転生TS天使ちゃんは怠けたい   作:テチス

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すみません、閑話挟んだので時系列がわかりにくくなりました。
色々前後してますのでご注意ください。


2章
天使の羽


 

 

 

「なぜ悪魔がここに居るんだ!? どういうことだザラキエル!!」

「うにゃぁ!? なんだよお前! ここはボクの家だぞぅ!? 勝手に入ってくるなー!」

 

 色々あって熾天使さんを俺の家に案内した直後。熾天使さんが、うちの飼いネコと対峙し始めた。

 

「……あー」

 

 最初はなんで猫とケンカしてるのか分からず「猫相手に何やってんだこの人。大丈夫か?」と思ったが、そういえばそうだった。

 

 クロは猫だけど"悪魔"でもあるんだった。

 最近は完全に怠け猫にしか見えなかったから、忘れていた。

 

 一体どう説明するべきか……。

 

 そもそも、どうしてこうなったのか。

 

 話は早朝まで遡る。

 

 

 

 

 俺が勝手に女神様のことを疑って、襲って。だけど女神様の温もりに諭されて、自分の未熟さに気が付いて、俺の全てを吐露した日の朝のこと。

 

 俺は彼女の腕の中で目を覚ました。

 

 どうやら寝ている間ずっと俺は女神様に抱き着いていたらしい。起きたら、ちょうど俺の顔の前に女神様の胸があった。

 女神様の顔を見て、しっかり寝ているのを確認。

 

「……ぇぃ」

 

 なんとなしに女神様の胸に顔を埋めてみた。深い意味はない。やりたくなったから、やってみた。

 

 ふにょんふにょん。ふにょー……おかしい。興奮がいまいちだ。何故だ。俺は女性の胸部装甲に触れているのだぞ。

 なのに、なぜ興奮しない。まさか俺は女の子になってしまったのか?? 心がついに幼女まで退化したか!?

 

「あ……女神様の羽、どこ……?」

 

 なんか肌寒いなぁと思ったら、寝る時は俺を包みこんでくれていた女神様の羽が無いことに気が付いた。

 それが何故だか寂しくて、悲しくて。探してみたら羽は女神様の背中側でくたーって伸びてるのを見つけた。

 

 ……寝相かな?

 んしょっと手を伸ばして羽を優しく掴むと、毛が抜けないように注意しながらゆっくり引っ張った。そして俺を包んで貰える様に配置する。

 

「ぬくぬく……」

 

 朝の涼しい時間帯にふわふわあったかで心地よい。

 頬を羽毛に擦り付けるとスベスベだ。なんだか甘い匂いまでする。

 

 この状態で女神様の寝顔を見ようと顔を上げる――目が合った。

 

「おはよう。ザラキエル」

「……」

 

 女神様の羽とじゃれてたら、女神様本体と目が合った。

 

 え、起きてたの……? い、いつから!? 

 一体、いつから女神様は俺の行動を見ていたの!?

 

「あわ、ぁわわっ、あわー……!?」

 

 自分のやった行動を振り返る。

 ……寝ぼけていたとはいえ、だいぶ変態野郎じゃないか! どうすればいい!? 怒られる!?

 

 もう駄目だと思って、俺はゆっくり目を閉じた。

 ……俺は起きてなかった。いいね?

 

「ザラキエル、寝たふりしてないで起きなさい」

「うっ」

 

「私達の羽はとても大事な所なんだから、許可なしで安易に人の翼に触れたら駄目なんですよ?」

「……はい」

 

「私以外に、そんなことしちゃダメですよ?」

「……うん」

 

 うん??

 

「ザラキエルは結構常識が無い部分がありますからね、貴方も自分の羽だからって他人に易々とは触らせないように十分気を付けて――」

 

「ねえ、ねえ……私は、女神様の羽なら、いつでも触って良いって……こと?」

 

 そう言う意味だったよね?

 さっきの女神様の発言、明らかに「私にならやって良いよ」って意味だったよね!?

 

「……今、私は注意をしてるんですザラキエル」

「はい。ごめんなさい」

 

 でも、そんなこと言われたら、確認したくなっちゃうじゃないか!

 これは俺悪くないだろ!? 女神様の誘導尋問だろ!?

