トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
ホープフルステークス。
次の世代の主役候補を見つける試金石でウマ娘の将来性を測るレースとして重視されているレースである。
その舞台に新人ウマ娘、サイジョウクレインは立っていた。
(き、緊張するなぁ……さすがはG1)
ゲートに入る彼女はカラカラになった口内に無理やり唾液を作ってゴクリと飲む。
乾いた口に無理やり唾を作り、ゴクリと飲み込む。
新バ戦からここまで何度もレースを走ってきた。
ファンの歓声、怒号、泣き声、推しの勝利に沸く熱狂──それらはすべて経験してきたつもりだった。
だが、今日のホープフルステークスは違った。
観客が全裸だった。
全員が頭頂部がつるりと輝く中年男性。丸めた新聞を握りしめ、ウマ娘たちが奏でるレースと言う音楽を今か今かと待ちわびている。
(やっぱり何もかもが全然違う……これがG1……これがホープフルステークス……)
始めてのG1。観客が全員、頭髪がない全裸の中年男性。
今まで経験したことのない状況にクレインは身体を震わせる。
(いけない! レースに集中しないと!)
ゲートが開いた瞬間、中年男性たちの声援が爆発した。
「行けぇぇぇぇッ!!」
「差せぇぇぇぇッ!!」
「新聞紙が破れるまで叩くぞぉぉ!!」
その熱気は、クレインが知るどのG1とも違っていた。
いや、そもそも競バ場の熱気と呼んでいいのかすら怪しい。
(す、すごい……! これが……本物のG1……! 観客の熱量が……桁違い……!)
得意の逃げで後続のウマ娘を離しつつゴールギリギリまで体力を温存するペースで走り続ける。
チラッと後ろを見る。2位のウマ娘が距離を縮めつつあるものの充分1位を確保できる距離。
(よし、このままいけば!)
心の隅で起きようとしていた油断を消して、ゴールを目指すクレイン。その時観客の声が高まった。
(え?)
クレインは言葉を失った。
カバのような顔をした真っ白なウマ娘がすぐ真横につけていたからだ。
(なに、この子……ってえぇ!?)
空想上の四足歩行の生物を無理やり人間にしたようなウマ娘の容姿と、今まで対戦したことのない謎のウマ娘の末脚にクレインは驚愕する。
謎のウマ娘に負けまいと残された力をフル活動させるクレインだったがみるみるうちに離され、結果はまさかの30バ身差だった。
『ホープフルステークスを制したのは、ミドリマキバオー!』
(え、そんなウマ娘いたっけ?)
実況の声に、ゼィゼィと肩で息をするクレインは酸欠で頭がまともに働かない頭でそんなことを考えていた。
そして、彼女はまだ知らなかった。
このレースが、TVアニメ『みどりのマキバオー』30周年とゲーム『ウマ娘プリティダービー』5周年を記念して作者が観客席だけでなく、出走者の一部まで
最後の30バ身差は有り得ないだろ!?と思われるかもしれませんが、TVアニメ『みどりのマキバオー』30周年ということで大目に見て下さい。
TVアニメ『みどりのマキバオー』30周年とゲーム『ウマ娘プリティダービー』5周年おめでとうございます!