第二章 第零話
私は自室で1人荷物をまとめていた
なぜかって?
孤島鎮守府に
はぁ、とため息をつきながら私は綺麗に洗濯された制服を鞄に詰める
「………にしても、提督が私の制服の洗濯を許可するなんて…こわい」
いつもは出張に行く時に一着はしっかりと洗うが、全ての制服を洗うことなど今までなかった
「私は一体どこのどいつに売られたんだか…」
なんだ?そんな重要なところに飛ばされるのか私は
憂鬱な気分になりながら荷造りを進める
と言っても私の荷物などほぼないため、荷造りは終わったも同然
あとは資料を読み込むだけなのだ
私はだいぶボロくなっている部屋備え付けの机の椅子に座り、机の上に放置してあった資料を手に取る
「.....柱島泊地第Ⅳ鎮守府資料...ね」
私は表紙に書かれたその文字を見つめたまま、ページをめくれないでいた
.....このページをめくってしまったら何かが変わってしまうような気がしたからだ
「........読むか」
私は意を決し、そのページをめくって内容を読み始めた
柱島泊地第Ⅳ鎮守府
....まずこの鎮守府は日本海軍が所有している鎮守府の中で最も東に存在する鎮守府、つまりは太平洋側の日本の防衛の要
そして最前線であり激戦区である
最前線.....つまりここが突破されたら最後、全責任は我々所属している艦娘にかかる+日本の東側の防衛が悲惨なことになる
だから突破されないように鎮守府近海に来た敵は全てなぎ倒し、鎮守府より後にはいかせないようにしなければならない
また、最前線ということもあり敵深海棲艦ももともと我々がいるところとは比べ物にならないほど強い
終わりの見えない空襲
いくら倒してもきりが見えないほど湧いて出てくる深海棲艦
助けを呼ぶことも、逃げることもできない孤島
少し読んだだけでもかなりの激戦区でやばいところに送られてしまうということがわかる
通常任期は2年、2年その鎮守府で生き残ることさえできれば派遣された艦娘は元の鎮守府に戻ることができる....が
戻れない場合も存在するらしい
そして派遣される艦娘はレベルが90以上ではならなくて、かなりの高練度艦娘しか配属されない....
そして私はその資料をしっかりと読み、机の上に投げ捨てた
「..............」
私は...あのクソ提督にとってただの捨て駒か...
あの資料を読んで理解してしまった...
自分はあのクソ提督の評価を上げるためだけにしか存在していないただの人形だったのか
私はそんな現実から少しでも目を背けようと部屋から出て夜風にあたりに行った....
~龍鳳side~
私たちはあの大会の後、柱島第Ⅱに帰ってきていた
その時に瑞鳳だけ呼ばれていたのが少し気がかりで、私は瑞鳳の自室へと向かっていた
「えっと....確かこの部屋だったよね」
私は表札に書かれている瑞鳳という名前がしっかりと書かれているか確認してから扉をノックした
しかし、いくらノックしても返事の一つもなかった
「.....瑞鳳?瑞鳳?」
もしかして過労で倒れた!?
寝てるだけ!?
不安なことが脳裏をよぎり、私は意を決してそのとびあらを開けて部屋の中に入った
部屋にはだれもいなかった
そして部屋の状況はとても悲惨なものだった
壁と床にはところどころ血がこびりついており、府と視線を向けた洗面所にはおそらく瑞鳳の物と思われる髪の毛がたくさん落ちていた
部屋の中へさらに進んでいくと、ベットと机だけが置いてある質素な部屋が現れた
ベットの布はぐちゃぐちゃにされっぱなしで、壁には血で書かれた文字が書いてあったり穴が開いているところもあった
よく見るとベットのフレームが何か強い衝撃を与えたかのように一部だけ歪んでいて....何かコワかった
ベット脇にあるロッカーを少し開いてみてみると、そこには血がついて赤く染まっている瑞鳳の制服や、改二状態の制服、艦載機の簡素整備用品などが置いてあった
机備え付けの椅子はさっきまで誰かが座っていたかのようにこちら側に向けて出されていて、机の上には何かの資料が置いてあった
私はその資料が少し気になり、手に取った時
何かの紙がひらりと床に落ちた
拾おうとかがみその紙に手を伸ばしたとき、その紙に書かれている文字が目に入って体が思わず固まってしまった
そこには....
