アスモデウスから貰った薬を飲んでからというもの、ずっと夢を観ていたような気分だった。
目の前で皆が争っていたが、心が動くことはない。
まるでテレビ越しにつまらない映画を見せられているようで。何もかもがどうでもいい、そんな気分。
ただ、女神様が泣きそうな表情で俺に向かって手を伸ばしていた。それには、ちょっとだけ、心がざわついた。
そして今――。
「あ、主。起きた」
「……クロ。顔を舐めないで」
顔面中を猫に舐め回されて、目が覚めた。
いや、目はずっと覚めていたのだが……ようやく頭がスッキリして来たとでもいうのだろうか。少しは動こうかなという気分になってきた。
「もうー。勝手に変な薬飲んで、死にかけて。知らない人から貰ったモノは食べちゃいけないんだよ。知らなかったの?」
「……うぅ」
お座りしたクロが、床をぺしぺし叩いて、ここに正座しろと怒ってる。
はい……正座します。ごめんなさい。まさか猫に説教される日が来るとは……。
というかあの薬、効果が強すぎないか?
『制欲剤』と言ったっけ。欲望を制するどころか、消滅させてくれやがって……。まじで何もする気が起きなくなってた。
女神様のことがどうでもいい??
アホか。そんなわけがない。彼女は俺の命なんかよりも大切な存在だ。そう確信している。
だけど、それを一時的にでも忘れさせるほど、薬が強かった。
今だって薬の効果が切れた訳じゃない。
ただクロが、自分の持つ"欲望"を俺に分けてくれたのだ。
顔面ペロペロしたり、光輪まで舐めて悪魔の魔力を送り込むことで俺に"活力"を分け与えた。
「クロ……舌、大丈夫?」
「んー? 結構痛いよ」
天使の光輪もまた、破邪の効果を秘めている。
普通の悪魔が触れて無事で済むことは無いが、クロは俺の血液をエサに育ってきた悪魔だから相性が良かったのだろう。
クロのざらざらした舌を見ると、少し火傷したように赤くなっているだけで済んでいる。
というか、光輪に悪魔の力を入れるのって天使として結構ヤバそうなのだが大丈夫? 無論、性的な意味で。
うーん……たぶん……大丈夫……? という事にしておこう。
しかしこれでまた俺の経験人数が増えてしまったな。
まさか飼い猫にまで襲われる日が来るとはな。
「なんだよ? もっと褒めろよー。ボクは主の為に頑張ったんだぞ」
「うん、ありがとありがと」
悪魔は魔力混ぜ混ぜが
そもそも救命行為だしな。人工呼吸みたいなもんよ。ノーカン、ノーカン!
「感謝してるなら、ボクにご飯でも寄越せよなー! 最近、主の血を飲めてないんだぞ! なんだよ、女神達に外聞が悪いって!?」
「はいはい。ちょっと待ってね」
ぴょんぴょんと俺の目の前でジャンプして猛アピールしているクロを落ち着かせる。
まず、ここは何処だろうか?
ログハウス? 窓から外を見ると、深い森が広がっていた。山小屋かな?
