れる。

 

鉄の足が、腕が、装甲がぶつかり合って耳障りな音を立てる。

 

まだだ。

 

まだだ。

 

まだ……

 

ムルーアの構えが変わる。

 

地面を薙ぎ払うためにさらに振りかぶって

 

「撃てぇ!」

 

ショットの声を聴いたのが先か。引き金を引いたのが先か。

 

ドウッ!ドドウッ!!

 

ムルーアの仮面に爆発の花が咲いた。

 

同時に二台のムルーアは崩れ落ちる。

 

文字通りバラバラになってしまったのだ。

 

「なっ……」

 

仮面を砕けば操兵は死ぬとはいえ、一瞬でバラバラになるとは。

 

ギガースの言うとおり、粗悪品なのは事実だったようだ。

 

そして、身の丈1リート……確かショットは4メットと言っていたか……の高さからいきなり地面に投げ出される形になったムルーアの操手は、一人は首の骨をへし折り、一人は地面に転がったところに降ってきたムルーアの部品につぶされて、命を落とした。

 

さあ、空の戦いはどうなった?

 

【side out】

 

4機のオーラマシンの連携に、俺のブロンズ・アケロンはもはや風前の灯火といってよかった。

 

奇跡的に頭部や四肢をもぎ取られたりオーラキャノンを破壊されたりといった致命的な損傷はないものの、機体のあちこちにはオーラバルカンやオーラクローによる無数の傷が刻まれ、俺自身も綱渡りのような回避を繰り返して急速に疲弊している。

 

だんだん嫌な当たり方をすることが増え、逃げに徹してチャンスをうかがうことすらできなくなっていた俺だが……

 

「しまった!ムルーアがやられた、ショットたちが逃げるぞ!」

 

「逃がすな!追え、追うんだ!」

 

無線機が敵の通信を拾ったと思うと、フラッタラが機種を翻して地上掃射に向かうが……

 

一機の翼が吹き飛び、そのままきりもみしながら墜落、地面に叩きつけられた!

 

「無茶しやがる!ガダの矢で対空射撃をしたな!」

 

俺は快哉を叫ぶと、唖然として動きの止まったタンギーの一機に至近距離からキャノンを発砲!

 

命中を確認する間もなく、機首を翻して、もう一機に突貫!

 

両前脚でめちゃくちゃに殴りつける!

 

機体上部の乗降ハッチに突っ込んだ左前脚で中をかき回すと、素早く腕を抜き、再度地上へ銃撃を試みるフラッタラに突進!

 

「やらせねえよおおおおお!!!!!!!」

 

俺の気迫が最大限に高まり……

 

まっすぐ地上の三人に伸びていた射線は、ブロンズ・アケロンに当たることなく完全に防がれた!

 

「で……できたっ!オーラバリアーだ!」

 

俺は喜びのままに、最後の残弾をフラッタラに叩き込み……

 

「あ、や、べ……オーラ切れだ……」

 

気が遠くなるのを感じながら、必死に機体を制御し、なんとか着地して……

 

意識を飛ばすのだった。




今回死闘も死闘ですね……

仲間にしているのがショットだったので、哀れミの国残党軍は爆発四散!ドレイク値急上昇!
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