トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜   作:筆先文十郎

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マーベラスサンデー誕生日回……用に作っていたものです(;^_^A


中間管理職トネザワ~マーベラス~(マーベラスサンデー?登場)

 利根澤(とねざわ)班監修 利根澤(とねざわ)幸雄(ゆきお)口癖ランキング

 1位 悪魔的発想

 2位 面白い

 同率3位 素晴らしい、秀逸、Good(グッド)

 

 皇恋(こうれん)グループ本社ビル第三会議室。

 この日。利根澤|幸雄は部下達と共に皇恋グループの会長、馬数奇(うますき)孝和(たかかず)を喜ばすための企画を考えていた。

「利根澤先生、豪華客船タカイザー号にてサウンズオブアースさんに演奏をして頂くというのは……?」

「ククク……面白い……!!」

「利根澤先生! 先ほどの案にプラスしてゴールドシチーさんやノースフライトさんのファッションショーをしてもらうというのは……?」

「なるほど、悪魔的発想……!!」

「で、ではその後招待したウマ娘とともに伝説の料理人、葛原(くずはら)のディナーの料理を食べていただくというのは……?」

「素晴らしい案だ……!」

 その後、利根澤に褒めてもらおうと餌を求める(ひな)のようにアイディアを出し続ける部下達に利根澤は「秀逸……!」、「凡人には思いつかないGood(グッド)な意見……!」と褒めちぎる。

 そうして意見をまとめ、まとめた案をどのようにすれば具現化するかが話し合われ、部下達に指示を出して一服していた時だった。

「!」

 利根澤はワンコールも終わらない内に反射的にスマートフォンを取り出す。

「利根澤です……!」

『利根澤か、ちとワシの部屋に来い……』

 そう言うと電話の主、馬数寄孝和は電話を切った。

「……な、何か嫌な予感が……!」

 

 行くな! 行くな! 行くな! ……

 

 心の中で危険を察知した自分が利根澤に訴えかける。しかし皇恋グループで働く者にとって馬数寄の言葉は絶対である。

「行くしかないか……」

 利根澤は重いため息をつくと会長室へと足を向けた。

 数分後。皇恋グループ本社ビル最上階会長室。

「利根澤です。失礼します」

 利根澤が入室すると、そこには背を向けて空を見る馬数奇の姿があった。

「利根澤……」

 背を向けたまま馬数寄は言った。

 

「今日の天気、実にマーベラスだと思わぬか……?」

 

「え……?」

 馬数奇の『マーベラス』という言葉に絶句する利根澤は「やはり面倒なことを考えておられるな……」と悟った。

「利根澤。今日お前を呼び出したのは他でもない……」

(き、来た……!)

 振り返る馬数寄に、利根澤は心の中で覚悟を決めたのを悟られないように「はっ!」と返す。

「おい……」

 控えていた黒服に指示を出す。黒服は手にした物を利根澤に手渡す。

(何だ、これは……?)

 手渡された物を見る。そこには時計の胴体に、しいたけのような瞳と八重歯。濃い栃栗毛のロングヘアーを馬の鞍がモチーフと思われる大きな髪留めでツインテールにまとめ、右耳には大きな赤いリボンをつけたウマ娘型の置き時計だった。

(これは確か……)

 ウマ娘の名前を思い浮かべる前に馬数寄が説明する。

「どうじゃ、かわいいじゃろ? マーベラスサンデーちゃんをモデルにした目覚まし時計は……?」

「……は、おっしゃる通りです……!」

 なんでマーベラスサンデーの目覚まし時計!? と言いかけた言葉を飲み込み、利根澤は相槌を打つ。

「そうじゃろ、そうじゃろ……!」

 うんうんと嬉しそうに頷きながら馬数寄が続ける。

「それはマーベラスサンデーちゃんと同室のナイスネイチャちゃんの『部屋にさ、いい目覚ましがあんの。『マーベラス!』って言って起きるウマ娘なんだけど』という言葉から発想を得て開発させたものじゃ。どうじゃ、素晴らしいであろう……?」

「ハッ! (わたくし)どもでは想像すら出来ない素晴らしい発想かと……!」

 そんな悪魔のような発想、誰も思いつかんわ! という本心を隠し、利根澤は頭を下げる。

「で、利根澤。お前にはテスターをやってもらいたい……」

 利根澤が何かを言う前に馬数寄はマーベラスサンデーを模した目覚まし時計を利根澤に手渡す。

「……え? ……え? ……え?」

 訳もわからず同じことを繰り返す利根澤に、馬数寄は怪訝(けげん)な表情をする。

「まさか利根澤。お前は本心ではこのマーベラスサンデーちゃんの目覚まし時計を実はくだらない(悪魔のような)発想によって作られた産物だと心の中でバカにしている、ということはあるまいな……?」

 

「ッ!? ……滅相もございません!!」

 

 真実を言い当てられ動揺するも、利根澤は首をブンブンと横に振る。

「会長は以前おっしゃられたじゃないですか!? 私が『ワシの部下でお前が一番ウマ娘ちゃんを愛しておる!』と! その私が最推しのトキノミノルではないとはいえここまで本物と見間違うほど精巧(せいこう)に作られた目覚まし時計を受け取って喜ばないと疑いになられるのですか!!」

「そ、それはすまなかった……」

 最後は強く非難するように訴える利根澤に、馬数寄は一歩下がって謝罪の言葉を口にする。

「で、では早速この目覚まし時計を使ってみたいと思いますので、失礼します……」

 た、助かった! という心の声を悟られないように従順な部下を演じながら、利根澤は部屋を後にした。

 

 数時間後。利根澤幸雄のマンション。

「さて、目覚まし時計はセットしたし。寝るとするか……」

 寝間着に着替えた利根澤はマーベラスサンデーを模した目覚まし時計をベッドの脇に置いている机の上に置いて寝床に入る。そして。

 

『マーベラース!! マーベラース!! マーベラース!! …………』

 

 利根澤が入眠に入ろうとした直前、目覚まし時計がジリリリリリリッッッ!! というけたたましい音とともに騒ぎ出す。

「な、なんだ……!?」

 起こされた利根澤は慌てて目覚まし時計のアラーム音の停止ボタンを押して時間を見る。

「……なんだ、まだ1時じゃないか……!」

 セットした時間は5時30分。目覚まし時計が鳴る時間からはほど遠かった。

「誤作動か? それとも間違えてセットしてしまったか……?」

 利根澤はアラームの時間が5時30分にセットされていることを確認すると再び寝床に入る。そして。

 

『マーベラース!! マーベラース!! マーベラース!! …………』

 

「ッ!?」

 再び入眠しかけた直前で目覚まし時計が鳴り響く。たまらず停止ボタンを押すと時間を見る。1時10分。目覚まし時計が鳴る時間ではなかった。

「く、どうなっている……!?」

 目覚まし時計を投げ捨てたい衝動に駆られた利根澤だったが、マーベラスサンデーを模した目覚まし時計に何かあれば馬数寄が黙っていないことを思い出してグッと堪える。

 その後も入眠するか否かの境目で目覚まし時計が鳴り響くというのを数回した後、利根澤は何とか入眠することが出来た。しかし夢の中でも

『マーベラース!! マーベラース!! マーベラース!! …………』という音声が利根澤を苦しめた。

 

 翌日。皇恋グループ本社ビル第三会議室で昨日行われた会議の具体的な案に「こういう風に進めていこうと考えていますが……」と意見を言う部下達に、利根澤が全て「マーベラス! ……」と返答する姿が確認された。

 

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