全てが狂っている世界に転生したから死ぬるのは嫌でござる   作:砂漠のタヌキ

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アイデアが枯渇していたので執筆が止まってしまった。
7話より長い話を書けたためしがないんだよ私は

とりあえず再充電が完了したのでまた動き出しましたよっと


ずっと楽々チートだったらよかったけど現実はそうもいかないものでして

(前回のあらすじ)

 

労働力も兵力も資源も食料も、とにかくいろんなリソースが足りなすぎることに気づいた4人。

 

国力充実のためにオーラシップを修理したり、新たに招き入れた人材を活用して、オーラバトラーや操兵の生産に着手したりする。

 

だがあまりに都合よくリソースが増える現状に不安も感じられ……

 

(ここから本編)

 

内政を始めてから1年。

 

シトオゲア村は、従兵機とオーラマシンを用いた力業の土木工事によって大型化し、巨大な城塞都市となっていた。

 

もうこうなってくると王国とだけ呼ぶのも無理になってきたので、「新イシュカーク」「ラース・ワウ」「埼玉県川越市」などの命名候補があったが、どれも気に入らなかったコラム王の鶴の一声によって、国号は

 

≪フレム・リュード≫

 

に決定された。

 

なんでもコラムの故郷の古語で「天位の巨人」を意味する言葉らしい。

 

ロボット兵器を主力に据えて、軍事力で国を拡大している王国だからまあ妥当な国号だな。

 

 

ちなみに予想は着いていると思うが「埼玉県川越市」を主張したのは俺だ。

 

やばいと思ったが、脳内に沸き上がった回答を止められなかった。

 

結果、ショット・ウェポンに「お前は日本人だったのか」と呆れながら言われた。

 

覚えている死にざまから考え併せてもそうなのだろうが……

 

くそ、日本のことをフィクション作品以外何も覚えていないのはイライラするもんだな。

 

そして、リソース強化もいよいよ大詰めを迎えていた。

 

 

 

 

『オーライオーラーイ!そこ、ゆっくり下ろせよー!』

 

『オッケー!……下ろしたぞー!』

 

『了解!ボルト結合が終わるまでそのまま頼むわー!』

 

スプリガンの超大型オーラコンバーターが、ドラムロによる玉掛で釣りあげられ、職人によって艦体に固定される。

 

機械の館ができたことで、オーラシップの修復も加速した。

 

ナムワンの残る1隻、グリムリー、ゼラーナも修復が完了。

 

ちなみにゼラーナは修復のさいに外と素通しの格納庫は壁でふさいだ。飛行中に敵に乗り込まれたり転げ落ちたりするなど正気の沙汰ではない。

 

そして、ついに今日、他の4隻とは一線を画するオーラクルーザー・スプリガンの修復が成ったのだ!

 

スプリガンの強みは、圧倒的な高速と、射撃管制レーダーの搭載にある。

 

残念ながら原作でゼラーナを撃沈する原動力となった射撃管制レーダーはぶっ壊れており使い物にならなかった、まあド派手に撃墜された上に700年ほおっておかれたのだから当たり前だが。

 

しかし他のオーラシップとはかけ離れた高速はそのままだ。

 

ショットは嬉々として試運転に繰り出すことを進言し、コラム王は熟慮の末、たぶん唯一抑えを利かせられる俺を同行させることを条件に許した。

 

 

「……」

「……」

 

俺たちはスプリガンの艦橋で絶句している。

 

スクリーンには、フレム・リュードをはるかに上回る規模の大都市が映し出されている。

 

地上をうろうろしているのは操兵だ。

 

従兵機だけでなく狩猟機も多数確認できる。

 

そして……豪華絢爛な城塞の横に、巨大な宇宙船?らしきものが着陸しており、その前には操兵を2倍強のサイズに引き伸ばしたような優美な巨大ロボットが。

 

「我々は井の中の蛙だったのか……まさかこの星に、こんな大国があろうとはな」

 

一応ナムワンが修復された時点で、可能な限り高空へ上昇し、俺たちがいるのが惑星の上であることは分かっていた。

 

