トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
ゲームセンター
「……うぅむ!」
クレーンゲーム機の前に立つダイワスカーレットはクレーンとその下にある人形を凝視していた。
(もうちょっと右? それとも左? ……あともう少し奥にクレーンを動かさないと取れないかしら?)
この位置で下降した場合、アームは人形を掴むのか? 掴んだとしても途中で落下しないか? どこでアームを降ろせば人形を完璧につかむことが出来るか脳内で何度もシミュレーションし、「ここよ!」とダイワスカーレットは降下ボタンを押した。
下降するアームは見事人形をがっしりと掴み、人形は取り出し口へと落ちた。
「やったわ!」
笑顔の巨大ダイワスカーレット人形に抱き着きながら喜ぶ。
「さぁ、一緒に帰りましょう!」
人形に語りかけ寮に戻ろうとクレーンゲーム機に背を向けるダイワスカーレット。しかし彼女の足は止まる。
「……なんかモヤモヤするわね」
ダイワスカーレットは想像する。部屋のベッドに置かれた巨大ダイワスカーレット人形。それだけでも絵になるが何か足りない感じを覚えた。
「……」
この人形の横に何かがあればこのモヤモヤは解消する気がする。
そう考えたダイワスカーレットは背を向けていたクレーンゲーム機と再び対峙する。
その後ダイワスカーレットは数千円と門限ギリギリの時間をかけて、とある人形を手に入れた。
数時間後 ダイワスカーレットの自室。
「何なんだよ、これ!?」
同室のウオッカが声を上げる。ウオッカの視線の先にはベッドの壁際に
「何でお前の人形の隣に俺の人形があるんだよ!?」
「はぁ!?
「はぁ!? なんだよ、それ!?」
「何よ!?」
ぐぬぬ! と二人がいがみ合う。
「大体他にも人形はあっただろ!? なんで俺の人形なんだよ!?」
「だ・か・ら! 偶然アンタの人形が取れただけって言ってるでしょ!!」
再びぐぬぬ! といがみ合う二人。騒ぎを聞きつけた寮長のフジキセキがどこか嬉しそうな笑みを浮かべながらため息をついた。
「本当に二人は仲がいいんだな」
そう呟くフジキセキに二人は反論した。
「いいえ! 仲良くありません!! こんなガサツと……って何ですって!?」
「いいや! 仲がいいなんてありえねぇです!! こんな猫かぶりと……って何だと!?」
フジキセキの前で二人はまたもいがみ合った。
『本当に仲がいいわね』
『喧嘩するほど仲がいい、てな』
そんなダイワスカーレットとウオッカを、二人の人形が楽しそうに見ていた。