アスモデウスに連れ去られて来たが、今はここに放置されてる真っ最中。
しかし、なんだな……。
凄い眠いし、何か食べたい。ごろごろ寝転んで昼寝したい気分。
女神様が心配してるだろうから早く帰って安心させなきゃなのに……面倒で動きたくない。というかもうムリ、横になる。
ぺしょっと倒れ込んで、俺は膝を抱えるように丸まった。
俺の今の活動方針とでも言うべきか、意欲は全部クロから貰った欲望で構成されている。つまり、これが飼い猫の気持ち……。
「……昼寝……したいなぁ。ご飯、欲しい。クロの欲望……かなり緩いね」
「な、なんだよぅ。文句あるのかー!?」
窓から差し込む陽向で寝ころんで、ごろごろにゃん。
あ~むり~。もう俺、ここで暮らすぅ……。もう働かなぁい。
▼
「もう一度、女神がやって来る前に根回しよ。アンタ達はここでできる限り時間を稼ぎなさい!」
来たと思ったら、一瞬で帰って行った女神に呆気にとられた。
ぽかんと開いた口を何とか閉じて、周囲に指示を飛ばす。
「『嫉妬』もどうせ復活したんでしょう。隠れてないで、早く迎撃に加わりなさい」
「……ふーん。そんなこと言うんだ『色欲』。さっきは私を見捨てたくせに」
嫉妬の悪魔――レヴィアタンは、未成年で幼なげな少女に見える人物だ。
真っ赤な髪をツインテールで結んだ、小生意気な笑みを絶やさない幼女。それが嫉妬の悪魔レヴィアタン。
「あれが最良の選択肢だったのよ。それに、アンタもこれでようやく
「まーねー……だけど、それが良い気分にさせるかどうかなら、ムカつくでしょ? 死ぬのだって普通にイヤなんだから」
「悪かったわよ。詫びは全部終わったらするわ」
「……ふん、期待しないで待ってるけどね。それより、あの狂天使だけは今すぐ殺させてよ。私はそれだけでいいんだけど?」
嫌なことを要求してくれる……。
アルマロスから聞いているが、女神はいま随分と
それを殺してみろ。どうなると思う?
――あの温厚な女神が、ブチギレる。
そして現代の生温い天界が神の号令の下、かつての姿を取り戻す。
昔の大戦争を経験しておらず。天使から堕ちたわけでもない。純粋な悪魔として生まれた、年若いレヴィアタンは知らないのだ。
本性を現した天使共の頭のおかしさを。欲望や個我を全て抑えつけて、正義を騙る
だから女神を本気で怒らせてみろ!
女神を慕う天使がみんな、彼女の怒りに感化されて自ら殺戮機械と化すんだぞ! 言ってしまえば、ザラキエル大量発生だ!
そいつ等全員で私を狙うんだぞ!? ふざけんなッ!! 絶対にザラキエルを殺すんじゃないぞ! 絶対だぞ!?
「なによ、何か言いたい事が有るなら言えば? なければ、あの天使殺すけど?」
「いいや……別に、そうじゃないわ」
とはいえ「頼むからザラキエルを殺さないでくれ」なんて言っても、レヴィアタンには通じない。
悪魔に懇願なんて「うるさい、私の邪魔をするな」と余計に怒りを買うだけで意味がない。むしろ逆に嬉々としてやる奴が多い。
だからレヴィアタンを見下ろして、言ってやる。できるだけ侮蔑を籠めて。失望したように言ってやる。
「ただ思っただけよ。貴方はあんな戦闘不能の状態の子を倒して満足なのね。なら、いいわ。好きにしなさい」
「……はぁ? なにそれ、お前。どういう意味? 舐めてんの?」
「あら違った? 私は貴方が――ごほっ」
「黙ってよ。ムカつくなぁ」
レヴィアタンの貫手が私の腹部をつらぬいた。血が胃を通って喉まで上がる。
「なによ今のセリフ。私があの天使に正面からじゃ勝てないって、そういう意味? アンタ今、私を見下したわね……!」
「あらあら、そう見えちゃった? ごめんなさいね、違うわぁ」
レヴィアタンの攻撃が痛い。腹に穴をあけられて泣き叫びたい。だけど、そんなの全部押し殺す。
鼻で笑って言ってやるのだ――この弱者が。
「貴方はザラキエルに一度、完膚なきまでに殺されて。最後に油断したところで、なんとか傷を負わせた。そしたら何? 次は寝込みを襲うの? いいじゃない、悪魔らしくて好きよぉ、私、そういうの、だぁい好き」
「……ふん。誰が、そんなことするって言ったのよ。私ならもう正面からだろうと負けやしないわ!」
かかったなアホが。
「そうなの? ふーん……まあいいわ、なら貴方も防衛戦に加わりなさい。戦場は、あちら。威勢のいいことは、せめて熾天使を殺し返してから言う事ね」
「ふん!」
理性も知性もない、未熟な悪魔ほど乗せやすい馬鹿はない。
苛立っているレヴィアタンは、近くを通りがかった悪魔を殴りつけながら森の中に消えていった――ガキが。
私はレヴィアタンを見送った後で、小屋に入った。
ここには、倒れたザラキエルを寝かせておいたのだが……なんか、陽向に移動している。起きたのかしら?