だがナムワンの鈍足(巡航速度が480キロ。コラム王たちには信じられない速さだが、俺たちにとってはジェット機でも出てきたらおしまいだとしか思えなかった)から積極的な探索を避けていたのだ。

 

あまり高度な文明はなく、ひたすらモヒカンと犠牲者が湧いてきて、たまに転生者が落ちてくるぐらいだとたかをくくっていたのだが……

 

「やべえよ。こいつらただの大国じゃねえ……ダカイト・ラズマ軍にユーバー・バラダかよ……」

 

ダカイト・ラズマは、コラムの縁で来たのだろう。

 

まあアハーンの西方世界とはいえ、コラムが生きていたより800年以上前の時代の連中なのだが、宗教的な目的のために殲滅戦に近い大戦争を起こして回っていた恐ろしく強い大国である。

 

そしてユーバー・バラダ。

 

ディグが来た時に恐れていた敵が、ついに来てしまった。

 

ユーバー・バラダそのものは物語の最序盤でさくっとやっつけられるしょうもない悪役なのだが、ファイブスター物語の世界が問題なのだ。

 

細かいことはおいといて、この世界のロボットであるモーターヘッドは、基本出力一兆馬力、短距離ワープ機能実装、宇宙でも地上でも戦闘可能、そもそも超音速で行動でき、自己再生機能まで有しているので一般の兵器では絶対に太刀打ちができない。

 

倒す方法としては起動前に破壊するか、何らかの手段で転倒させるしかない。

 

構造が華奢なのか知らんが転倒すると大破してしまうという設定があるのでな。

 

ああ、あと首元というか顎の下が弱点で戦闘中ここを狙えば一撃で破壊できるのだが、騎士でない一般の人間には不可能だ。

 

そう、騎士だよ騎士。

 

モーターヘッドを操縦できるのは、「騎士」と呼ばれる、古代帝国が戦闘用に遺伝子をいじくった超人と、そのサポートを行う「ファティマ」という人造人間のコンビに限られる。

 

「騎士」も「ファティマ」も超音速で動き回れ、騎士でない人間が対峙したとしたら、影すら踏めずに命を取られる。というか作中で何回も一般人が騎士やファティマに蹂躙されている。

 

まあモーターヘッドは維持管理に莫大な金がかかるとか、騎士は人間兵器みたいなもんだから人権が制限されるとか、ファティマはそもそも人間に絶対服従するようプログラムされているとかいろいろ枷はかかっているのだが、これを十全に運用できる後ろ盾がいると、他の勢力には対抗手段がなくなるのだ。

 

さらに悪いことに、前提として世界全体が文明の停滞期に入っており、モーターヘッドそのものはよほど特別な機体でもない限り団栗の背比べめいて極端な性能差がない。

 

各国の君主は陣取りゲーム感覚で星間戦争をやりまくったり、新型機のテストのためによその国に機体を騎士ごと派遣して辻斬りを繰り返したり、最終的には作者自ら設定した無敵軍団がすべてを蹂躙して恐怖政治に陥ったりとまあとにかくろくでもない上に、そのメンタリティがこのブタガルホザナキ宇宙と悪い意味でがっちり噛み合い過ぎる。

 

前述の補給問題も残虐行為手当があれば難なく片付いてしまうし、あとは加速度で一気に業を積み上げ、ブタガルホザナキが降臨しておしまいである。

 

むろん、フレム・リュード王国など鎧袖一触に蹴散らされてしまうことは言うまでもない。

 

……俺が考えている間に、スプリガンは超高速でダカイト・ラズマとユーバー・バラダの悪魔合体チームの領地を脱出していた。

 

まあ、宇宙船もどき……もといモータードーリーが追いかけてくれば、スプリガンなどひとたまりもないので、相手する価値もないと判断して適当にスルーされたといったところだろう。

 

かき氷神託によって原作知識をぶち込まれたショットにも事の重大さは理解できたようで、一言も発せず押し黙っている。

 

「……なあ、ショット」

 

「なんだ」

 