 

「いいですか? 天使の翼とは信頼の証。知らない人に触らせて、いきなり攻撃されたらどうするんですか。天使の急所なんですよ。だから、自分以外の人に触らせることはまず無いんです」

「……はい」

 

「寝込みを襲うなんて以ての外です。分かりましたか? ……じゃあほら、例えばこうやって、私がザラキエルの羽を触れようとしたらどうします?」

「触れやすいように、羽を差し出す」

 

 女神様が俺の背中に手を伸ばしたから、羽で迎えに行ってあげる。女神様は、困ったように眉を下げた。

 

「ザラキエルはどうしてそんなに無防備なんですか、もう……。説明した上で手を伸ばしてみたのに、警戒しないなんて……。先日も撫でさせてくれたし……」

 

「私の翼、女神様も触りたいの? 私は女神様のに触りたい。一緒に触り合う?」

 

 そう提案すると、女神様の羽が緊張したようにピーンと張り詰めた。だけどすぐに、しおしおと下りてくる。

 

「ええぇ!!? い、いえ……そう言う意味では無くて……あ~……そっかぁ、これも知らないのかぁ……」

「???」

 

 まあ、俺の知識は全部が図書館由来だからね。

 昨日の事もあって今じゃ盲信こそしてないが、それでも俺は本の知識しか持ってないから頼らざるを得ない。

 しかも本に載っていたこと以外は殆ど知らないのが現状。

 

 俺の天使の羽に対する認識は曖昧だ。機能や使い方なら知っているが、それ以外は分からない。

 いま女神様が、ちょっと照れている理由も分からない。さっきの会話でなにか変なことがあったかな?

 

「……親が、子の翼に触れるのはいいんです。親愛の表現だし、毛づくろいだってするんです。でも、同時にお互いの翼を撫で合うのは駄目。親子関係なく、誰にもやっちゃダメです。誘ってもダメ。いいですね?」

「なんで?」

 

「……なんでもです」

「どうして?」

 

「……熾天使さんに聞いてください」

「???」

 

 女神様が赤い顔で俯いた。

 

 こ、これは、一体どういう理由なんだ……!?

 でも、赤くなって照れる女神様の顔はなんだか、えっちだった……えっち……。そうか、そっち方面のナニカなのか……?

 

 俺も少し顔が赤くなって、俯いた。

 

「……二人して、朝から何をイチャついているのでありますか?」

 

 あ、なんか見た事ある人が現れた。

 赤髪の熾天使が呆れたような表情で、俺達のことを見下ろした。

 

「ほらほら、怪しい状況になってないで離れるであります。女神様も変な想像をしないでください」

 

 熾天使が俺の服を掴んで女神様から引き離す。

 襟首を掴まれてぷらーんと持ち上げられると、そのまま熾天使は俺の耳元に口を寄せて小声で教えてくれた。

 

「いいか、親が子の翼に触れるのは、親愛の証。子が親の翼に触れるのは、愛情を求めての行動だ」

 

「他人の翼に触れるのは?」

「信頼の証。お前に命を預けるという意味になる。本当に仲が良ければ、順番で毛づくろいもするぞ」

 

 なるほどなるほど……。

 翼一つと言っても、色んな意味が有るらしい。天使の生態は謎が深い。

 

「じゃあ、二人同時に触れ合うのは?」

「……求愛行動だ」

「え?!?」

 

「性交渉前の……前戯……でもある」

「ええっ!!?」

 

 なんで!? 突然えっちじゃん!!

 

 女神様の方をバっと振り向いた。

 彼女は隠れるように顔を両手で覆っていた。指の隙間から見える部分はもう真っ赤っ赤(まっかっか)

 

「……私の翼に触れていいよっていう言語表現は?」

「一般的に、それが他人相手なら"今夜はOK"というサイン――」

 

「やめて! 違いますっ! 私はそう意味で言ったんじゃなくてっ! 私はザラキエルの母親だからっ、触っても良いよっていう普通の意味であって――!」

 

 女神様がうつ伏せになって、何か言いだした。

 でも俺はそれどころじゃない。もっと熾天使に詳しく聞き出したい。

 

「寝るときに羽で相手を包む行為の意味は?」

「危険な就寝時に子を守ろうとする親の行動として、極稀に見られることだ」

 

「それが他人相手なら?」

「……誘惑、だな。早く私に手を出してと誘っているな」

 

「止めてってばー!! 違うってばー!!」

 

 うーむ……不思議な生態だ。天使の夜事情。

 性欲を切り捨ててるくせに、妙に一杯あるなセックスアピール。

 

 ふと思い出す。そう言えば俺は昨日、女神様と羽の大きさを比べあったぞ……? 羽の触り合いが前戯なら、あれは一体どういう意味になるんだ?