「にゃーん……うにゃ~」
「うぐぐ、離せよー主。ボクはぬいぐるみじゃないんだぞぅ……!」
ザラキエルは黒猫を抱えながら、にゃんにゃん言って陽向でごろごろと転がっていた。
思わず私は何度も目を擦る。耳がおかしくなったのかと、側頭部をトントン叩いて再確認。
「にゃーん、にゃんにゃん。ごろごろごろ……」
……ザラキエルの頭は、おかしくなってしまったのだろうか?
これが魔界を恐怖に突き落とした、あの殺戮天使の姿か? これが……本当に!?
「しっかりしなさい! ザラキエル! 本当の自分を思い出すのよ!! 貴方は残酷無比な天使でしょう!? 猫じゃないのよ!」
「うにゃぁ……ちがうよぅ……?」
ぺちぺち、ぺちん! と頬を叩いてみるが、ザラキエルは「にへらぁ」と緩い笑みを浮かべるだけだった。
一体なにが有ったのか分からないが、ザラキエルの様子が明らかにおかしい。
ま、不味いわね……。こんな姿を見せたら女神に「今度は洗脳ですか!?」なんて言われかねない。
止めてくれ! だから私は何もしていないって!
「きっと欲望が尽きかけているせいね。ザラキエル! アナタいま何が欲しいの!? 言ってみなさい!」
「んー……ごはん……」
「ご飯ね、分かったわ! 人間が泣いて喜ぶほどの美食を作らせるわ! ――ウコバク! 来なさい! 料理よっ、今すぐに!」
「へい、少々お待ちを!」
子鬼のような姿をした、料理が得意な悪魔。ウコバクを呼び出してすぐさま調理を命令。
彼ならばものの5分も掛からずに超一流の料理を山ほど用意するだろう。
食事というものを知らぬ天使では、味わったこともない絶品だ。人間だってその感動に耐えられるか分からない。
あまりにも美味しくて、もしかしたら『暴食』に近づいてしまうかもしれないが……。まあ欲望が0の今なら丁度いいだろう。
じゃあ、それを食べさせて、え~っと……欲望が刺激されてザラキエルが復活したら女神との仲裁をお願いして、それで――。
その時、爆音が後方から聞こえてきた。
「――なによ!? もう来たの!?」
慌てて小屋を飛び出すと、山頂の一画が吹き飛ぶのが目に映った。
空を覆う天使の群れ。更に後方では人間の兵器たる"戦闘機"まで編隊を組んで飛んでいた。
「……戦闘機ぃ!?!」
なんで人類が出しゃばってきたのか分からない。だが、どうやら先ほどの爆発は戦闘機からの空爆だったようだ。
続けざまに10発、20発と連続してミサイルが飛んでくるが、悪魔達も黙っていない。迎撃のために対空魔法を放つ――が、ミサイルは天使達の防御魔法で守られていた。
対悪魔用に製造された特化ミサイルが次々と地面に突き刺さり、轟音と共に悪魔たちを吹き飛ばしていく。
「っなによ!? あいつら戦争でもする気!? 被害報告!」
「防御陣地をズタズタにされました! 構築していた魔法陣も爆撃により崩壊、機能不全を起こしています! ――ッアスモデウス様! 天使達が突っ込んできますよ!」
「んなこと、見ればわかるのよッ!!」
人間の軍隊を駆り出して、天使の軍勢まで召喚して! あまりにも大々的過ぎる……! アイツ、まさか
乱戦になれば空爆はもうできない。こちらの防御陣地を破壊するだけ破壊して、露払いは終わったと戦闘機は去って行った。が、間髪を容れずに次が来る。
敵は上位、中位天使が入り混じった即席の混合軍。対するこちらは爵位級を主として構成された私の第1軍団。
私はどうやら女神の怒りを読み間違えていたらしい。
こんなの、完全に戦争だ……!!