「飛んでる途中でそこそこやばそうなモヒカンとかガロウ・ランの拠点らしいのを見かけたよな?あれらをわかる限り回ってほしい。……原則、俺が壊滅させて残虐行為手当て稼ぐから」

 

 

 

 

俺は覚悟を決めることにした。

 

じっくりとフレム・リュード王国を育てていくのは間に合わない、今必要なのは、おそらく遠くない将来ぶつかる敵軍に対抗できる兵器。

 

すなわちモーターヘッドである。

 

それほどの戦力を一気に手に入れるのは、残虐行為手当しかあるまい。

 

そして、ショットやコラムだと、自分たちがやってきた世界の因縁をたどってオーラマシンや操兵を呼び込んでしまう。

 

いやまあ、オーラマシンはともかく、操兵だとファンタジー存在だから神に近い機体もないではないんだけど……

 

そういう存在はいるだけで世界の定義を書き換えてしまうので、最悪、この宇宙が丸ごと消し飛んでしまいかねない。

 

それに万が一コラムが堕ちてしまえば国はバラバラになるし、何よりもオフィーリア嬢が不幸になってしまう。

 

それはよからぬ。

 

故に俺が、自ら命を削るしかないのだ。

 

 

 

 

 

ブロンズ・アケロンがスプリガンに着艦する。

 

俺は異常な心身の興奮を覚えながら、それをひどく冷めた絶望的な気分で認識するという、分裂した状態で機体から降り立った。

 

今日はあまたのモヒカンやガロウ・ランにとっては、最悪の一日になったことだろう。

 

俺の戦法は単純極まりなかった。

 

まずブロンズ・アケロンの最大速力を発揮して敵拠点を強襲。

 

そして、内政期間中にショットに改造して増設してもらったフレイ・ボムを四肢の爪の間、人間でいえば手のひらや足の裏当たりの発射口から、手当たり次第に建物に叩き込む。

 

放火された建物から人間が出てくるまでの間に、オーラキャノンをぶち込みまくり、出入り口を破壊したり上の階を倒壊させたりして被害を拡大する。

 

あとは逃げ回る生き残りを追い回し、オーラバルカンで掃射したり、場合によっては着陸して、爪にかけて回る。

 

焼夷剤と弾薬を使い切るまで暴れまわり、途中で数えるのをやめたので正確な数は覚えていないが、5つ以上の砦を壊滅させて俺は戻ってきた。

 

(どれぐらい業がたまったんだろうな……考えたくもねえ……)

 

俺は帰還の報告だけすると、とっとと自室に戻り、疲労困憊なのに興奮で寝付けない事態を見越して持ってきていた睡眠薬を水で流し込むと、ベッドに入った。

 

 

 

 

「またここか」

 

以前、オーラ力の使い過ぎで気を失った時に見た、悪夢か幻覚のような世界に、俺はまた戻ってきていた。

 

五感をさいなむ不快な照明、悪臭、地面の感触、鳴り響くガラスをひっかく音に耐えていると

 

「お外道とうございます~~~~~~っ」

 

マツケンサンバみたいなド派手な金色の着物に、内臓をまき散らす惨殺死体が刺繍された冒涜的な着物を着て、「お前は豚野郎」「どの面下げて呼吸してるの?」とそれぞれかかれた2つの扇子を広げて振り回しながら、イトーゴトー・カトーサトーが現れた。

 

なぜわかるのかというと、旗竿のように背中に背負った金色の看板に、「私はイトーゴトー・カトーサトーです」と書いてあるからだ。

 

「あなたはこの世界から業を排除する側でありながら、それをガン無視して残虐行為手当てに頼りました!よっ!クソ野郎!てめえは蛆虫なんだよ。それを自覚しねえで人間面して生きてるんじゃねえぞ糞が」

 

イトーゴトー・カトーサトーは開幕俺を罵倒してきた。

 

俺が無関心に突っ立っていると

 

