4月、それは出会いの季節。寒い冬が終わりを告げ暖かい春がやってく来た。生命の息吹で眠っていた生き物たちは目を覚ます。小鳥さんや犬さん、猫さんにたんぽぽさんも目を覚ます。だけど私は夢の中、暖かい日差しが私を優しく包み起きるのも嫌になっちゃう。むにゃむにゃと寝ていると、
「...きな...ゆーちゃ...学校遅刻するよ」
夢の中でお母さんの声が聞こえる。「...あと5分寝かせてぇ....」と言うと、
「早く起きなさーい‼︎」
と布団を剥がされ起こされた。目を擦りながら今日何かあったか考える。
「お母さん...今日何の日?」
「なぁに寝ぼけたこと言ってんの!今日はあんたが転校した学校に登校する日でしょ!」
「.....アーーッ⁉︎」
一呼吸置いた後に思い出す、今日は学校に行く日じゃん!急に目が覚め飛び起きる。バタバタと階段を降りリビングに行き朝食を食べる、今日はトーストにハムと目玉焼きが乗っていてとても美味しい。
朝食を食べ終えパジャマを脱ぎ制服に着替える、鏡で確認しておかしいところはないかと探し、特にないことが分かりバタバタと家を出て学校へと向かう。
全力で走ったおかげで何とか遅刻することなく学校に着くことが出来た。担任っぽい人が私に手を振りこっちに来てと言っているように見えそっちへ向かう。その人は少し茶髪気味な活発そうな人だ。
「初日からギリギリっスね!先生、君がくるか心配だったんスよ」
「ごめんなさい先生!少し寝坊をしてしまいまして、タハハ...」
「今回は大目に見るっスけど、次はないっスからね」
今回は許してくれて良かったと安堵し、先生が「教室を案内するっス」と教室まで連れてもらった。着いていくと二年三組の扉の前まで来て少し待つよう促しそれに従い少し待つ。先生は扉に入り、
「皆んな!おはようっス!」
と元気の良い声と共に「おはようございます」と声が返ってきた。しばらく先生が何かを話し、転校生の話になり扉が開けられる。先生に呼ばれ中へと入る。みんなの視線が私に向く、自己紹介をする瞬間、この時が一番緊張する瞬間だ。先生が示したところまで行き、みんなの方を向く。心音が速くなる、少し汗が滲む。私は一度目を瞑り深く深呼吸をする。体中に酸素が行き渡る感じがする。息を吐くと同時に目も開け、
「初めまして、私の名前は春咲ゆいな。丹波山中学校から転校してきました。好きなことは絵を描くことです。みんなと仲良くなりたいです。よろしくお願いします」
軽く自己紹介を言い終え、おじきをする。前の方から拍手の音が聞こえる、どうやら上手くいったようだ。顔を上げ先生が席を指定してくれる後ろの方の席に向い、隣の席の人に挨拶をする。
「私、春咲ゆいな、あなたの名前は?」
私の隣の席の人、青い髪をした女の子がこちらを向く、ちょっと大人しい子のようだ。
「...私、水橋葉桐...よろしく...」
「葉桐ちゃんって言うんだ。私のことはゆいなって呼んで良いよ」
「そっ...わかった、ゆいな...」
と葉桐は軽く会釈をし挨拶が終わる。反対側の子も挨拶をして、席に着きそして授業が始まる。休み時間になると私の周りを囲むようにクラスメイトたちが集まり質問合戦が始まる。どこ出身でいつここに引っ越したか、好きな食べ物は何かとか他愛ない質問ばかり続き、休み時間が終わる。それは放課後になるまで終わることは無かった。
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放課後やっとの思いで解放され、やっと帰ることが出来る。クラスの人たちはそれぞれ部活で忙しそうだ。部活をしている人たちを尻目に私は家に帰る。帰る途中信号待ちしている葉桐ちゃんと何かを抱き抱えているところを見つける。あの子も部活やってないのかな?そう思いそのまま帰る。河川敷を歩いていると突然何処からともなく声が聞こえてきた。それも耳ではなく頭に語りかけるように
(..誰か....て)
声が小さく僅かにしか聞こえなかったがきっとこれは助けを求めている声だ、と思い自分の勘を頼りに向かう。適当に進んでいると声はだんだんと大きくなっていき、声も鮮明になってきた。
(誰か助けて!)
そんなか弱い声が頭に響く。速く助けなきゃ、そう思い走る。探していくと裏路地に辿り着く、そこにはボロボロな状態で猫のような鳥のような変な生き物と黒いモヤの化け物がいた。変な生き物が私に気づき助けを求めた。
「ちょっとそこの君ボクを助けてくれないかい?」
そう変な生き物はそう問いかけてくる。だけど急に助けてと言われてもどうすれば良いかわからない。
「ねぇどうすればあなたを助けられるの?」
「それじゃあこれ使ってくれ」
と何処から取り出したかわからない不思議な道具を投げ渡される。それは小さな懐中時計みたいな形をしていた。
「え、でもどうすれば」
「開ければすぐ出来る」
言われるがままそれを開ける。するとその懐中時計みたいなものが光を放ち花びらが身体中を纏っていた。困惑私を置いていくように花びらは姿を変える。花びらが肌触れると服へと変化し、次第にピンクを基調とした可愛い衣装へと変化した。自然と身体が動きポーズまでとっていた。
「...て、えぇッ‼︎なにこれぇ!」
「それであのビーストをやっつけてくれ」
「やっつけるって言ってもどうすればいいの?」
「そんなの思い浮かべろ、今の自分が必要な武器を」
思い浮かべるの...?ってビーストっていう敵が目の前まで来ちゃったし、思わず目を瞑り死を悟り、自然と手が前に出て防御をとっていた。頭に一瞬鉛筆が過ぎる、瞬間手に違和感を感じる。恐る恐る目を開けると手には剣ぐらいの大きさの鉛筆が出てビーストの攻撃を防いでくれた。何が何だかもうわからなくなってきた私はその鉛筆を振り回し、ビーストを吹き飛ばした。ビーストは壁に叩きつけられて怯んでいる。
「今だ、あいつにトドメを刺して。今君の持っているもので突き刺すんだ」
言われるがまま鉛筆を槍のように持ちビースト目掛け突撃する。
「ハァーッ!!『アサルトライナー』ッ‼︎」
鉛筆はビーストの胸を突き刺し悲痛な声をあげ消滅していった。