【第1章完】ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ   作:阿弥陀乃トンマージ

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第6話(3)屋敷での警護

「噂に聞く以上の腕前であるな……」

 

「貴方は……」

 

「アヤカ、知っているのか?」

 

「ええ、この自治領の領主さまです」

 

「領主……」

 

「わしのことを知っているということは……ああ、中央の……そなたの父君とはよく顔を合わせているぞ」

 

「どうも……」

 

 

 

 アヤカが恭しく頭を下げる。領主が俺たちの方に向き直って告げる。

 

 

 

「決めたぞ。例の件、そなたたちに頼むとしよう……」

 

「だ、旦那⁉ それは俺たち自警団に任せると……!」

 

「気が変わった」

 

「き、気が変わったって……」

 

「今の戦いぶりを見れば、どちらが頼りになるのかは明らかだ」

 

「そ、そんな……」

 

「お前らは屋敷の外でも見張っておれ」

 

「ちっ! おい、行くぞ!」

 

 

 

 ならず者たちが面白くなさそうにその場を離れる。俺が首を傾げる。

 

 

 

「……例の件とは?」

 

「ああ、そなたらには屋敷内で、わしの警護を頼みたいのだ」

 

「警護ですか?」

 

「そうだ」

 

「……もしも嫌だと言ったら?」

 

「今の騒ぎを全面的にそなたらの責任とみなし、牢屋に連行しても良いのだが……」

 

 

 

 おいおい、自分の領地だからって随分とまあ強権だな。自治領なのだから、当然と言えば当然なのかもしれないが。俺は少しだけ考える。

 

 

 

「……」

 

「どうする?」

 

「……従いましょう」

 

「よろしい。屋敷までついてこい」

 

 

 

 俺たちは領主についていく。街を見下ろす丘に、この国の建築様式とは大分異なった様式の立派な屋敷が構えてあった。ヴァネッサが口を開く。

 

 

 

「す、すごいお屋敷……」

 

「さあ、入るが良い」

 

 

 

 屋敷の中に入ると、これまた立派な家具と豪華な調度品が並べてある。エリーが呟く。

 

 

 

「はっ、随分とまた分かりやすい成金趣味でありんすね……」

 

「ん?」

 

「い、いいえ、なんでもありません! お、おい、エリー、余計なことを言うな……!」

 

「思ったことを口にしただけでありんす」

 

「変に煽ったりしなくて良いんだよ……」

 

「それにしても……」

 

 

 

 エリーがアヤカに視線を向ける。アヤカはやや苦笑する。

 

 

 

「いやいや……」

 

「なにかマズいことでもあるのかい?」

 

 

 

 オリビアが重ねて問う。アヤカが頭を軽く抑えながら呟く。

 

 

 

「まあ、とりあえず、もう少し様子を見てみないことにはな……」

 

「ふむ、ここで待機しろ……」

 

 

 

 屋敷内の広間につき、領主が告げる。俺が尋ねる。

 

 

 

「待機とは?」

 

「わしの警護を頼むと言っただろう?」

 

「ええ」

 

「わしに楯突く……もとい反抗する勢力があってな。勢力それ自体は大したほどではないのだが、どうやら腕利きのアサシンを雇った模様でな」

 

「アサシン?」

 

 

 

 俺は首を傾げる。

 

 

 

「ああ、暗殺請負人とでも言い直せば良いかな。聞くところによると、そやつは大胆不敵にも、屋敷に侵入してわしの首を狙っているようだ」

 

「暗殺請負人……」

 

 

 

 ヴァネッサが驚きをもって呟く。オリビアが片手を挙げて問う。

 

 

 

「おそれながら、領主さま……」

 

「なんだ?」

 

「たまたまこの土地を訪れたアタイたちよりも、しかるべきところに応援を要請した方が良いのではありませんか?」

 

「あ、あくまでも、この自治領内での問題だ。中央に要請する必要はない!」

 

「誰も中央とは言っていませんが」

 

「う、うるさいな、報酬は弾む! それで良いだろうが!」

 

「ああ、それならアタイとしては、とくに文句ありません……」

 

 

 

 オリビアが肩をすくめながら頷く。アヤカが腕を組みながら顎をさする。

 

 

 

「ふむ……」

 

「あ、貴女はもう中央の職を退いた人間だ。とやかく言われる筋合いはない!」

 

「……何も言っておりませんが」

 

「む……と、とにかく、そのアサシンを返り討ちにしてもらいたい!」

 

 

 

 領主が慌てたように声を上げる。アヤカたちが俺に視線を向ける。

 

 

 

「……領主さまにもしものことがあったら、領内は混乱に陥ってしまうでしょう。警護、お引き受けします」

 

「う、うむ……って、貴様がリーダーなのか⁉」

 

 

 

 領主が今更ながらに戸惑う。俺が尋ねる。

 

 

 

「なにか問題でも?」

 

「い、いや……た、頼んだぞ!」

 

 

 

 領主はその場を後にする。立派なお屋敷に全裸の男を入れている時点で大問題なのだが。堂々としていると、案外なんとかなるもんだ。

 

 

 

「……夜になりましたね」

 

「まあ、暗くなったころに狙ってくるのがセオリーだろうね」

 

 

 

 窓の外を見つめるヴァネッサの呟きにオリビアが応える。ヴァネッサが問う。

 

 

 

「わたしたちはこうして一か所に固まっていて良いんですか?」

 

「ご心配には及びんせん……この広間からならば屋敷の広範囲を見渡せるし、あの領主の籠っている部屋にもすぐ駆け付けられる……外の庭には領主の兵が目を光らせている……ここで待ち構えるのがベストとは言わないまでも、ベターでありんす」

 

「は、はあ……そ、そうですか……」

 

 

 

 エリーの答えにヴァネッサが頷く。オリビアが銃の手入れをしながらアヤカに問う。

 

 

 

「この国にもアサシンがいたとはね。知ってた?」

 

「知っているというか知っていたというべきか……」

 

「過去形?」

 

「国も長年の内乱が終わり、そういった汚れ仕事を請け負う者はほぼいなくなったと聞いている……実態については、拙者がそこまで把握していないだけかもしれないが……!」

 

 

 

 庭で騒ぎ声が聞こえる。窓の外を見ると、煙が黙々と立ち込め、混乱した兵士たちが次々と倒れ込む。ヴァネッサが驚く。

 

 

 

「な、なにもしていないのに、人が倒れた⁉」

 

「目くらましというだけでなく、睡眠薬も仕込んでいる煙玉か……」

 

「無駄な戦いと殺しはしないんだ、なるほど、効率が良いね……」

 

 

 

 アヤカの呟きにオリビアが頷く。いや、ちょっと待て、煙玉って……。エリーが叫ぶ。

 

 

 

「! 上でありんす!」

 

「おおっ! すげえ、本物のニンジャだ!」

 

「……!」

 

 

 

 天井にちょっとぽっちゃりとした体型の忍装束を着た女が張り付いていた。

 

 

 

「ニ、ニンジャ⁉ なんか思っていたのと違う⁉」

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