【第1章完】ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ   作:阿弥陀乃トンマージ

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第8話(3)食に関して

「はむはむ……」

 

「……」

 

「ふむふむ……」

 

「………」

 

「ほむほむ……」

 

「…………」

 

「あ~ええっと……イオ殿?」

 

 

 

 ウララが対面に座るイオに声をかける。イオは首を傾げる。

 

 

 

「?」

 

「そんなに見つめられるとなんだか食べづらいのでござるが……」

 

「ええっ! 結構がっつりと食べていたと思ったけど……」

 

「それは単なる気のせいでござる」

 

「き、気のせい……?」

 

 

 

 ウララの言葉にイオは戸惑う。ウララは頷く。

 

 

 

「左様。これくらいは食事の内にも入らんでござる」

 

「しょ、食事の内にも入らない……⁉」

 

「これからが本番でござる」

 

「これからが本番……⁉」

 

「左様でござる」

 

「で、でも……」

 

「ん?」

 

「そんなに食べて良くあんなに身軽に動けるね……」

 

「ふむ、それは忍者だから当然のことでござる……」

 

「ニ、ニンジャ……!」

 

 

 

 ウララは得意気に腕を組んで頷く。イオはそれを、目を輝かせて見つめる。

 

 

 

「イオ殿……」

 

「な、なに?」

 

「貴女も感心していないでもっともっと食べるべきでござる」

 

「もっともっと……⁉」

 

 

 

 ウララの発言にイオが驚いて目を見開く。ウララが深々と頷く。

 

 

 

「左様。獣人にもさまざまな方がいると聞きますが、やはり食べて食べて食べまくって、日々の活力を得なければなりません。いわんや貴女はライオンの獣人……!」

 

「自分はすっかりネコの獣人だと思い込まされていたよ……」

 

「それについては一刻も早くお忘れになるのが賢明でござる……! とにもかくにも、貴女は百獣の王の流れを汲む獣人……!」

 

「!」

 

「さあ、間もなく料理が運ばれてくるでござる! 目一杯お食べなさい!」

 

 

 

 ウララがイオをビシっと指差す。イオが困惑する。

 

 

 

「た、食べろと言われても……例えばどんな風にかな?」

 

「バクバクと!」

 

「バクバクと⁉」

 

「ブクブクと!」

 

「ブクブクと⁉」

 

「ボクボクと!」

 

「ボクボクと⁉」

 

「……もうお分かりでござるね」

 

「い、いや、分からないよ! ブクブクとって! 途中太っちゃってない⁉」

 

「気のせいでござる……」

 

「また出た、気のせい……」

 

「ほら、料理が運ばれてきたでござるよ……」

 

「む……」

 

 

 

 ウララとイオのテーブルに、多くの料理が置かれる。ウララが腕を組んで考える。

 

 

 

(『あの御方』の下では、満足に食事も与えられなかったようでござるからな……。これだけの量の料理を目の当たりにして、一体どのような反応を見せるのか……?)

 

「……」

 

(やはり戸惑いが先に出てしまうでござるか……。しかし、獣人として覚醒する為には、多少みっともなくとでも構わぬから、がっついて欲しいところでござるな……)

 

「……ナイフとフォークを貰えないかな?」

 

「はあっ⁉」

 

 

 

 イオの意外な言葉にウララは驚く。イオは店員からナイフとフォークを受け取ると、それらを器用に扱いながら、料理を口に運ぶ。イオは笑顔を見せる。

 

 

 

「うん、美味しい♪」

 

「いやいや、ちゃんとしたテーブルマナー!」

 

「ど、どうしたの、ウララ……?」

 

「あれではないのでござるか⁉ 地べたに投げつけられた肉にむさぼりつくような食事をしてきたのではないのでござるか⁉」

 

「ど、どんな食事だよ……ボクは基本こんな感じだったけど……」

 

 

 

 イオが汚れた口元を紙でサッと拭う。ウララが額を抑えながら声を上げる。

 

 

 

「し、しつけがしっかりと行き届いている……!」

 

「ウララ、食事中はもうちょっと静かにした方が良いよ……」

 

「逆に注意されるような有様!」

 

 

 

 ウララが頭を抱える。イオが不思議そうに首を捻りながら、ウララを見つめる。

 

 

 

「……どうかしたの?」

 

「違う……!」

 

「ええ……?」

 

「なんかこう……思い描いていたものと! 獣人はそういうものではないでござろう⁉」

 

「なにをイメージしていたのか知らないけれど……そういう固定観念?みたいなものに縛られるのは、これから先の時代、あまりよくないんじゃないかな……?」

 

「や、山で育った野生児に生き方というものを説かれる……!」

 

 

 

 ウララがテーブルから崩れ落ちて、両膝をつく。イオが驚いた様子を見せる。

 

 

 

「だ、大丈夫? ウララ?」

 

「……かくなる上は……やはり食い逃げしかないでござる! それがしも若い頃は……イオ殿、貴女の持つ本来の野性味をもっと思い出すでござる!」

 

「それはダメだよ。キョウから預かったお金が一杯あるでしょ」

 

「あ、は、はい……そ、そうでござるな……も、勿論、冗談でござるよ……」

 

 

 

 イオの冷静な言葉にウララは後頭部をポリポリと掻いて、席に座り直す。

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