トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
→シンボリルドルフ
→オグリキャップ
『ウマ娘LoveLove会』会長
→ハルウララ
→???
「……有馬記念で逃げるカツラギエースちゃんにワシの最推しシンボリルドルフちゃんがじわじわと肉薄して直線で最後交わしてゴールインした姿は……まさに圧巻の一言じゃった……!」
「……そうですね。そしてあのレースのミスターシービーはバ群の中で動けなくなってしまい……3位と良い結果につながりませんでしたね……」
(……ほぉ、何とかワシが必死に覚えた内容の話題で良かった。特に会長の一押しのシンボリルドルフを抑えていたのは間違いではなかったな……)
しかし安心したのは束の間だった。
「そうそう、話は変わるがオールカマーで──」
(あ、確かそのレースではイクノディクタスや春の天皇賞でメジロマックイーンに勝ったライスシャワーがレースに出ていたはず。ということは!)
利根澤の脳裏に青いバラに帽子、短剣を携えたウマ娘が浮かんだ。
「たしかそのレースはライスシャワーが勝ったんですよね?」
その瞬間だった。
「あ!?」
先ほどまで楽しそうに眉を下げていた馬数寄の眉毛が一気に吊り上がる。
「そのレースで勝ったのはライスシャワーちゃんではなくツインターボちゃんじゃぞ? 残り200メートルに差し掛かろうとしているのに後続とは10バ身差。最後は5バ身差をつけて『見事に決めたぞ! 逃亡者ツインターボ!!』と名言が実況から発せられるほどの……!」
(し、しまった……!!)
利根澤は墓穴を掘ったことに気づき弁明しようと思考をフル回転させる。だが
「まさかだと思うが……利根澤。お前……」
その前に馬数寄の追及が利根澤を追い詰めた。
「実はウマ娘ちゃんに興味がなく、ワシと話を合わせるために嫌々ウマ娘ちゃんの情報を仕入れて適当に誤魔化そうとした、ということはあるまいな……?」
「ッ!? ……滅相もございません!!」
真実を言い当てられ動揺するも、利根澤は首をブンブンと横に振る。
「も、申し訳ございません。今のは別のレースだと勘違いしておりました! 会長には足元にも及びませんが、私もウマ娘を心から応援しております!!」
「では言ってみろ」
「え?」
「お前の、最推しのウマ娘ちゃんを……!」
その言葉に利根澤は固まった。
(まずい! ……まずすぎる! ……ここでもし適当にウマ娘の名前を言えば会長はそのウマ娘の話題を振ってくる。そうなれば広く浅くしか仕入れていないワシの付け焼き刃の知識では対応できるはずもなく会長に看破されて……ッ!!)
激怒した馬数寄を想像し、利根澤は恐怖でその先のことを考えるのを停止させる。しかし馬数寄の追及は止まらない。
「……で。誰が好きなんじゃ、利根澤?」
「……わ、私の好きなウマ娘は……」
(どうする……どうするワシ……!?)
切羽詰まった利根澤は叫ぶように言った。
「と、トキノミノル……!」
「なぬ!?」
その言葉に馬数寄が目をぱちくりとさせる。
「トキノミノルじゃと……?」
トキノミノル。その言葉を聞いた瞬間、馬数寄はおののき利根澤から距離を取る。
「え、会長……?」
突然距離を取られたことに呆然とする利根澤をよそに、馬数寄は「これを見ろ!」と懐から常に持ち歩いているウマ娘名鑑を黒服達に見せる。次の瞬間
『ひ、ひぃっ……!?』
トキノミノルが紹介されたページを見た黒服達は動揺。馬数寄と同じようにぞぞぞぞ……と利根澤から距離を取るように後ずさる。
「え……」
トキノミノルのページには、何が書かれているのですか? と尋ねる前に
「止まれ!」
馬数寄が制止させる。
「……利根澤。疑ってすまなかった。……ワシの部下でお前が一番ウマ娘ちゃんを愛しておる! ……ほら、お前らも祝わんか!」
馬数寄の言葉に黒服達は利根澤に「Congratulation」と言いながら拍手を送る。
その光景に利根澤は思った。
(……あの会長が謝るほどのウマ娘、トキノミノル。どんなウマ娘なんだ……!?)
中央トレセン学園。
「……くしゅん! ……あれ、風邪でもひいたかな?」
喉や鼻を確認した