【第1章完】ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ   作:阿弥陀乃トンマージ

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第7話(4)ホントにホントに……

「【特殊スキル:癒しの手かざしを発動しました】」

 

 

 

「ふむ……」

 

「あ、相手を治癒したのでござるか⁉」

 

「ああ」

 

 

 

 俺は驚くウララに対して頷く。ウララが困惑気味に尋ねてくる。

 

 

 

「な、何故にそのようなことを……?」

 

「無用な殺生は出来る限り避けたいからな」

 

「ううむ……」

 

「こちらを殺しにきたのだから、殺して差し上げるのがせめてもの礼儀かとあちきは思うのでありんすがね……」

 

「それはまったく同感でござる」

 

「なかなか物騒なことを言うな……」

 

「まあまあ、ここではキョウの流儀に従おうじゃないか」

 

 

 

 苦笑する俺の側に立っていたオリビアがエリーとウララに声をかける。アヤカが呟く。

 

 

 

「たとえ傷が回復しても、戦意はもうすっかり失われているはずだ……」

 

「……はっ!」

 

「目が覚めたか」

 

「ひっ! に、逃げろ!」

 

「こ、こいつら化け物よ!」

 

「あっ、お、お前ら、リーダーの俺を置いていくなよ! ま、待ってくれ~」

 

 

 

 目を覚ました冒険者パーティーはあっけなく瓦解し、散り散りになって逃げていった。

 

 

 

「さて、これでお宝探しに専念出来るな……」

 

「ええ、周囲を含めてよく探してみましょう」

 

「ああ、そうだな……」

 

「ふはははっ! 久しぶりだなあ!」

 

「!」

 

 

 

 俺は笑い声のした方に視線を向ける。鉄砲を持った、禿頭で小柄な男がそこにはいた。

 

 

 

「こんなところで会うなんて奇遇だなあ、キョウ! いや、これも運命ってやつか⁉」

 

「う、運命⁉」

 

「て、手当たり次第でござるな……」

 

「まあ、愛の形というのはそれぞれだからね……」

 

「ま、待て! お前らはなにか盛大に勘違いしているぞ!」

 

 

 

 俺はヴァネッサとウララとオリビアに注意する。エリーが尋ねる。

 

 

 

「で、あやつは誰なのでありんすか?」

 

「いや、知らない……怪しいおじさんだ」

 

「へえ、そうでありんすか」

 

「おいおい、知らんぷりすんな! 大体、怪しさならてめえの方に軍配が上がるわ!」

 

「貴様、ジャックか……この地で一体何を企んでいる?」

 

 

 

 アヤカが剣を構える。ジャックがそれを見て苦笑する。

 

 

 

「アンタが生きているってことはアイツがしくじったってことだよな……ちっ、キョウ、てめえに会ってから俺様の計画がすっかり狂いっぱなしだぜ!」

 

「そんなことは知らん……」

 

「まあ、聡明な俺様はセカンドプランを用意しているがな……いや、こっちが本命か?」

 

「……なに?」

 

「この地の財宝を得て、『あの御方』に献上する。あの御方がいよいよ動き出すぜ!」

 

「あの御方だと?」

 

「おっと、これ以上は詳しくは言えねえぜ……」

 

「いや、そこまで大して興味はないんだが……」

 

「ああん⁉ てめえ、なんていう恐れ多いことを……」

 

「面倒ごとは御免なんだが……財宝だったら諦めろ。俺たちが先に探し出すからな」

 

「へっ、言ってくれるじゃねえか!」

 

「チンピラのお前だけで何が出来る?」

 

「い、言うに事欠いてチンピラだあ⁉ ま、まあいい、俺様はあの御方から頼れる奴をお借りしているのよ!」

 

「頼れる奴?」

 

「ああ、『泥棒猫』だよ! 出てこいや! イオ!」

 

「……」

 

 

 

 イオと呼ばれた者が顔を出す。顔は人間の女の子のようだが、ボサボサの髪と、両耳が頭の上の方に生えている。四足歩行ではあるが、やや前傾姿勢で、爪が鋭く光っている。服は黄色がかった茶色のタンクトップや短パンのようなものを一応身に着けてはいるが、お尻から尻尾が伸びている。俺は大いに驚いてしまう。

