トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜   作:筆先文十郎

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この話は『某企業は映画泥棒を許さない!』で捕まった盗撮犯の後日談的なものです。
『某企業は映画泥棒を許さない!』
https://syosetu.org/?mode=write_novel_submit_submit_edit&nid=333943&volume=117


映画泥棒の強制労働施設脱獄

「クソッ……!」

 皇恋(こうれん)グループが秘密裏に行っている強制労働施設の農場で男は他の債務者とともに畑を耕していた。

 数日前。男は劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』を見るためにとある映画館に足を運び、他の観客にバレないようにスマートフォンで隠し撮りをしていた。その後監視していた皇恋の社員によって強制労働施設の一つである農場に連行され今に至る。

 昼休憩のチャイムが鳴り、他の作業者が昼食を取るため食堂へと足を向ける。

「……」

 周囲に誰もいないことを確認すると男は農場を見渡す。

(……にんじんを始めとする数々の野菜が栽培されているこの農場は周囲を外への逃亡を阻止する忍び返し付きの金網フェンスとで囲まれている。そしてフェンスの向こう側には幅数メートルはある水堀。そしてアリが通るのも見逃さない等間隔に設置された監視カメラ……普通に考えてここから逃げるのは不可能だ……)

「どうにかして脱出できないものか……」

「やめておけ……」

 周囲に誰もいないと思い込んでいたことからポツリと漏らした言葉を聞かれていたことにギクリとした男は声のした方へバッ! と振り返る。

「お、小槻(おつき)班長……!」

 そこには自身が所属するE班の班長、小槻(おつき)馬太郎(うまたろう)が立っていた。

「あ。あの……班長…………」

 ごまかすための言い訳を考えようとするとするもなにも思いつかない男に、小槻は周囲に誰もいないことを確認すると男に笑顔を見せる。

「ワシは聞いておらん……」

 そう言うと小槻は真っ正面を向く。

「ここからはワシの独り言だ。……昔、そう。二十年前のことだ。この農場はウマ娘が食す野菜を供給するために作られ、それから中央トレセン学園を中心に数多くの野菜や米などを供給している。

 しかし今と違って作られてすぐの頃は、担当した黒服や債務者に農業に詳しいものが少なかったということもありなかなかいい野菜ができなくてね。形が悪いなんてことはよくあったものだよ。まあそれだけなら良かったんだが…………」

 大月はそこで言葉を区切る。これから話すことがこの話の肝だということを強調つけるために。

「…………」

 男はゴクリと溜まった唾液を飲み込み小槻の言葉を黙って聞く。

「ある日金網のフェンスが破れていて、そこから侵入した害獣によって野菜が食われたことがあってね。運悪く、この施設を視察していた馬数奇(うますき)会長に知られてしまったんだ。

 その時に会長が害獣の侵入を許した上に野菜を守れなかった債務者及び黒服に制裁を加えようとした。しかし『それではますますウマ娘への供給が(とどこお)り、ウマ娘の喜ぶ顔が減ることになります……!』と側近達が必死になって食い止めた。そしてこのようなことが二度と起こらないように農場周辺に様々な仕掛け(・・・・・・)を行うことで一件落着となった……」

「ま、まさか……!?」

 男の脳裏にあり得ないことがよぎる。そのあり得ないことを小槻は呟く。

「様々な仕掛け……地雷やブービートラップなどが設置された。つまりここは外部からの害獣の侵入を許さないのと同時に内部からの脱出を拒む鉄壁の要塞となった! 実際過去に金網のフェンスを乗り越え、堀を抜け出すしようとする者をいたが、その者は外に設置された数多くの地雷によって……と、これ以上は話さない方がいいな……」

「…………ッ!?」

 小槻の言葉に男は凍りつく。そんな男に対して小槻は農場に設置された時計を見る。

「おっと、もうこんな時間か。独り言が長すぎた。それじゃあワシはこれで失礼するとするよ……」

 そう言うと小槻は食堂へと足を向けた。

「……あ、あぁ…………」

 スマートフォンを没収されたことで外部への連絡手段は途絶え、脱出しようにも農場の外に出れば死は免れないという状況に男は絶望し、その場に崩れ落ちた。

 

 

 

「ククク……。希望を失ったあいつが他の債務者(クズ)どもと同じように絶望や苦しみから逃れようとワシが用意したウマ娘グッズの沼にハマるのは時間の問題だな……!」

 先ほどの優しそうな表情から一変、カモがひっかかったと邪悪な笑みを浮かべ、小槻は男から「マニカを徴収できる……!」と小躍りしたい気持ちを抑えて食堂の扉をくぐった。

 

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