▼
「おー。思ったより使えるじゃないですか人間の軍隊。戦闘機でしたっけ。局所戦ぐらいなら、先鋒を任せられそうですね。耐久性も見たいけど……あーバイバイですか。継戦能力は無し、と」
空を見上げた智天使さんが、暢気そうに言った。
「耐久性なんか見なくていいんです。みんなも、命だけは大切に……!」
味方を守るための神専魔法を全展開。
悪魔の攻撃で傷つかない様に。惨い呪いを受けない様に。皆が、無事に帰ってこれますようにと、祈りを籠めて。私は魔法を使う。
私の神力の半分以上がそれだけで費やされた。急な魔力消失で眩暈が起きる。
おもわず体がよろめいて膝をつきそうになるが、サラフィエルが支えてくれた。
「女神様、敵はどちらに?」
「……ここから真っすぐの所です。そこにある、小屋の中にザラキエルはいるはずです」
さっきまで、ザラキエルと触れ合う程の距離にアスモデウスの気配が有ったのが気になる。今だって入れ替わり立ち代わり、悪魔が小屋に出入りしている。
ザラキエルの身に一体何をされているのか、最悪の予想が頭をよぎった。――だけど、それよりも今はこの戦いだ。
先ほど私が二人に助けを求めた後。
あまりの敵の多さに突破方法を悩んでいたら、智天使さんは「私にいいアイデアがあるのですよ」と言ってどこかに連絡してくれた。
すると、あっという間に皆は集まってくれた。
多くの上位天使。そしてこの国の軍隊――延いては政府すら、智天使さんは瞬く間に動かした。
一体どうやったのか私には分からないけど、今はお礼を言っておく。
「ありがとうございました、智天使さん。貴方のおかげですぐに攻勢に出れました」
「いえいえ~。こんな事もあろうかと、色んな所にコネクションを繋げておいたのです。役立ってよかったのですよ~」
人間界の大国すら瞬時に動かせる"コネ"とは一体なんだろう。それを独力で築いた智天使さんの敏腕は凄いと思う。でも……それは司書の仕事ではない。
なんで智天使さんはこの国の政府と繋がっているの?
じぃっと見つめたら智天使さんは嬉しそうに、照れ照れと頬を染めた。うーん……?