「スカシてこいてんじゃねーよ!お前がやりたいことは、結局残虐に人を殺して、なけなしの反撃をあざ笑いながら踏みにじって、おもちゃ扱いして人間を惨殺してーだけなんだよ!自分の国を守るためだとか自己犠牲だとか正義面しやがって!クソ以下のゴミ豚の癖に人間気取ってんじゃねえ!自分に正直になれや!」

 

とどこからともなく取り出した角材を地面に叩きつけてへし折り、折れて尖った角材で俺をめった刺しにしながら叫び続けた。

 

さすが悪夢か。すさまじい激痛が走り、血が肉が飛び散っているのに、一向に俺が死ぬ気配はない。

 

突き刺した角材が叩きつける勢いで砕け、ぜえはあぜえはあと肩で息をしているイトーゴトー・カトーサトーに、俺はズタズタになった腸を飛び出させ、焼き串のように口から後頭部へ角材を突きさしたまま言う。

 

「俺の本性がクソ野郎なのはどうでもいいが、自分に正直になったら殺戮者にならんといかんのか。大変だな」

 

するとイトーゴトー・カトーサトーはスプレー式の洗剤を取り出し、

 

「洗剤はお友達っ♪屑を掃除してやりましょう死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」

 

イトーゴトー・カトーサトーは、最初は瞼を強引に開いて眼球に洗剤をスプレーしたのだが、両眼を潰すと興奮しながら、洗剤の容器を逆さにして硬めのプラスチックのトリガー部分で俺の頭をひたすら殴りつけ、容器を取り落とすとそのまま全身に無茶苦茶に拳を叩き込んできた。

 

骨が砕け内臓がつぶれどんどん原型を失っていくほどに、俺は事態をクリアに理解できていた。

 

この世界はそもそもが異常な存在が捏ね上げた狂った宇宙であり、無意味で無秩序な破壊と混沌だけが世界のルールであり、最終的に他のすべての並行世界を巻き込んで汚染し、永遠の苦痛だけがあまねく存在するように方向づけられている。

 

しかるに、それを阻止せんとする他の並行世界すべての意思を受けて、俺と俺に協力する異世界人はまっとうな秩序ある国家建設を目指して邁進している。

 

狂った世界はそれが気に入らないから、ある意味特異点である俺を集中攻撃して狂気の存在に変えることで、世界から救済の目を一切無くそうとしているのだ。

 

それも、直接世界そのものを理不尽に操って、例えば俺が道を歩いていたらいきなり直径10キロの隕石が直撃して岩石津波で惑星が滅びるとか、ありとあらゆる武器兵器呪術超能力その他の攻撃が効かず、いかなる高温低温酸素欠乏毒素注入などにも耐え、食料も水分も一切必要とせず、自己増殖で永遠にクローンを生み出し続け、時速100キロで走り回って首をはねることに特化した殺戮生物を惑星全土に1不可思議匹ばらまいてあらゆる生命を絶滅させるとか、直接的な手段は使えない。

 

だから俺の心身が弱った時に夢を通じて精神を汚染することしかできないのだ。

 

強大な力を持つくせに、なんとチンケでせせこましい、哀れな存在であろうか。

 

俺は轢殺死体よりおぞましいミンチ状になりながら、心からの軽蔑をもってあざ笑った。

 

「無駄な努力ご苦労さん。どうやらそろそろ目が覚めそうなんで帰るわ。二度とここに呼ぶなよ」

 

 

 

 

目を覚ますと、俺は艦橋に顔を出した。

 

もはや見慣れたフレム・リュード王国が眼下に広がっている。

 

「おい。なんだかよくわからないが、あれがあの王国の軍勢に対抗できる兵器なのか」

 

オーラシップの着陸場を拡大した時に映されたものを見て、俺は勝利を確信した。

 

そこには……モーターヘッドを格納して移動できる、整備拠点と騎士・ファティマの住居を兼ねた巨大車両、モータードーリーが鎮座していたのだ。

 

どうやら無事、モーターヘッドの召喚には成功したようだな。

 

だが……ドーリーの隣で兵士に取り囲まれているめちゃくちゃ昭和っぽいデザインのシンプルな巨大ロボット、あれは何だ?




ヒキ・ジツ
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