【第1章完】ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ   作:阿弥陀乃トンマージ

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第3話(4)ドラゴン、一臭

「俺はキョウだ……以上」

 

「以上じゃありんせんわよ! なんでそんな恰好しているのか聞いているのよ⁉」

 

「いや、なんと言えば良いのかな……」

 

「もしかして……」

 

「うん?」

 

「そのポニーテールの奴隷?」

 

「ど、奴隷じゃねえよ!」

 

「だって、そうじゃないと説明つかねえじゃありんせんの!」

 

「なんでそうなるんだよ!」

 

「だって全裸って……」

 

「まあ、それはあれだ……」

 

「あれって?」

 

「色々と事情があるんだよ」

 

「その色々を聞いているんだけど⁉」

 

「説明するよりも、分かりやすい方法がある……」

 

「え……?」

 

「お前さんをこらしめる」

 

「なっ……」

 

 

 

 俺は赤毛の女にゆっくりと近づく。

 

 

 

「行くぞ……」

 

「や、やれるものなら、やってみなんし!」

 

「むっ!」

 

 

 

 赤毛の女が本を開く。開かれたページが光を放つ。全身が真っ赤な、巨躯のドラゴンが出てきた。俺は圧倒され、やや後ずさりしてしまう。赤毛の女がそれを見て笑う。

 

 

 

「ふふん! 怖気付いたかえ⁉ この『ファイアドラゴン』の威圧感に!」

 

「ファ、ファイアドラゴンだって⁉」

 

「そいんす!」

 

「わ、わりと安直っていうか……ダサいネーミングだな……」

 

「んなっ⁉」

 

 

 

 俺は思ったことをそのまま口にしてしまう。赤毛の女がムッとする。

 

 

 

「あ、わ、悪い……」

 

「謝ったって遅いわよ! やっておしまい、ファイアドラゴン!」

 

「シャアア……!」

 

 

 

 ファイアドラゴンがその大きな口を開く。口の中には火が燃え盛っているのが見える。

 

 

 

「おいおい、火炎放射かよ!」

 

「その通りでありんす! さあ、放て!」

 

「シャアアア!」

 

「ふん!」

 

「!」

 

「はあっ⁉」

 

 

 

 ファイアドラゴンが口から大量の火炎を、俺に向かって放射する。俺は鼻の穴を片方強く押して、もう片方の穴から強い鼻息を出す。その鼻息が火炎を一瞬で消し去る。

 

 

 

「【特殊スキル:荒々しい息吹を発動しました】」

 

 

 

 なんだかどうにかして良い感じに言い換えようとしているが、単なる鼻息だろうが。それをやってみようという俺も俺なのだが。俺は鼻の頭をポリポリと擦る。

 

 

 

「ふう……」

 

「なっ、なにをやったの……?」

 

「見ての通りだ。鼻息で火炎を消し去った」

 

「そ、そんな馬鹿なことが……!」

 

「出来てしまったんだからしょうがないだろう……」

 

 

 

 俺は後頭部を抑える。ファイアドラゴンが赤毛の女を見つめる。

 

 

 

「……」

 

「ええい、動揺すりなんすな! アンタにはまだその鋭い爪がありんす!」

 

「……!」

 

 

 

 赤毛の女の言葉にハッとなったファイアドラゴンが黒い爪をギラりと光らせる。

 

 

 

「黒光りするそれを、これ見よがしに見せつけてくるな……」

 

「い、言い方がなにか卑猥!」

 

「? そうか? 考え過ぎじゃないか?」

 

「え、ええい! 今度こそやっておしまい! ファイアドラゴン!」

 

「シャアアア!」

 

 

 

 ファイアドラゴンが爪で俺を引き裂こうとする。

 

 

 

「むん!」

 

「なっ⁉ 自らの指をくわえた⁉」

 

「むうん!」

 

 

 

 俺の体が一回り大きくなる。赤毛の女が驚く。

 

 

 

「なっ……巨大化⁉」

 

「そらあっ!」

 

「‼」

 

「はああっ⁉」

 

 

 

 俺の振るった拳が、ファイアドラゴンの爪を全て折ってしまう。赤毛の女が信じられないと言った様子の声を上げる。

 

 

 

「【特殊スキル:ストロングポイント吸収セルフを発動しました】」

 

 

 

 これはあれか……『爪の垢を煎じて飲む』ってやつか……。なるほど、自身のストロングポイント、長所を吸収して力に換えたのか……一種のドーピングか……。そもそもとして煎じてないし、飲むのなら他者の爪の垢だと思うんだがな。まあ、慣用句をうる覚えでやってみようという俺も俺なんだがな……。

 

 

 

「自慢の爪は折っちまったぜ?」

 

「ぐっ……」

 

「シャア……」

 

「ろ、露骨に動揺すりなんすな! まだ尻尾がありんす!」

 

「! シャア!」

 

 

 

 ファイアドラゴンが太い尻尾をふりふりと振る。

 

 

 

「極太のそれを、ひけらかすように見せつけてくるな……」

 

「だ、だから、そういう言い方はやめなんし!」

 

「? なんだ、さっきから? 考え過ぎなんじゃないか?」

 

「え、ええい! 次こそはやっておしまい、ファイアドラゴン!」

 

「シャアアアア!」

 

 

 

 ファイアドラゴンが尻尾を振り回して、俺を殴りつけようとする。

 

 

 

「ぬん!」

 

 

 

 ドーピング効果が持続している俺には、その尻尾を受け止めることは容易だった。

 

 

 

「う、受け止めたところで!」

 

「それもそうだ……な!」

 

「⁉」

 

「はあああっ⁉」

 

 

 

 俺はファイアドラゴンの尻尾を引っこ抜いた。

 

 

 

「【特殊スキル:シンプルに怪力を発動しました】」

 

 

 

 これで怪力かよ……我ながら恐ろしいな……。ってか、スキル名はなんだよ?

