感想に返信とかできるのをさっき知りました。
気が向いたら返信します。
気付けば日は傾き、空は夕暮れ色に染まっていた、
今日一日、都市を巡り
そして、アイズとの出会いも聞いた。彼がアイズに憧れていることも。
彼の冒険を聞き、巡ったレフィーヤが感じたのは驚愕と既視感。前者は言うまでもなく激動の半年に対して。およそ駆け出しの冒険者が受ける洗礼にしては過酷が過ぎる。
たぶん、全容を聞いたわけでは無いのだろう。深層の情報が一部のファミリアにしか公開されないように、
そして後者の既視感、それは
レフィーヤがアイズに救われ、憧れたように、ベルもまた彼女に憧憬を抱く一人だった。
(そっか、私と同じ······)
何故彼をここまで気にしてしまうのか、ずっとわからなくて晴れなかった霧が晴れたような気がする。
──ただ、それだけじゃない気がする。彼の瞳に宿るのは憧れだけではない。それはきっと、私とは違う想い。
(たぶんこの人はアイズさんのことが······)
ドクンッ、と心臓が強く跳ねたような感覚と共に考えてしまった。憧憬に一途に突き進む彼なら、辿り着けてしまうのではないか。そんな未来があったとして、私は何をしているのだろう。彼らに並んで私は立てているだろうか。
「アイズさんに憧れる気持ち······わかります。ロキ・ファミリアの中でも、あの人は特別です。他の人と違う何かを持ってる······」
そうだ、あの人は私よりも貪欲に強さを求めている。私の魔法がアイズさん達を助ける。そう言ってくれた彼女たちを私は守れるのだろうか······。
「でも、アイズさんだけじゃないです。リューさんやフィンさん、それにレフィーヤさんだって」
「わ、私······ですか······?」
「前に18階層で植物のモンスターと戦った時。モンスターの習性をすぐ見極めたり、的確に指示を出してくれた姿を見て、僕もこんなふうになりたいって思ったんです」
「っぁ······」
「あと······色々あって、学区でレフィーヤさんがやっていた
「私も······」
この
(私って······単純ですね······)
一人で落ち込んでいるのが馬鹿らしくなってしまう。そうだ、私は
「······ら、わた······」
「えっ、なんですか?」
「それなら、私だって!」
「はっ、はい······?」
「あなたが私を憧れと言うのなら、あなたには負けたくない! だから負けません!」
胸に手を当て、さながら宣誓のようにベルを見上げる。ポカンと口を開けて固まっていたベルはレフィーヤと目を合わせると。
「ぷっ、あはははっ」
「なっ、何がおかしいんですかっ」
「ご、ごめんなさい。 でも、嬉しくて」
「······嬉しい?」
「はい、最近のレフィーヤさんって、ちょっと暗い顔している時があったので。前みたいに元気になってよかったなって。でも······はい。僕も頑張ります! もっともっと、レフィーヤさんにも負けないくらい頑張ります!」
これまで、レフィーヤが一方的にライバル視しているだけだった二人は向き合い──
「「ふっ、あはははっ」」
互いにライバルと認めた証か、堰を切ったように笑う。
「ありがとうございます、ベル・クラネル」
「はははっ······えっ?」
「私を······見てくれて」
「ありがとう」
レフィーヤの微笑に引き入れられるように硬直したベルはやがて頬を染めて破顔する。が、そんな空気は知らんとばかりに腹の虫はグゥ······と声を上げる。
「すっ、すみませんお腹すいちゃって······」
「全くあなたという人は······。ですか、確かにお腹すきましたね。私、気になっていたお店があるんです。よかったらそこに行きませんか?」
今日一日でだいぶ
(もう少しだけ······)
レフィーヤの提案した店に向かって歩み出した二人。並んで歩きながらレフィーヤは一握りの勇気を振り絞る。
「あの······ベル······」
「······えっ?」
「ベル······って、呼んでも······いいですか?」
素っ頓狂な声を上げるベルにレフィーヤは必死に続ける。
「わ、私たちライバルですし、対等に呼び捨てで呼んでも良いと思うんですっ」
自分でもちょっと苦しいと思わないでもないが、止まらない。ここで止まりたくない。ここで一歩を踏み出せなければ、もうこれ以上先へ行けない気がしていた。
「どう、ですか」
「あはは、わかりました。ベルって呼んでください、レフィーヤさん」
「······」
「あの、レフィーヤさん?」
「私は『ベル』なのに、あなたは『レフィーヤさん』なんですか?」
「えっ、い、いやぁ、あんまり呼び捨てってしたことなくて······」
「······まぁ、今はそれでいいでしょう」
「え、今は?」
「いいですからっ、行きましょう」
ベルから視線を切り、歩き出す。夕陽に向けて歩くレフィーヤの耳の先は、夕暮れ色に染まっていた。
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食事を済ませ、別れを告げたレフィーヤは
そしてベッドに飛び込むと、いつかと同じように呻き声を上げる。
「〜〜〜〜っ!!!」
今日一日を振り返りながら、足をジタバタとさせ枕に顔を押し付ける。
後悔は無い。無い······が、恥ずかしいものは恥ずかしい。
(あぁぁぁ〜っ! 私はなんて大胆なことをっ! ベルって! ベルって! ······うぅ〜〜っ! )
「レ、レフィーヤがまた壊れてる······」
そして再びエルフィに目撃されるのだった。