トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
首都高。
『
『B地点も問題ありません!』
『C地点も大丈夫です!』
『撮影班も準備OKです!』
「よし、では始める……いいか、勝負は一回限りだと思え……!」
利根澤はインカムで各処に連絡を取り合う。
「では始めてもらえ……!」
利根澤はとある地点で待機する部下に指示を出した。
「…………」
中継車のモニターに映る、赤いライトが灯る暗いトンネルを利根澤は部下達とともに見守る。そして奥から向かってくるウマ娘の前、横、後ろからの映像を食い入るように見る。
『エンジンの違い、見せてあげるわ…! コレが私の…フルスロットルよぉっ!!』
そう言いながら一台も通っていない首都高をスーパーカーのようにマルゼンスキーが滑らかに疾走した。
「どうだ!? ちゃんと撮れているか……!?」
様々な角度から撮られたマルゼンスキーの映像の有無を担当する部下に確認する。
「……は、はい! 大丈夫です! 利根澤先生……!!」
緊張のあまりカラカラだった喉をにじみ出た唾液で潤した部下が、安堵と達成感が混じった声で報告する。
「よし……!」
今すぐにでも落ち着きたい気持ちを抑えて利根澤は指示を飛ばす。
「よし、各班に伝達……! すぐさま撤収作業にかかれ……!」
部下達に指示を出すと、利根澤は急いで撮影を終えたマルゼンスキーの元に向かう。
「いやぁ、マルゼンスキーさん。無事に撮影は終わりました。本当にお疲れ様でした……」
「あ、いえ。あたしのワガママで
「あ、大丈夫ですよ。お疲れでしょうから……」
給水しタオルで汗をぬぐいながら立ち上がろうするマルゼンスキーを利根澤は手で制する。
とある日。マルゼンスキーが『首都高で走っている自分を撮ってみたいな……なんちゃって!』と呟いていた所をお忍びで街を歩いていた皇恋グループのトップ、
『利根澤に伝えよ。すぐにマルゼンスキーちゃんが首都高を爆走できるように抑え、かつその美しくカッコいい姿を完璧にかつ最大限にカメラに収めよ……』
と命令を下した。
首都高を止めての撮影ということに「ば、バカな……!?」と驚愕した利根澤だったが、神である馬数寄の命令に逆らうという選択肢は最初からなく利根澤は部下達にマルゼンスキーの日程の確認や撮影機器の確保などの指示を出しつつ、首都高を管理している関係各所に許可の申請と四方八方を走り回った。その結果、後にこうしてマルゼンスキーの固有演出に使われることになる撮影を成功させた。
「よし! 皆、よくやってくれた! 今日はとことん飲んでくれ……!!」
撮影が終わった夜。利根澤は撮影に尽力した部下を引き連れて行きつけの高級居酒屋で労をねぎらった。
その頃。寝間着に着替えた馬数寄は一通の手紙を読んでいた。
『ネオユニヴァースからの発信。…読んでくれると嬉しい。ネオユニヴァース、宇宙…観測したい。『お願い』を聞いてくれると嬉しい』
「……」
馬数寄は手紙を丁寧に折り畳むと鈴を鳴らして黒服を呼び寄せる。
「おい……、今すぐ利根澤を呼べ……! 今度は『ネオユニヴァースちゃんのためにともに宇宙に行け』……とな!」