 

 

 

「な、なんてことを……尻尾はまた生えてくるからいいけれど……」

 

「生えてくるのか、それは良かった」

 

「シャ、シャアアア……」

 

 

 

 俺は安心する。対してファイアドラゴンは戦意を喪失した模様だ。

 

 

 

「戻りなんし、ファイアドラゴン! アンタを失うわけにはいかねえわ……」

 

 

 

 赤毛の女が本を開くと、ファイアドラゴンが本の中に戻る。俺が尋ねる。

 

 

 

「自分で戦う気になったのか?」

 

「冗談も休み休み言いなんし! ここは退却しんす! はっ⁉」

 

 

 

 その場から離れようとした赤毛の女が足を止める。ファイアドラゴンよりもさらに大きな黒いドラゴンが空中から見下ろしていたからである。

 

 

 

「エリー、魔族の恥さらしめ……」

 

「ド、ドラゴンが喋った⁉」

 

「世の中にはそういう種類もいるのよ!」

 

 

 

 エリーと呼ばれた赤毛の女が俺に向かって声を上げる。ああ、そう言われてみると、そんなドラゴンも過去のシリーズにはいたっけか……。黒いドラゴンが話す。

 

 

 

「今ならまだ間に合う……長の下に戻れ……」

 

「お、お断りでありんす! 型にハマったような生き方は嫌なのでありんす! あちきはもっと自由に生きたい!」

 

「! 自由に……!」

 

「そうか、残念だ……命に従わないなら始末せよとの仰せだ……」

 

「くっ……」

 

「自由に生きたいやつの邪魔をするなよ!」

 

「なにっ⁉」

 

 

 

 俺は空高く飛び上がり、黒いドラゴンの上に達すると、尻の穴を向ける。

 

 

 

「ファッ〇、ユー!」

 

「ぐはあっ⁉」

 

 

 

 俺は尻の穴に突っ込まれていた骸骨騎士の中指の骨を噴き出させる。弾丸のように飛んだ骨が黒いドラゴンの心臓を貫き、黒いドラゴンは力なく落下し、動かなくなる。

 

 

 

「【特殊スキル:ジェット噴射を発動しました】」

 

 

 

 どんなスキルだよ……。俺は着地する。ドーピング効果も切れ、大きさも元に戻った。

 

 

 

「あ、ありがとうござりんす!」

 

「うおっ⁉」

 

 

 

 エリーが俺に抱き着いてきた。

 

 

 

「もう駄目かと思いんした……あやつは魔族が飼っている中でも、強い部類に入るドラゴンでありんした。それを一蹴するとは、なんという強さ……」

 

「い、いや、それほどでもないって……」

 

 

 

 一蹴っていうか、一臭ってやつかな……。どちらかと言えば……。

 

 

 

「謙虚なところもまた素敵でありんす……!」

 

「い、いやあ……」

 

 

 

 エリーが体をさらに密着させてくる。小柄だが、どうしてなかなか豊満な体つきじゃないか。俺はだらしなく鼻の下を伸ばしてしまう。

 

 

 

「ごほん! キョウ殿……」

 

「はっ⁉ ア、アヤカ!」

 

「いかがしますか? あの黒いドラゴンの討伐を組合に報告すれば、しばらくはお金には困らないと思われますが……」

 

「あ、ああ、そうだな、そうしよう……!」

 

 

 

 俺たちは街に戻り、ドラゴン討伐を報告する。確認作業を経て、討伐が認定され、俺たちには多額の報奨金が支払われた。金だ! 金が手に入ったのならば……豪遊だ! 俺たち

 

は街の酒場で飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをする。エリーが声をかけてくる。

 

 

 

「キョウ様、先ほどからお尻の方を妙に気にしているようでありんすが……?」

 

「あ、ああ、ちょっと痛くてな……」

 

「それは大変……そちらの部屋で、魔族に伝わる薬を差し上げんす……こちらです」

 

「そ、そうか、悪いな……うん……? な、なんだか眠くなってきたな……はっ!」

 

 

 

 翌朝、俺はベッドの上で目が覚める。それを確認したエリーが俺に告げる。

 

 

 

「あちき、キョウ様についていくことに決めました……」

 

「ええっ⁉ ど、どうして……?」

 

「まるでドラゴン……」

 

 

 

 エリーが俺の股間を見て、顔を赤らめながら呟く。またナニかあったんだろうな。何故に眠らせるんだ。なんか損した気分だぜ……尻の痛みは引いたけどさ……。

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