トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜   作:筆先文十郎

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書いた感想、馬数寄って実はいいやつ?


馬数寄、野心を語る

「お前らはなぜ金を稼がねばならぬと思う?」

 

 皇恋(こうれん)グループ本社ビル最上階にある馬数寄(うますき)孝和(たかかず)のプライベートルーム『王の間』で、黒革の高級ソファーに腰かけた馬数寄はキャビアを乗せたクラッカーを頬張ると、自分の前に立つ部下達に尋ねた。

 馬数寄が尋ねた真意がわからず、何を言えばいいのかと部下達は目で会話する。その様子に馬数寄は「ククク……何でもよい。とりあえず言ってみろ」と(うなが)す。

「で、では恐れながら……贅沢(ぜいたく)をするため……とか?」

「贅沢……ククク、贅沢か……」

 馬数寄は嬉しそうに膝を叩く。

「贅沢……確かにそうだ。だがそれでは不合格……。一億円でも百億円でも……贅に限りはない……」

「で、でしたら……生きるため、でしょうか?」

「なるほどのぉ。じゃが生きるためなら文無しでも生きられる。それは貨幣社会が成立する前の生活が証明しておる……」

「では。守るため……というのはどうでしょうか?」

 端正な顔立ちに形良く整えた長髪の男が臆せず答える。男の言葉に馬数寄は「ま、合格でいいじゃろう」とグラスの酒に口をつける。

「そう。金があれば食い物が買える。それは即ち自分の生命を守ることが出来る。病院に行って治療や薬をもらって病を排除することも、生き抜く知恵や情報を買うことも……はたまた自衛のための兵隊、武器、防具を買うことも……ククク、世の中全て金次第とはよく言ったものだ!」

「…………」

 馬数寄の言葉に納得したように沈黙を貫く部下に馬数寄は続ける。

「今の日本は政治家が作った法律やら規則やらに縛られ、生殺与奪の権利を握られておる。政治家(やつら)がおかしな方向に舵を切ったり判断を誤ったりすれば……国内(なか)から腐り自滅の道やら外国(そと)から日本が攻められ占領……かつてのアフリカやアジアのように列強に搾取され自由も尊厳も失われた家畜のような未来。そういうのも……容易に想像できる」

「…………」

 聞き入る部下に、馬数寄はワインで喉を(うるお)す。

「ではどうすれば守れる? 我が命……そして大切なものを? ……そう、作るしかあるまい。シェルターを。不都合な未来を排除し、永遠(とわ)に続く幸福な暮らしを享受できる様に……この日本(くに)改造(なお)していくしかあるまい! ……我が皇恋グループに忠誠を誓う者、ワシが特別に認めた者。……そしてウマ娘ちゃんとウマ娘ちゃんを支える労働力(ちから)を確保するために!」

 馬数寄は空になったグラスを持ち、酒を注がせる。

「だから稼ぐのじゃ。ワシとワシの王国に尽力する者、そしてウマ娘ちゃんの生活を保障した世界を作るために……日本(うち)()くう害虫どもを駆除し、外国(そと)から来る害悪から守るために。軍備を! ……教育を! ……政治を! ……裏から……金を使って……!」

「…………」

 何も言えずただ黙っている部下を(さかな)に、馬数寄は持っていたグラスの酒を飲み干した。

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