 

 その時は女神様も無邪気に「ザラキエルの羽は小さいね~」って言って笑っていたから、深い意味はないと思うのだが。

 ついでとばかりに熾天使に聞いてみた。

 

「なっ!? え、ぁ!? め……女神様……? 貴方はザラキエルとなにを……」

 

 熾天使は信じられないようなものを見る様な眼で女神様を見下ろした。

 女神様は、その反応で何となく察したのだろう。俺も察した。

 

「し……知りません! 私は何も知りません! 羽の大きさを比べる事に、一体どんな意味が有るっていうんですか!? だってみんな、私にそう言うことを教えてくれないから!! これでも私は自分でがんばって調べたんですよ!」

 

 女神様が声を震わせながら、布団に潜り込んでいった。

 慰める様にぽんぽんと叩いてみる。小さく震えるだけだった。

 

 熾天使と俺との間で沈黙が流れる。さて……じゃあ……。

 

「前戯が羽の触り合い。なら、本番は?」

 

「この状況でまだ聞くか!? わ、私が何でも答えると思うなよっ!? い、いや……後で女神様に聞かれても困るが……仕方ない……」

 

 さすがに無骨な熾天使も、うら若い女性だ。この質問には口をつぐんだ。

 女神様はもはや布団の中で耳を抑えているのか無反応で出てこない。

 

 ……仕方ないじゃないか! 

 俺だってこんなこと人に聞きたいわけじゃないが、俺は天使の生態を殆ど知らないんだぞ!?

 

 気付かずに女神様とそういう事をしてたらと思うと、ヤバいじゃないか! 今聞かなきゃ、今後も絶対誤魔化すだろう二人とも!

 

 熾天使は「こんなの親の仕事じゃないか……なんで私が……」とか、凄いイヤそうな顔をしながらも教えてくれた。

 なんかそういうプレイっぽかったけど、どうせなら女神様から聞きたかったな。

 

 

 そう言う訳で、俺は熾天使さんに本番のやり方を教えて貰った、のだが……。

 

 どうやら天使にとっての性交渉とは「魔力の交換」を指すらしい。

 まず互いに向き合って羽を触り合い、気分が高まったら、互いの光輪を触れて魔力を送り込む。それで終わり。

 

 あぁん?

 ……なんつー性行為だ。天使の感覚が異次元過ぎて、全然興奮しねぇ……。

 

 股間はどうした股間は! お前の胸は何のためについてんだ!?

 

 天使という種族が元々、神気から生まれる故だろう。肉体ではなく天使が持つ力そのものが、その天使自身と認識されている。

 だから魔力を相手の光輪に送り込むのは、相手の中で溶け合って一つになるイヤらしい行為……らしいけど……よく分かんないよ!? 天使の性的嗜好がなんか怖い!

 

 

 …………いや、ちょっと待てよ。

 

 それなら俺かなり、ヤっちゃってるぞ?

 

 

 具体的には図書館でエノク語の本を読む際に、やっちゃった。

 だってあの本が、無理やり魔力を送り込んでくるんだもん。

 

 読書中に、なんか光輪がぴかぴか光ってるなぁとは思ってた。

 だんだん魔力を感じられるようになってからは、著者の魔力だか神気だかが送り込まれてるなぁって分かってたけど……。

 

 あれはそう言う意味だったんですか!!!?

 一体全体どういう本なんですか、エノク語の本! 特に神の日記帳! お前だよ!

