一級魔法使いアウラの日常 作:失踪のフリーレン
もう一つ作品を書いているんですが行き詰っていたところ気が付いたらこちらが出来上がっていました。不思議ですよね。
聖都シュトラール
大陸魔法協会本部にて──────
一級魔法使いであるアウラは朝から書類仕事に精を出していた。
(なでなで・・・さわさわ・・・もふもふ・・・)
報告書に目を通し問題がないものにはサインを記してゼーリエの元へ送り、
問題があればその対応策を考え、追加人員派遣の要望書と候補生を添えてこれまたゼーリエへ送る。
(なでなで・・・さわさわ・・・もふもふ・・・)
報告書が片付けば次回の魔法使い選抜試験の草案作りに取り掛かる。
大半の魔族が人類と和平したとはいえ、一部の魔族はいまだに被害を生み出しており優秀な人材の確保も急務であった。
しかし特権という餌により己の実力を過信し背伸びをした結果試験中に再起不能となった者や命を落とす者も少なからずいる為、アウラはいかに難易度を高めつつ危険度を下げるかについて頭を悩ませていた。
(なでなで・・・さわさわ・・・もふもふ・・・)
そうこうしているうちに日は沈み始め、書類の山が粗方片付いたところでアウラは目元を揉みながら椅子にもたれかかると───
「メトーデ、ずっと私の髪の毛弄ってるけど飽きないの?あとあなたの仕事大丈夫なの?」
「いえ、まったく飽きません。仕事につきましては任務帰りなので今日明日は非番ですのでご安心下さい」
朝に書類仕事を始めてからずっとアウラの頭を撫で、ボリュームのある髪を弄っていたメトーデへ話しかける。
すると彼女は間髪入れずに返事をするのだがその間も手を止める事はなかった。
まるで何かに取り憑かれたかのように一心不乱にアウラの頭皮や毛先に触れ、時には三つ編みにしたかと思うとツインテールにしてみたりと様々な髪型へと変えて楽しんでいた。
そしてひと段落ついたのか今度は櫛を使って丁寧にとかし始める。
そんな彼女を見てアウラは小さく息を吐くとラストスパートとばかりに残った書類へ目を向けるのであった。
◆◆◆
それから数刻後、全ての書類整理を終えたアウラは凝り固まった身体を伸ばしながら大きく欠伸をする。
「お疲れ様です、アウラ様。こちらハーブティーになります」
「んー、ありがとう。でももう貴女も同じ一級魔法使いなのだから様付けなんてしなくていいのよ?」
いつの間に淹れていたのかハーブティーを差し出すメトーデに感謝の言葉を伝えつつも、いつまでも自分を敬うような態度をとる彼女に苦笑する。
アウラが言うようにメトーデは既に一級魔法使いとして認定されていた。
そしてそれは同時にアウラと同じ立場になったという事であり、もはや上下関係など無くそれなのに未だに様付けで呼ばれる事に違和感を感じていたのだ。
「そういう訳にはいきません。同等の立場になったとしてもアウラ様はアウラ様なのです」
だが当の本人は頑なに首を縦に振ろうとせずむしろ更に態度を硬化させてしまったようだ。
結局それ以上強く言えずアウラは諦めて溜息をつくと再びハーブティーに口をつける。
そして飲み終えたアウラはカップを片付けるべく、席を立つと同時にメトーデも立ち上がり部屋を出て行こうとするのだが───
「あっ、そうそう。最近忙しくてなかなか会えなかったでしょう?久々に食事でm「喜んでご一緒させて頂きます」
アウラからの誘いにメトーデは食い気味に返答する。
彼女の勢いにアウラは苦笑しつつもティーセットを片付けた二人は夜の帳が下りた街へ繰り出すのであった。