【第1章完】ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ   作:阿弥陀乃トンマージ

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第6話(4)ぽっちゃりくのいち、襲撃

 俺は愕然とする。ぽっちゃりくのいちもこちらに気が付く。

 

 

 

「む! それがしの気配を察するとは、なかなか出来るでござるな!」

 

「ここまで易々と侵入させたのは失敗だが……取り返すまで!」

 

「おっと!」

 

「むっ⁉」

 

 

 

 オリビアがすぐさま天井に拳銃を向けたが、ぽっちゃりくのいちは何かを投げつけて、銃口を塞ぐ。よくよく見てみると……手裏剣だ。どうやら本当に忍者らしいな。

 

 

 

「ええい!」

 

「うおっ⁉」

 

 

 

 飛び上がったヴァネッサが天井を豪快に殴る。天井に穴があく。

 

 

 

「手応えあり! ……あれっ⁉」

 

 

 

 ヴァネッサの拳の先にあったのは比較的細めの丸太であった。

 

 

 

「忍法身代わりの術でござる! もらった!」

 

「うっ⁉」

 

「それっ!」

 

「うわあっ⁉」

 

「どわあっ⁉」

 

 

 

 背後に回ってヴァネッサの体をガシッと掴んだぽっちゃりくのいちは、ヴァネッサを投げ飛ばす。勢いよく投げ飛ばされたヴァネッサがオリビアと激突し、転倒する。身代わりの術とは……。マジの忍者だな。比較的細めの丸太を使ったら、身代わりにはならないだろうと思ったが、今は関係のないことなので黙っておくことにした。人をいたずらに傷付けるのは、たとえゲームの世界と言えど、良くはないことだからな。

 

 

 

「ふふん……」

 

 

 

 ぽっちゃりくのいちがくるりと一回転して、床に着地して、こちらに向き直る。アヤカが刀を鞘から抜いて構える。

 

 

 

「忍者というか、くのいちというやつか……初めて見たな……」

 

「女のお侍さんというのもなかなか珍しいでござるな」

 

「ふん……」

 

「ふっ……」

 

 

 

 ぽっちゃりくのいちが武器を取り出す。苦無ってやつだな。アヤカが目を細める。

 

 

 

「そんな短い刃で刀に対抗出来るとでも?」

 

「やってみなくては分からんでござる……」

 

「……ふん!」

 

「おおっと!」

 

「はあっ! たあっ! やあっ!」

 

「むっ! ぬっ! うっ!」

 

「どうした! 防戦一方ではないか!」

 

「さ、さすがに近接戦では分が悪いでござるな……こうなったら……!」

 

「なっ⁉」

 

 

 

 ぽっちゃりくのいちが数人に分かれる。アヤカが驚く。

 

 

 

「忍法分身の術でござる! それっ!」

 

「ぬおっ!」

 

 

 

 四方からのぽっちゃりくのいちの攻撃を食らい、アヤカが倒れる。刃による攻撃はなんとか凌いだようだが、代わりに拳による当て身を食らってしまったようだ。

 

 

 

「さて……」

 

「ふん、やっておしまい! 『ポイズンスネ―ク』!」

 

 

 

 エリーがポイズンスネークを呼び出す。ぽっちゃりくのいちが目を丸くする。

 

 

 

「モンスターを使役する魔族でござるか……ならば!」

 

「! い、いやあ⁉」

 

 

 

 ぽっちゃりくのいちがバカデカいガマガエルを呼び出す。エリーはカエルが苦手なのか、卒倒してしまう。スネークも硬直する。カエルに睨まれたヘビって……。

 

 

 

「さてと……」

 

「ちょ、ちょっと待て! ナチュラルに無視するな!」

 

 

 

 俺は領主の間に向かおうとしたぽっちゃりくのいちを呼び止める。ぽっちゃりくのいちが驚いて振り返る。

 

 

 

「こ、これは驚いた……てっきり部屋の調度品かと……」

 

「ほぼ全裸の男を飾るって、どんな趣味だよ」

 

「邪魔をするつもりでござるか?」

 

「ああ、警護役を仰せつかっているからな……」

 

「……丸腰で一体何が出来るでござるか?」

 

「何事もやってみなくちゃあ分からないだろう?」

 

「ふん……ガマ代、少し遊んでやるでござる……」

 

「ゲロ!」

 

「むん!」

 

「!」

 

 

 

 ガマガエルが長い舌を伸ばしてきたが、俺はそれを右の腋でがっしりと挟み込む。ガマガエルは真っ赤になって倒れる。ぽっちゃりくのいちが再度驚く。

 

 

 

「なっ! ゆ、茹でガエルに……⁉ な、何をしたでござるか⁉」

 

 

 

「【特殊スキル:体温上昇を発動しました】」

 

 

 

「……ちょっとばかり体温を上げたようだな……腋のあたりを重点的に」

 

「め、面妖な……! さては術使いの類でござるか! 一気に仕留める!」

 

「そうはいくか!」

 

「‼」

 

 

 

「【特殊スキル:蜃気楼を発動しました】」

 

 

 

「はあっ!」

 

 

 

 ぽっちゃりくのいちが分身の術を使って、俺に殴りかかってきたが、残念、それは残像だった。背後を取った俺はぽっちゃりくのいちを抑え込む。

 

 

 

「ぐっ……」

 

「勝負ありだな」

 

「こ、殺せ……!」

 

「そんな物騒なことはしたくないな……」

 

「お主がやらなくても、あの悪徳領主に突き出すというのなら同じこと……!」

 

「……悪徳領主だって?」

 

「ああ! 悪政の限りを尽くし、この土地に住む人々を苦しめる……先代が健在の内はまだマシであったが、亡くなってからは好き放題! 厳しい税の取り立てなどに、住民はすっかり疲弊しきっている……!」

 

「ああ、なるほどね……対立勢力とかじゃなくて、領民にNOを突き付けられたのか……それは出来れば中央に知られたくないわな……しかし……」

 

「な、なんでござるか⁉ 人の顔をじろじろと見て!」

 

「なかなか愛嬌のある顔立ちをしているな……名前はなんて言うんだ?」

 

「はあっ⁉ ウ、ウララでござる……」

 

「ウララ、お前と手を組もう。ほら、手を離したぞ」

 

「え、ええ……?」

 

「領主の間に行ってこい。ただし殺すなよ? 捕まえろ」

 

「わ、分かったでござる……!」

 

 

 

 ウララは領主をあっという間にとっちめた。その後はアヤカに中央へ連絡を取ってもらい、厳しい調査の結果、領主の悪政が認められ、領主の自治権は取り上げられることとなった。極めて大変なことであるが、混乱は思ったよりも少なく、体制の変化は大いに歓迎された。皆、領主の悪政に辟易していたからである。

 

 領主を懲らしめた俺たちは街の有力者たちに招かれ、酒宴に参加する。俺は皆の勧める酒にすっかり酔ってしまった。

 

 

 

「ああ、大変でござる……奥の間で少し休むとしましょう。肩を貸すでござる」

 

「す、すまない、ウララ。 な、なんだかものすごく眠くなってきたな……はっ!」

 

 

 

 翌朝、俺は布団の上で目が覚める。それを確認したウララが俺に告げる。

 

 

 

「忍ぶのはなかなか難しく……」

 

 

 

 ウララが俺の股間を見て、顔を赤らめながら呟く。またまたまたまたナニかあったんだろうか。だからなんで毎度毎度眠っているときに……相も変わらず損した気分だ。

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