「天使一同、戦闘準備完了いたしました。女神サーヴィトリー様――ご命令を」
軍靴を合わせるような音。
振り返ると、緑色の髪をした小柄な熾天使――ガブリエルとその配下たる上位天使たちが、ずらっと並んで頭を下げていた。
かつては天軍に所属していた、サラフィエルの元同僚ガブリエルさん。今は戦闘から身を引いて天導院の長をしている彼女も、戦いの気配を思い出したように鋭い目をしていた。
私が生まれて初めて見る、彼女の闘気は冷たく鋭いものだった。
他の天使の皆さんも、急な招集令に嫌な顔一つせず集まってくれている。それが嬉しくも、申し訳ない。
「ごめんなさい、天使の皆さんが戦いを忌避しているのは知っているのですが……どうしても、救いたい子がいるんです。だから……お願いします。皆さんの力を、少しだけ私に貸してください」
「私等は他でもない、貴方様のために在るのです。故にお願いなどは不要。ただ一言――ご命令を」
殺しとは、たとえ勝っても堕天のリスクが付き纏う天使の禁忌なのに……命を賭けた、殺し合いだというのに。
ガブリエルさんを筆頭に、立ち並ぶ天使の皆は当然のような顔で立っていた。
ザラキエルの死臭を恐れていた子も。血の臭いを怖がった子も。
今では、みんな感情を失ったような面持ちで戦場に赴いた。
――これだ。必要とあらば己を消して正義をなす。欲望も感情も封じ込めて、使命だけに没頭する。悲しいが、これこそが、本気になった天使なのだ。
心無い人はこんな彼女達を見て"殺戮機械"なんて呼ぶこともあるが、そうじゃない。
彼女達はただ、今この瞬間をがんばっているだけで、戦いが終われば感情を取り戻す。戦いの中で辛かったことも、嫌なことも覚えてる。決して心無い機械なんかじゃない。
だから……私は今から、みんなに大変なことを言わなくちゃいけない。
「みなさん、可能なら悪魔を殺さないでください。そして絶対に誰一人死なないでください。また、皆揃って元気に天界に帰るんです。それだけが、私からの命令です」
無理難題だとは分かってる。
戦場でそんなことは不可能だ。これが重荷なることも知っている。だけど、言わなくちゃいけない。
彼等の中から、またザラキエルのような戦いを好む子が現れない様に。血に酔わないようにと、願わずにはいられない。
「私は皆さん全員が大切なんです。怪我をしないでください。生きて、仲間の誰一人欠けることなく、ザラキエルを救ってください。どうか、お願いします」
死者蘇生は……可能だ。
死した天使だろうと人間だろうと、神ならば蘇生できる。
だけど、辛いことは辛い。私は死んでしまった仲間の顔なんか見たくない。彼等にそんな目に遭って欲しくはない。
私の命令なんだか懇願なんだから分からない言葉を聞いたガブリエルさんは、口角を上げて薄く笑うと、より一層深く頭を下げた。
「――女神様のご意志、たしかに受命いたしました。これより我等、天使一同、"天軍"の指揮下に入ります。……サラフィエル。さっさと号令を掛けて。ああ、殺しは無しで。貴方にとっては残念だろうけどね」
「お前は私を何だと思ってるんだ……? ふん、当然のことだろう。今はもう、昔とは違うんだからな」
「え……サラフィエル、貴方、少し変わった?」
ガブリエルが思いもよらないことを言われたと、キョトンとした表情を浮かべた。
サラフィエルは怒ったように彼女の背中と羽を叩くと、ガブリエルも笑って叩き返した。
そしてサラフィエルは声を張り上げて、全軍に命令を届ける。
「聞け!! 敵は醜悪な『色欲』アスモデウス!! そして『嫉妬』のレヴィアタン! 奴等は優しき女神様のお心を利用して、罠に掛けた! 我等が神に手を掛けた! ――許せるものか!」
私にとっては初めてで。天使達にとっては千年ぶりの実戦が。果てしない悪意の元に幕を開ける。
ザラキエルは怖がられていただけで、決して嫌われていたわけじゃない。
そうでなければ、天使の皆もやる気になってくれはしない。
「我等天使は神の剣。神託の執行者にして、裁きの雷。神は我等を信認してくださった! ならば、我等はただの一人も見捨てはしない!」
サラフィエルが仲間を救えと、轟き、叫ぶ。
敵を打ち倒せと、咆哮を上げる。
「神は悪魔を殺すなと仰った! なればこそ……9割殺しだ。敵が二度と立ちあがれなくなるまで、ボコボコにぶちのめせ! 神が信じるお前らの正義を為せ! 以上ッ――ただひたすらに、突撃ッ!!」
即席の部隊に連携は無い。作戦なんて、あったもんじゃない。
戦力はこちらが優位なのだから、下手な事して混乱するぐらいなら平押しの方が安全だ。
それは分かってるんだけど……なんか脳筋な命令だなぁって。
私は、次々と飛び立って行く彼等に大きく手を振って見送った。