トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
事の発端は同室のアグネスタキオンの一言だった。
「デジタル君。君は論語の『
……そこで、だ。その深い知識と愛を持ってつぶさにウマ娘を見てきた観察力、芝とダートの異なるバ場で結果を残す経験を存分に発揮して多くの悩める
その言葉にアグネスデジタルはブンブンと手と顔を横に振る。
「!? いえいえ、私のような者がウマ娘ちゃんの歩むべき道を指し示すなんて、とてもとても!?」
「ふ~ん。ほほぉ~」
その答えにアグネスタキオンは挑発するような笑みを浮かべた。
「なるほど。君は『推しのウマ娘が助けられるかもしれないけど、何もせず苦しんでいる姿を見るのが私の本懐』だと言うのかな?」
その言葉にアグネスデジタルは
「そんなことがあるわけないじゃないですか!! そりゃあウマ娘ちゃんが泣いているところも絵になりますけど、私が一番見たいのは信念や目標のためにウマ娘ちゃんが努力して輝いている姿なのです!!」
と否定する形で『アグネスデジタル お悩み解決室』を開設した。
とあるウマ娘Aからの相談。
《初めまして、デジタル先生。……えっと、何から話せばいいのかわからないので単刀直入に聞きます。
どうやったら強くなることが出来るのでしょうか?
すごく抽象的な質問で申し訳ないのですが、お答えいただけると嬉しいです!!》
「うわぁ! 『強くなりたい! でもどうやったら強くなるかわからない!?』という質問ウマ娘ちゃんの悩みとその辛い状況でも強くなりたいという願い……とても尊いですっ……ハッ、いけません!!」
意識が飛びそうになる自分の頬を叩く。
「そうですね……」
腕を組んで少し考えた後、アグネスデジタルはキーボードを叩いて返信する。
《アグネスデジタルです。Aさんの『強くなりたい、でもどうすればいいかわからない』という気持ち、痛いほどわかります。なのでAさんには論語のこの言葉を紹介します。
これを好む者はこれを楽しむ者に
これは楽しむ気持ちを持てば集中できてあっという間に上達するという意味です。嫌々練習に取り組むよりも『この練習をしたら理想の自分に近づける』など練習した自分がどう変わっていくか想像しながら練習に取り組めば次第に強くなれます。
ワンダーアキュートさんの
『継続こそ力なり。地道に歩んで行こうねぇ』
という言葉もセットで覚えておくとより強さに一歩近づいていけると思います。
Aさんの心の闇を照らす一助になれば幸いです》
「と、送信!」
アグネスデジタルが返信して数分後。
「あ、Aさんからだ!」
すぐの返信に喜びと『もしかして逆効果だったのかな……』という不安とともに返信を見る。
《デジタル先生、返信ありがとうございます。
楽しむ気持ち……確かに忘れてました。私は走るのが好きで『もっと速く走りたい! 風を切る感触を!』と理想の自分を思い描いてトレセン学園に来たのに周りのレベルの高さに劣等感を持ってしまい、『自分なんて……』と思うようになっていました。でもデジタル先生のおかげであの時の自分の気持ちを思い出すことができました。
まずは理想の自分になるため練習を楽しむ、そしてそれを継続する。デジタル先生の教え、確かに私の心に届きました。
デジタル先生の教えがちゃんと届いたことを次のレースで証明してみせますので、ぜひ見に来てください!!》
「うひゃほぉぉぉ!?」
ウマ娘からの返信にアグネスデジタルは紅潮する頬を抑える。
「わ、わ、わ……私の言葉が……一人のウマ娘ちゃんを救うとは……感激! 喝采! 大歓喜!!」
そんなクネクネしながら喜ぶアグネスデジタルを
「私はとんでもないことをしてしまったかな?」
と部屋に戻ったアグネスタキオンが呆れながら呟いた。
こうしてアグネスタキオンのお悩み相談室は反響が反響を呼び、アグネスデジタルが尊死しすぎて学業やレースに支障が出たため数日で閉鎖されるのであった。