【第1章完】ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ   作:阿弥陀乃トンマージ

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第12話(1)山王、かなり速い

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「ま、まさか、三幹部がやられるとは……」

 

「イチローさん……」

 

「ジローさん……」

 

「ゴローさん……」

 

「ジャック、どうすれば……」

 

「いや、俺もジャックさんと呼べよ⁉」

 

「だけど……」

 

 

 

 頼りにしていたイチロー、ジロー、ゴローを一気に失い、兵士たちは意気消沈する。そんな様子を見ていたジャックは内心、舌打ち交じりに呟く。

 

 

 

(ちっ、マズいな……いきなり士気が低下どころか、挫けちまったぞ……あの三幹部ならば、キョウと相打ちくらいは出来ると踏んでいたんだが……のっけから計画が狂っちまった……くそが! ん?)

 

 

 

 ジャックが視線を向けると、山王が前に進み出てきて、その重い口を開く。

 

 

 

「案ずるな……」

 

「……! 山王さま……!」

 

「イチロー、斬殺……」

 

「……」

 

「ジロー、銃殺……」

 

「………」

 

「ゴロー、毒殺……」

 

「…………」

 

「こやつらを失ったのは痛恨の極みだ。しかし……まだわしがいるぞ……!」

 

「……‼」

 

「今目の前にいる連中を血祭りに上げて、わしらは先に進むぞ!」

 

「お、おおおっ!」

 

 

 

 山王の力強い言葉を受けて、兵士たちが大いに気勢を上げる。それを見て、ジャックは笑みを浮かべながら呟く。

 

 

 

「そうだ、まだまだ負けたわけじゃねえ、この御方がいれば、国盗りは十分に可能だ……! 俺の勝負もまだここからだ!」

 

「さて……」

 

「む……!」

 

 

 

 山王がアヤカたちの方にゆっくりと向かってくる。

 

 

 

「かわいい部下たちが大層世話になったな……」

 

「くっ……」

 

 

 

 山王の発する言葉それ自体が、圧力となって、アヤカたちに迫る。アヤカたちは押し潰されまいと懸命に踏ん張る。

 

 

 

「……………」

 

「?」

 

「………………」

 

 

 

 アヤカたちが視線を向けると、山王は遠くを見て、涙を流していた。アヤカとジャックが揃って戸惑う。

 

 

 

「な、泣いている……?」

 

「や、山王さま……?」

 

「イチロー、ジロー、ゴロー……いずれもわしにとっては大事な子どものようなものだ……覚悟はしていたとはいえ、このようなかたちで失うのはとても辛い……女ども、楽に死ねると思うなよ!」

 

「くっ……! 声だけでなんという圧だ⁉」

 

「さあ、まずはどいつだ!」

 

「せ、先手必勝だ! はあああっ!」

 

 

 

 アヤカが勢いよく斬りかかる。

 

 

 

「なかなかの速さだが……」

 

「なっ⁉」

 

 

 

 アヤカの背後に、山王の巨体が一瞬で回り込んだ。

 

 

 

「そんなものか!」

 

「がはっ!」

 

 

 

 アヤカが地面に激しく叩きつけられる。わずかに指先が動く。

 

 

 

「ほう、今の一撃を食らっても、生きているとは、生命力もなかなかだな……」

 

「や、山王さま、こやつめは、軍とも繋がりがあります! 人質として生かしておいてはいかがでしょうか?」

 

「ジャック……!」

 

「は、はい……!」

 

「そのような下らぬ提案……二度と口にするなよ!」

 

「は、ははっ! た、たいへん失礼を致しました!」

 

 

 

 ジャックが慌てて頭を下げる。山王が太い腕を振りかざす。

 

 

 

「そうはさせないよ!」

 

「! イオか……お前は別だ」

 

「え?」

 

「戻ってこい、お前も我が子同然に大切に育ててきたからな……」

 

 

 

 山王がさきほどまでとは打って変わっての優しい声色で語りかける。

 

 

 

「嘘つき!」

 

「う、嘘つき……?」

 

「ボクのことネコの獣人とか言って! 本当はライオンの獣人なのに」

 

「い、いや、それはだな……」

 

「なにが大切に育ててきただよ! 今のお前は敵だ!」

 

「て、敵……だと?」

 

「今のボクの牙には毒が仕込まれている! 噛まれたらその時点で終わりさ!」

 

「むう……」

 

「がああっ!」

 

「はっ!」

 

「なっ、いつの間に後ろに⁉ は、速い!」

 

「ふん!」

 

「!」

 

「ならば噛ませなければ良い。危うく飼い猫に手を噛まれるところだった……」

 

 

 

 山王はイオを殴り飛ばすと、どこか悲し気に呟く。山王が速さを見せつけた。

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