 

『天使の光輪に神力を送り込むのは楽しいえ~。みんな泣き叫んで、嫌がるえ~』

 

 という頻繁にみられた謎の表記。

 

 あれを読んでいた時は意味不明すぎて、だからなんだと思ってたけど……なるほど。そう言う意味だったのか。

 むしろ俺に神力めっちゃくれるじゃん。ありがてーって受け取ってたよ。

 

「ひぇ~……」

 

 やべぇ。やべぇよ、俺、淫乱だったよ……。ごめんね女神様。俺、本に犯されて穢されちゃってた。

 

 いや……全然その自覚無いし、天使には妊娠も無いからクソどうでもいいわ。貰った莫大な神力は今も俺の力になっているから、むしろもっと寄越せとも思う。

 

 ただ問題は、俺の経験人数が100じゃきかなくなったこと。

 ……多い? 多いかな? いいや。まあ、まあ……スタンダード。

 

 

 というか、ここまで感性が違うと人間の性的アピールも全く別の解釈が有りそうで怖い。

 俺が女神様にアピールしても、それが別のナニカと間違われる可能性は低くない。今の内に熾天使に聞いておく。

 

「ちなみにキスは? 互いの口と口とをくっ付ける行動」

「なんだそれは。給餌か? 自力で神力を食べられない未熟児の子に対して、親がする時があるな」

 

 ……それは鳥だろ!

 

 意味分かんないよ天使の生態! 手があるんだから、手を使え!

 もう全く意味分かんないよぅー!!

 

「ちなみに人間の感性では、それが求愛行動になるらしいぞ。意味不明だがな……気をつけろ」

 

 やかましいっ、知ってるわ!! 俺が一番詳しいわ!

 

 

 

 

 

 

「……よし。良いですよザラキエル楽にして」

「ふぅ……緊張した」

 

「た、ただ翼を診察しただけですよ! 深い意味はありませんからね!」

「知ってる。けど、緊張はする」

 

 女神様の膝の上に背を向けるように乗って、触りやすいように羽を差し出す。その状態で10分も動くなというのだから、ドキドキくらいするだろう。

 

 しかも女神様もさっきの会話で意識しちゃったようで。俺の羽を触診しながら、ちょいちょいと自分の羽を俺の方に寄せるのだ。

 まるで俺に触れと言わんばかりに、視界の端で女神様の羽がちょろちょろ動いてる。……何よコレ、誘ってんの? じゃあ俺と"前戯"……する?

 

 いや、これも俺の心の鍛錬か!

 煩悩に支配されないか、確認してるのか! 負けないぞっ!!

 

「いいですね。汚れ一つない位、真っ白ピカピカ綺麗です。怪我の回復も良好。普通の戦いには耐えられそうですねっ!」

 

 ぽんっと、心地よい強さで女神様が俺の背中を軽くたたいて太鼓判を押してくれた。

 

「光輪も耐久性が戻りつつあるみたいです。これなら……良しとしましょう」

「それではサーヴィトリー様。これ以降は、私が引き継ぐであります」

 

「はい……じゃあザラキエル。がんばるんですよ……決して無理しないで、欲に呑まれないで、仕事が終わったら必ずまた帰ってきてくださいね」

「???」

 

 女神様の膝の上から持ち上げられて、熾天使の腕に手渡される俺。完全に子ども扱いだな。まあ……いいけどね。

 

 

 俺は昨晩、自覚した。

 おれ、幼女。

 

 まじで何も知らないくせに、プライドだけが一丁前に高かったクソガキだ。

 愛想は悪く、人を信用しない。それでいて他人からの愛を求めていたのだから救えない。

 あんなだったから親戚中をたらい回しにされてしまったのだろう。でも、今は違う……と思う。

 

 俺はもう変わりたい。

 

 人を信じるという意味を知った。優しさの本質に魅せられた。

 もっともっと女神様の愛がほしい。彼女の役に立ちたい。だから俺は、がんばるんだ。女神様の求める以上に、もっともっと働くんだ。

 

「仕事に、復帰していいの?」

「はい。でも、まだ療養期間です。まずは熾天使さんに付いて、ゆっくりやるんですよ?」

「うん……がんばるっ! 私、今度は天使らしく、マジメにがんばるね……!」

 

 元社畜を舐めるなよ。それも、ただの社畜じゃねぇぞ。ド級の社畜。ド社畜だ!

 やろうと思えば10連勤からの、半日休み、追撃の20連勤だってできるんだ。盆も正月も知らねぇ! GWなんて幻だったんだ!

