あ!ポケモンが現実世界に現れた! 作:青雲雪
そろそろ出ないと学校に間に合わないので支度を整えながらショップからポケモンフーズ(無料)を購入してイーブイに食べさせる。美味しそうに食べるイーブイ可愛い。
とはいえポケモンフーズが無料なのはポケモンを捕まえすぎたトレーナーでも全員分の食事を提供できるようにするためだろう。ポケモンに苦しい思いをさせたくないからな。正直ありがたい。
イーブイも食べ終わったことだし、俺も学校に聞く準備も終わったので早速家を出ようとすれば、スマホから着信音が鳴り響いた。
突然のことに驚きながら電話に出る。
「もしもし、榛名です」
『榛名くん!?今どこですか!?』
「菜っちゃん先生?まだ家ですけど⋯⋯」
『よかったぁ。今日から少しの間学校がお休みになったから、お家で待機してくださいね。外は危険だから、絶対に1人では外出だけはしないでくださいね!いいですか!?絶対ですよ!!』
「フリですか?」
『フリじゃありません!!』
「さーせん」
『全くもう⋯⋯また後でかけますから、ちゃんと家で大人しくしててくださいね!』
「はーい」
通話が途切れ、思わず外を見る。
外が危険?どういうことだ?菜っちゃん先生も結構慌ててたし、気になるな。
そう思って俺はニュースをつけてみた。
『突如出現した謎の生物による被害が世界中で相次いでおり、日本でも自衛隊や警察では対応しきれない状況で⋯⋯』
「⋯⋯マジかよ」
テレビ画面いっぱいに映し出されたのは、ポッポやムックルの『かぜおこし』や『ふきとばし』によって画面外へと吹き飛ばされる大人達や、虫ポケモンの毒にやられて緊急搬送される人達。
そんな光景を見せられて、俺は思わず絶句してしまう。
「なんでこんなことに⋯⋯そうか、ポケモンの知識がないからか!」
ポケモンに対する知識⋯⋯即ち、ポケモンのタイプや覚える技さえ分かっていればここまで被害が大きくなることは無い。
だが現状、ポケモンに関する知識を持っているのは俺を含めた選ばれたポケモントレーナー1000人のみ。そして日本には、わずか8人しかいない。
「これ、俺達がどうにかするしかねぇのかよ⋯⋯ハードモード過ぎんだろ」
とはいえ当面の目標はイーブイのレベルアップ、及び戦力の増強で決まりだな。
調べてみればむしタイプのポケモンによる被害が一番多い。ほのおタイプのポケモンによる被害も無視できない。
最初に仲間にすべきポケモンはみずタイプとほのおタイプ⋯⋯個人的な理想としてはシャワーズとブースターのゲットだな。
そうでなくても早めに手持ちは増やしておいて損は無い。いつまでも手持ちをイーブイ1匹にする訳にはいかないからな。
「菜っちゃん先生は外に出るなって言ってたけど、これからのためだ。イーブイ、行くよ」
「ブイ!」
イーブイをボールに戻し、適当な荷物を持って外に出る。
ポケモンがいることと、ニュースを気にしてか人通りがいつもより少ないこと以外はいつもと変わらない光景。
向かう場所は、家から少し離れた雑木林。
理由は単純。ポケモンに指示を出しているところを見られたくないのと、街より自然の多いところの方がポケモンが多いからだ。勿論街中でもポケモンはいるが、目当てとなるポケモンは恐らくそっちの方が見つけやすいと思う。ゲームだと草むらや海、洞窟といった場所に多く生息していたからな。
というわけで到着。自転車で移動したからそこまで疲れてないし、昼前まで探索を続けよう。そう思って雑木林の中を進んでいけば、早速野生のポケモンが飛び出してきた。
体に対して大きめな牙が特徴的な灰色と黒い毛の子犬のような見た目のポケモン。
「チエーッ!」
「お、ポチエナじゃん」
早速ポケモン図鑑の性能を試してみようとスマホのカメラを向けてみると、早速反応した。
『ポチエナ。かみつきポケモン。なんでも食べる雑食性の ポケモン。体に比べ大きなキバが特徴。尻尾の毛を逆立てて敵を威嚇するが、相手を威嚇するのは臆病な性格の表れ』
「1度やってみたかったんだよなこれ。さてと⋯⋯出番だイーブイ!」
「イッブーイ!」
早速バトルしようとイーブイを出した瞬間、ポケスマウォッチの画面が輝きだし、空中にディスプレイが浮かび上がる。
表示されたのはフィールドに出ているポケモンやイーブイが使える技、アイテム、レベルと言ったものが視認できるゲーム風のバトルの状況だ。
「科学の力ってすげー!」
これならこっちや相手の状況を把握できる。いちいちスマホを触らなくてもここからアイテムを取り出せるみたいだし、超便利でハイテクだなこれ。
見たところポチエナのレベルは5。レベル差はないがイーブイはあくタイプに弱点をつけるにどげりを覚えてる。
とはいえこれはゲームじゃない。ただ技を受けてくれる程甘くは無い。参考にすべきはアニメの戦い方だ。
「重要なのは技の使い方だな。イーブイ!すなかけだ!」
「イッブイ!」
後ろ足を使って砂を飛ばすが、距離があるためか砂を躱してイーブイに向かってたいあたりをしてくる。
「たいあたりか。ジャンプだイーブイ!」
「ブイッ!」
「チエ!?」
攻撃を躱されたことで動揺が生まれ、隙ができる。狙うなら今!
「にどげりだ!」
「ブイッブイ!」
「チエーッ!?チエッ!」
タイプ不一致だが効果抜群。更に落下速度も加わった事で予想より大きなダメージを受けたのか、そのまま逃げ去っていった。
「っていや、待てって! 逃げるなよ!」
追いかけようとしたのだが、ポケスマウォッチにはバトル終了の文字が。経験値も入り、早速イーブイのレベルが6に上がっていた。
「何はともあれ、初勝利だ。よくやったな、イーブイ」
「ブーイ♪」
褒めてやろうと撫でてあげれば、気持ちよさそうに目を細める。
可愛い⋯⋯って、そりゃそうか。イーブイだもん。
バトルも上手くできた気がするし、もう少し奥に進んでも良さそうだな。
・菜っちゃん先生
本名