柱島泊地第Ⅱ鎮守府第Ⅲ艦隊所属瑞鳳ヲ〇月×日ヨリ柱島泊地第Ⅳ鎮守府ニ移籍セリ
と、書かれていた
瑞鳳が....移動?
しかも日付は明日未明....あと一日もないじゃないか...
私はその紙を拾い、資料を読んだ....
「なに.....これ」
柱島泊地第Ⅳ鎮守府に関する資料を読んだ私は、思わずそう言葉をこぼしてしまっていた
だって書かれていた内容が正しいとすれば、私は明日から2年という膨大な時間瑞鳳に会えなくなり、心の支えを失ってしまうということだからだ.....
私は無言でその資料をもとあった位置に戻し、瑞鳳を探しに向かった
~瑞鳳side~
深夜、私は桟橋で一人腰かけて水平線の向こうをただただぼーっと見つめていた
私はあと数時間後、柱島第Ⅱ鎮守府籍ではなくなる
そして激戦区へと向かうことになる
これであのクソ提督と2年離れ離れになれるというのは嬉しいが、龍鳳達と離れるのはかなりいやだ
「...........あと数時間か」
私はこの後龍鳳達にしっかりと別れを告げられるだろうか?このまま何も言わずに去ってしまうのは後味が悪いし、何よりも心配だ
ただ何を言えばいいか全く思い浮かばないな....
もしかしたら今日会うのが最後の可能性だってあるもんな.....私たちは深海棲艦どもと
そして移動先は激戦区なうえに孤島、助けも呼べないし逃げることは不可能、今回だって燃料タンクを満タンにしてさらに特殊な追加増槽をくっつけてようやく片道分だ....
2年....私も、龍鳳も、いつ死んだっておかしくない。
明日になったらもうすでに肉片と化して魚のえさになっていてもおかしくない世界にいるんだ、今私たちは...
あぁ、いやだなぁ.....
何にも話すこと浮かばないや....
........と、私がそうボーっと考え事をしているときだった
「.....やっぱりここにいたんだ、瑞鳳」
後ろから龍鳳の声が聞こえてきた
あーぁ………見つかっちゃったか
「……よくここの場所がわかったね、龍鳳」
私は龍鳳の方を向きながらそう言葉を発した
「だって、瑞鳳いつも悩んでる時は大体ここにいるじゃない」
劉邦は私の方へゆっくりと近づきながらそう言葉をかえした
そうだったのか、自分にそんな癖があったなんて
龍鳳は無言で私の隣に座り、私と同じように黄昏始めた
「「……………」」
それからしばらくの間、無言の時間が生まれた
「………ねぇ龍鳳、話があるの」
そしてその静寂を打ち破ったのは私の方だった
「うん」
龍鳳はしっかりと私の方を向きそういった
「私....ね、あと数時間後に柱島第Ⅳ鎮守府に移動することになったんだ....」
私は意を決し、そう話し始めた
「うん、知ってるよ だって瑞鳳の部屋で資料を読んじゃったから」
あーぁ、読まれちゃったのか....
「そっか、読んじゃったんだ」
「ごめんね、勝手に部屋に入って読んじゃって」
「いいよ....どうせいつかは言わなきゃいけないことだったんだから」
私はそう言いながら龍鳳の目を見た
龍鳳の目はしっかりと私の目を見つめていた
「.....これから二年、もしかしたらもっとかもしれないけど離れ離れになることになる、ごめんね」
「あやまらなくていいよ、その間第Ⅲ艦隊はどうなるの?」
「提督から聞いたことが正しければ、解体されてそれぞれ再編成される手はずになってるから即解体とかはないはずだから安心して」
「わかった、ありがとうね」
「そして....さ、これだけは約束してほしいんだけど」
私はそう言いながら龍鳳の手を取った
「これから先の二年間、何があっても死なないでほしい、私は絶対龍鳳達に会うために帰ってくるから、それまで生きてて」
きっと私の目には少し涙が浮かんでいただろう
「うん、わかった。絶対に沈まないから、死なないから 瑞鳳しっかりと帰ってきてね」
龍鳳はそう言って握っている私の手を引っ張り抱き寄せてきた
「待ってるから」
「後は頼んだよ....龍鳳」
私はそう言って龍鳳を強く抱きしめた
........