 

「女神様は私が悪魔を殺すと喜んでくれる? どうすれば貴方は一番嬉しいの?」

 

 でも顧客のニーズも大切に!

 顧客が本当に必要だったものを間違わない様に、女神様の口から直接指示を貰う。

 

 天使の使命は悪魔を殺すことだって知っているが、それも図書館知識だから油断しない。

 ……俺、あそこ嫌いかもしれん。クソの肥溜めだったし。俺のことレイプ(笑)するし。

 

「うれしい、よ。……うん。私は、ザラキエルが悪魔を殺してくれたら、嬉しいな……」

「分かった!」

 

 何故か女神様は、その顔を隠す様に俺を抱きしめて言った。

 ふむふむ、天使が悪魔を殺すのは正しい行動、間違ってない、と。俺は心のメモ帳に記載する。

 

 どんな情報よりも女神様が言ったことが正解なのだ。

 黒を白と言えば、それはもはや白なのだ。

 

「でも! 私は、ザラキエルが怪我しない方が大切だからね!? 絶対、無理しなくていいんだからね!?」

「……ぅ」

 

「な、なんでちょっとイヤそうな顔するの!?」

「……分かった! 今度はもうしない!」

 

 たまに休みが欲しくなったら、わざと負傷していたのに気付かれた……っ?

 それとも女神様からの「怪我して休んでないで、もっと働けよ」アピールか!?

 

 うぅぅううぅ……。女神様のために沢山働きたい。

 

 社畜に戻る覚悟は決めたが、でもたまには休みたい。

 怪我して休暇が貰えれば、また女神様と一緒に人間界に行けるかもしれない。一緒に遊べるかもしれない。

 

 一体俺はどうすれば……難しいな……。ぬぬぬぬ!

 なんて悩んでいたら、熾天使に頭を叩かれた。

 

 ……痛い。女神様と違って、普通に痛いんだが??

 

「何か馬鹿な事考えてるな? サーヴィトリー様は、お前の身を心配してるだけだ。それ以外に他意はない」

「そう? ……なんで私が変なこと思ってるって、気付いたの?」

 

「これでも堕天した奴をごまんと見てきた。羽が黒くなるだけが、堕天の兆候じゃないんだ。説明は難しいが……私はもう欲望が増大する"臭い"が感覚で分かるようになってしまったよ」

「……??」

 

 なんか分からんが、そういう事らしい。

 翼が黒くなる程じゃないが、俺はまた休暇のことを考えて欲望を増大させていたのだろう。気を付けよう。

 

 でもこれで、俺の役目がわかった。

 

 俺は全力で悪魔を皆殺しにする。天界的価値観で女神様よろこぶ。

 俺は自分の身を守って怪我しない。天使にも優しい女神様よろこぶ。

 それでも怪我しちゃったら、お休み貰う。俺よろこぶ。

 

 ……すごい!! 双方良し!

 なんという完璧な方針だ! これでいこう! そうしよう!

 

 そうなった。

 

 

 

 

 

 

 こうして熾天使に連れられて仕事復帰する。その前に。

 俺は準備のために一度自宅へ帰ってきたのだが……そういえば、クロの存在を忘れてた。あいつ、そういえば悪魔だったわ。

 

「このこの、こいつーっ! さてはボクの家を奪いに来たんだなー!? ふしゃー!」

「ぐぉっ、止めろ! このクソ猫が……っ! ちょこまかとっ!」

 

 なんか熾天使と猫がケンカし始めた。

 

 飛び跳ねて熾天使の手を躱すクロは時折、熾天使の顔に引っ掻かき傷を残しながら逃げ回る。

 それに対して、ドタドタと鈍くさい動きで追いかける熾天使さん。

 

 争いは、同じレベルの者同士でしか発生しな――いや、何でもない。

 普通に俺が悪りぃわ。熾天使さん、悪クナイ。でも猫くらいさっさと掴まえて欲しい。

 

「主ー! 何やってるんだよ、さっさとコイツを追い出せよ! 役目でしょ!」

「おい! どういうことだ! "主"とはなんだザラキエル! コイツはお前の何なんだ!?」

 

 さて……これは一体どうしよう。

 

 なんかもう、面倒くさい予感しかしない。

 

 




もう書き溜め、完全0です。
1文字も無いです。次回更新遅れます。
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