 

 

 

「ラ、ライオンだあっ~⁉」

 

 

 

 いや、どこが『泥棒猫』だよ、『泥棒獅子』じゃねえか。オリビアが冷静に呟く。

 

 

 

「『獣人』か……この地域では結構珍しい種族かもね」

 

「……あいつらを片付けた方が良いのかニャ?」

 

「そうだ、イオ! まずは目障りな連中をやっちまえ!」

 

「……分かったニャ……ガアッ!」

 

「! は、速い……!」

 

「ギアッ!」

 

「! ど、独特な前傾姿勢で、狙いがつけにくい……!」

 

「グアッ!」

 

「! それがしの速さを凌駕するとは……!」

 

「ゲアッ!」

 

「! ぎゃあ! け、獣特有の動き……!」

 

「ゴアッ!」

 

「! う、うわあっ!」

 

「み、みんな⁉」

 

 

 

 イオと呼ばれた獣人の女による攻撃で、アヤカ、オリビア、ウララ、エリー、ヴァネッサがあっという間に倒される。一瞬の隙を突かれたのと、獣人との戦闘経験が各々浅いと思われるのが原因だとはいえ、こうも一方的にやられてしまうとは……。獣人恐るべし。

 

 

 

「ふはははっ! 後はてめえだけだぜ、キョウ!」

 

「くっ……」

 

「さあ、さっさとやっちまえ、イオ!」

 

「分かったニャア……!」

 

「ニャア……? さっきから……も、もしかするとだが……こ、これだ!」

 

「⁉」

 

 

 

「【特殊スキル:よ~しよしを発動しました】」

 

 

 

 俺は飛びついてきたイオの懐に巧みに入り込み、喉の辺りを優しく撫でてやる。

 

 

 

「よ~しよし……」

 

「う、ううん……」

 

 

 

 イオはすっかり大人しくなる。俺は頃合いを見計らって告げる。

 

 

 

「……イオ、お前はライオンの獣人だ。ネコじゃないぞ」

 

「ニャア⁉」

 

「やはり知らなかったのか……お前は百獣の王と呼ばれるライオンの気高き血を受け継いでいる。あの御方だかなんだか知らないが、誰かの下にいるより、自由に生きるべきだ。俺たちで良かったら手を貸すぞ?」

 

「自由……ううっ、よくも今まで騙してくれたなあ‼」

 

「な、なんだ! イオ! いきなり俺様に向かってくるとは……ちっ、ここは撤退だ!」

 

 

 

 百獣の王としての誇りを取り戻した――というか山育ちの為に知らなかった――イオはジャックを追い払った。俺はイオをあらためて仲間に誘った。イオはわりとすんなりと了承してくれた。皆を回復させた後、俺はその旨を皆にも伝えた。皆も了解してくれた。

 

 さて、肝心の財宝であるが、洞窟の後ろに生えていると思われていた大木が、実は洞窟の中から急成長したもので、洞窟を破り、上に生い茂っていたのだ。財宝は木の枝に挟まっていた。これはなかなか気が付かない。何故気が付いたのかというと、俺の左右の乳首がピンと上を向いたからである。例のスキルが作用したものだと思われる。勝手にデリケートな部分をセンサーにしないでもらいたいものだが仕方がない。

 

 財宝を手に入れた俺たちはイオの歓迎も兼ねた酒宴を街の酒場を借り切って大々的に開いた。俺はいつものごとくすっかり酔ってしまった。イオが目ざとくそれに気が付く。

 

 

 

「ああ、大変だ……あっちの部屋で少し休もうよ」

 

「す、すまない、イオ。 な、なんだかものすごく眠くなってきたぞ……はっ!」

 

 

 

 翌朝、俺は布団の上で目が覚める。それを確認したイオが俺に告げる。

 

 

 

「ホントにホントにホントにホントにライオンだ~……」

 

 

 

 イオが俺の股間を見て、顔を赤らめながら呟く。またまたまたまたまたナニかあったんだろうか。しかしなんで毎度毎度眠っているときに……相も変わらず損した気分だぜ。

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