TS竜人の便利屋日誌   作:逆見御傘

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辰年なので性癖で書いたのをポイします。どれぐらい続くか未定。



プロローグ
TS竜人、入都審査される


『接続都市『ターミナル』。

 正確な日時は不明だが、天歴777年頃*1から異界と繋がりやすいという性質を持ったその場所は、異界同士が交流するための中継点として自然と発展した。

 新たな世界への始発点にして世界の果てに存在するそこは、いつしか終着点(ターミナル)と呼ばれる様になった────』

 

『お次の方、入ってください』

 

 入室を促す声がスピーカーから響いたので、都市案内用パンフレットを閉じた。存外に早く前の人が終わったようだ。

 

 『入都審査室』と書かれた部屋の扉ノックし、「どうぞ」と許可が出たので扉を開く。

 

 審査室には机が2つ置かれており、大きい方にはモニターと書類が積まれており椅子が両側配置されていて、もうひとつはデスクワーク用のスペースになっている。あと錆びた鎌が壁に立てかけられている。アンティークにしちゃ趣味が悪い気が……

 

 大きな机には水色髪に眼鏡の少女が座ってこちらに目を向けており、デスクワーク用と思わしき机には紫髪の栗鼠系獣人の少女が拙い指使いで情報端末を操作している。

 

「私は都市管理局の審査官代理、錆姫(サビヒメ)と申します。貴方は甲竜人種、『ハート・スターク』さんでよろしいですか?」

 

 水色髪に銀フレームの眼鏡をかけた少女、錆姫氏の問いに頷き肯定する。

 

「申請通り有角有鱗有尾、灰色の髪。なりすましや偽造申請の心配はなさそうですね。入都目的は……異界病の治療、ですか。珍しいですね」

 

 入都管理局の少女は一月前に提出された申請書類に目を通しながら呟いた。

 

「異界病の発症自体は珍しい訳ではありませんが、異界病は流行りが出る度にすぐ治療法が確立されたり、特効薬が開発されて流通しますから。流通しているもので治らないレベルは滅多にないです」

 

 大抵の場合輸入品の付着物が原因ですからこういった症状は私が知る限り初めてです、と補足する。

 

 自分が相当運が悪かった事に顔を顰めていると、「安心してください」と審査官が何やらタブレットの画面を提示しながらこちらを向いた。

 

「これは管理局の責任でもありますのでターミナルでの生活は管理局が補助します」

 

 タブレットにはなにやら異界人の被害に関する都市管理局が実施している補填制度について記述されている。

 

「どうぞ」

 

 スワイプして文章に一通り目を通す。不利益や治療等に使用した経費は管理局が全額補填、と。都市に滞在する必要がある場合は滞在に掛かる費用も補填。至れり尽くせりである。見る限りはこちら側に不利益になる記述は存在しない。

 

「ある程度読み終わりましたか?何か疑問点がある場合は是非仰ってください」

 

 首を振って否定する。今の所は疑問点は無い。技術の集積所でもあるターミナルなら、自分が知らないような治療技術もあるだろう。

 

「……あまり都市への滞在を軽く考えてはいけませんよ」

 

 錆姫氏はモニターのなにかを見て立ち上がり、ツカツカと歩き壁に立てかけられた錆びた大鎌を取った。あからさま過ぎたから敢えて注目しなかったのに……

 

「?」

 

 2度、3度と確かめるように鎌を振り──────

 

『GAAAAaaaa!!!!』

 

「五月蝿いですね」

 

 ──────突如。部屋の壁を突き破って現れた巨大な怪鳥を錆びているとは思えない切れ味で真っ二つに斬断した。

 

 破壊された壁から、都市が見える。

 鳥やドローンが飛び交い、人も車も獣も怪物も歩いている混沌とした風景が目に入った。

 

「はぁ、後で修繕ですね……テマリス補佐官、修繕を申請しておいてください」

 

「ぴゃ、ぴゃい……」

 

「この調子ではランチは鳥肉でしょうか」

 

 面倒臭そうに怪鳥の死骸を外に蹴り落としながら獣人の少女に指示を出してから、審査官の少女は言った。

 

「ここはターミナル、多元宇宙の接続点にして異界から人、物、技術、そしてトラブルの集うクソみたいな都市です。それでも良いなら管理局は貴方を歓迎しますよ、ハートさん。」

 

 

 

 

「それにしても……」

 

 鎌を元の場所に戻し、張り詰めていた雰囲気を緩めながら錆姫氏は言った。

 

「スカートとか履かないんですか?絶対似合いますよ?」

 

 

 

 そう。現在、俺ことハート・スタークは訳あって女の体になっているのであった。

 

「履きませんよ!?」

 

*1
約10年前

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