それから数時間後
私は提督の執務室で転属命令書を受け取っていた
転属命令書にはこう書かれていた
【転属令】
航空母艦 瑞鳳 転属ノ件
柱島泊地第Ⅱ鎮守府所属 航空母艦「瑞鳳」ニ対シ、令ニ依リ左ノ通リ転属ヲ命ズ。
一、右艦ヲ以テ柱島泊地第Ⅱ鎮守府所属ノ任ヲ解キ、
令和陸年七月拾四日ヲ以テ柱島泊地第Ⅳ鎮守府所属ト定ム。
一、本令、即日施行スルモノトス。
右、命令如斯。
令和陸年七月拾四日
柱島泊地第Ⅱ鎮守府
提督 海軍大佐 楠 成之
受領:
航空母艦 瑞鳳
.....と、書かれていた
いやまぁやっぱそこは海軍なんだなと感じた分だよねウン
そして私は目の前に提督に
「柱島泊地第Ⅱ鎮守府所属 航空母艦 瑞鳳 之を柱島泊地第Ⅳ鎮守府所属と定め、令達す 速やかに所定の手続きを履行し、任務に備ふるものとす。
それじゃァ達者でな、せいぜい五位戦果を挙げてくるんだぞ」
提督はそう言って私を部屋から追い出した
「....失礼しました」
私は心に思ってもないことを最後に口に出して提督室をあとにした
そしてそのまま桟橋まで歩き、装備や荷物、燃料などを確認しながら待機していた
やがて柱島泊地第Ⅳ鎮守府へ持っていく年に数度の大型補給船が到着した
周りにはそれはもう練度の高そうな駆逐艦や軽巡、重巡から空母まで護衛をしていた
その中に一人、おそらく代表であろう艦娘が私に柱島泊地第Ⅳ鎮守府へ移動する艦娘なのかの確認をとってきたので艦隊司令部の印がしっかり押されている移動命令書を差し出した
確認が取れたようでその艦娘は私に向かって早く来いと手招きをしてきた
私はそれを見て桟橋から飛び降りようとして....最後に後ろを振り返った
後ろには龍鳳達含む第Ⅲ艦隊の面々が見送りに来ていた
「.....後は頼んだよ」
私は仲間たちに笑顔でそう言葉をこぼし手を振ってから桟橋を飛び降りた
そしてそのまま補給船の護衛のメンバーへと加わった
そしてしばらく進んで最後にちらっと鎮守府の方を振り返り、私は泊地第Ⅱ鎮守府所属ではなくなった
そして、それからの生活は私が思っている以上に地獄で想像を絶するものだということをその時の私にはまだわかっていないのであった.....
~龍鳳side~
...........あれから二年と数カ月がたち私は泊地第Ⅱ鎮守府の桟橋で
そして、そのある艦娘が見え始め私は思わず手を振った
.......だが
「.......ただいま」
その態度はもはや別人というほどであったのであった........................
二章開幕
二章が遅くなってしまい申し訳ございません、作者です
思ったよりも次の内容を考えるのに手こずってしまいこれだけの期間があいてしまいました
.....
これからはなるべく週一投稿を目指して投稿していく予定ではあります。
二章が始まりましたが.....これもだいぶ長くなる予定ですので気長に読んでいただければ幸いです。
(まぁ二章も構想ではまだこの物語の序盤にすぎないので.....この話はいつまで続くのか作者にもわかっていません(おい))
次回も見てくれれば幸いです。
評価、感想とか...下さい!
作者のモチベが上がりもしかしたら投稿頻度が上がるかもしれません
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