私はあの
これじゃあ私ばっか貴方を気にしているみたいじゃないですか! 貴方は本ッ当に嫌な
________________________
レフィーヤは14階層の洞窟を一人歩きながら考えていた。無論憧れのアイズさん、ではなく新雪のような白い髪に
そこはいい。他人の、冒険者なら尚更他所の冒険に口出しをするつもりは無い。そこはいいのだ。気になるのは彼の横で頬を染めながらチラチラと視線を送っては逸らすハーフエルフの少女だ。普通にしているように見せてひたすら兎に意識を向けている。正直言ってイラァとした。ところ構わず女を誘惑する発情兎にだ。女の敵! しかも学生に手を出すなんて! この万年発情兎! と思いつく限り罵ってしまいたかったがさすがに堪えた。まぁ、だからこそ今もまだ頭から離れないのだが。
たしかに、半年たらずでLv5に到達した
そんなことを考えながら歩いていると前から一つのパーティーが歩いてくる。私とは逆で地上に戻る途中だろう。と、普段ならそれだけで不干渉が通常なのだが、今回ばかりは反応せざるを得なかった。
「ヘスティア・ファミリア······」
そう、前方から来るパーティはまさに今、レフィーヤの頭を埋めていた張本人の属するファミリアだった。
「お前はたしか、ロキ・ファミリアの······」
「
赤髪の男の言葉に
「こ、こんにちは、レフィーヤさん」
謎に怯えながら挨拶されたことに不満を覚えるが今は怒る気にもなれない。ただ、直前まで彼のことを考えていたからだろうか。そのまま通り過ぎようとした時、つい口からこぼれてしまった。
「あっ、あの······」
私は自分で呼び止めておきながら戸惑っていた。呼び止めてどうする?頭の中が混乱するまま起こした行動に自身でも解が見つからない。彼らも不思議そうにこちらを見るが、言葉を続けられず沈黙が流れる。
「ごめん、みんな。ちょっとレフィーヤさんと話したいことあるから先に戻っててくれる?」
沈黙を破ったのはベル・クラネルだった。口を噤んだままの私を助けるように、彼は仲間たちに告げる。ヘスティア・ファミリアの面々はそれを聞いて怪訝な顔をするが彼が「ちょっと学区のことで······」と言うと渋々だが納得したようで彼以外はそのまま歩いて行った。若干、金髪のエルフの女性と
私は、仲間たちを見送ってこちらに向き直したベル・クラネルに対して率直に疑問をぶつけた。
「学区の話って、嘘ですよね? どうして······」
「あはは、すみません。えっと、僕の勘違いだったら申し訳ないんですけど、レフィーヤさんが何か話したそうにしてるように見えたから」
「っ!」
思わずドキッとする。そんな顔をしていた? そんなにわかりやすかったか? と思考を巡らすが自身で自覚できていなかった以上どうしようもない。
「や、やっぱり僕の勘違いでしたか?」
彼は不安そうに尋ねてくる。ここでイエスと言えば彼は即座に謝罪し立ち去るだろう。そうだ、それが正しい答えだ。と考えはしても答えは口にできなかった。私は、ここで彼を帰してしまうのを惜しく思ってしまっていた。
「別に······用事はありませんけど······少し、歩きませんか?」
気付けば口にしていた。それを聞いた彼は驚きの表情を浮かべる。
咄嗟に出た言葉ではあったが何となくレフィーヤは自身の求めるものを理解していた。
(
今私がしていることは強くなる上で必要の無い行為だろう。しかし、今日だって一日鍛錬をするつもりだったのがダンジョンで考え事なんてことになっている。このままでは身が入らずどちらにしろ無駄に過ごしたかもしれない。それなら今解消してしまうのが良い。
そう自身に言い聞かせたレフィーヤはベルに並んで歩き出す。横に半歩程距離を置きながら。
________________________
襲いかかるモンスターを私たちは
そんなどうでもいい思考を巡らせながら杖でモンスターを叩く。他のモンスターはベルに任せ、特定のモンスターのみを執拗に叩く。
「あ、あの、レフィーヤさん」
叩く、叩く。
「なんか怖いんですけど、なんでそんなにアルミラージばっかり攻撃するんですか······」
標的を
「レ、レフィーヤさぁん!?」
「······すみません、あの白い体毛と赤い瞳に思うところがありまして」
「絶対僕ですよね!? なんか怒らせるようなことしました!?」
「いえ、気にしないでください。さっさと片付けましょう」
(私は何をしているんだろう。こんなことをしてはまた怯えさせるだけだというのに······)
心のモヤモヤは晴れないままモンスターを一掃した私たちは再び歩き出す。
「あの、レフィーヤさん」
「なんですか」
「今日、ずっと様子がおかしいですけど、何かありましたか?」
「······」
この男は鈍感なくせに変なところで鋭い。それとも私がわかりやすいだけ? でも、確かにいつもとは違うのだろう。私は彼と会う度に何かしら怒っている気がするし、何度か顔を合わせることはあったが、こうやって行動を共にすることなど18階層で迷った時以来だ。それだけしか関わりがないのに様子がおかしいというのも笑える話だ。
少し沈黙を続けた後、ゆっくりと言葉を吐き出す。
「······あなたと会う度、私は怒ってますよね」
「うっ、いやっ、あの、はい······」
「いいんです、本当のことですから」
ここで答えずらそうにするのも彼の性格がよく出ている。
「あなたを見るといつも女の人とイチャイチャしていたり、それに加えてアイズさんとも親しそうにしていてムカムカするんです」
「イチャイチャ······」
「でも、周りの人はあなたをとても慕っている。ヘスティア・ファミリアだけじゃない、アイズさんもティオナさんも、団長だってあなたに一目置いてます」
「あなたの強さも、勇気があるところも私は知っています。でも、それだけじゃない。あの人たちはあなたの何に惹かれているのか、私は気になっています」
思い浮かべるのは彼に気があると思われる女性の面々。彼について大して知らないにもかかわらず数人はイメージが湧いてしまうことに不満を覚えるが、今は深く沈めておく。
「だから、知りたいんです。あなた自身を。······私に、教えてくれませんか」
突拍子も無い発言にベルは目を見張る。彼も予想外だったのだろう。当然だ、だって口にした本人ですら予想だにしなかったのだから。だが、ここで止まるわけにはいかない。だから、ベルに目を合わせ、真っ直ぐに見つめる。
「私は、あなたを知りたい」