トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
自分が知らないだけで実は前生徒会長はいたら削除するかもしれません。
それでも良ければ読んで頂けると幸いです。
生徒会長室。
シンボリルドルフは椅子に腰掛け、アルバムを一つ一つ眺めていた。会長に就任した時の写真、初勝利をした時の写真、中央トレセン学園に入学した時の写真。どれもシンボリルドルフにとって忘れられない思い出を残した写真だ。そして次に目に入った写真を懐かしく、悲しそうな目で眺める。それは今よりも小さい自分が緊張と喜びが入り混じった表情で、誰にも寄せ付けない覇気と真っ赤な髪が特徴的なウマ娘と並んで写った写真だった。
「ロートハーゼ先輩……」
真面目な表情でかつての自分と写るウマ娘を呟く。
ロートハーゼ。
シンボリルドルフの前の生徒会長で、ウマ娘最強は誰かという話題が上がれば否が応でも名前の上がるウマ娘。
芝・ダートに問わず短距離・マイル・中距離・長距離全てを得意とし、全てのレースに勝利した常勝無敗のウマ娘で、数々のレースに勝利したシンボリルドルフでも現役時代の彼女には勝てないと思うほどの実力者だった。
彼女との出会いはとあるレースの事だった。
ロートハーゼが走るレースを、父親に連れられてシンボリルドルフは偶然見た。
レース終盤。誰もが先頭を走るウマ娘が勝利すると信じて疑わなかった場面で、溜めていたパワーとスピードを爆発させて前を走っていたウマ娘たちを一気に抜き去り、最後は影すら踏ませない圧倒的なバ身差で勝利した彼女の姿を。
レース後の会見。勝ったにも関わらず喜ぶ仕草を一切しないロートハーゼに多くの者が「何を偉そうに……」、「勝って当たり前てか……」、「いい気になって……」と陰口をこぼす。
「……」
そういった声が聞こえているにも関わらずロートハーゼは堂々としていた。
圧倒的な実力で勝利し、他者から何を言われても何一つ動じる事なく立派に立つロートハーゼにシンボリルドルフは深い感動を覚えた。
気づけば観客や記者を押しのけてロートハーゼの前に飛び出していた。
「ろ……ロートハーゼさん!」
「……」
目の前に突然現れ、見上げるシンボリルドルフを何の感情を抱かず見るロートハーゼ。そんなロートハーゼにシンボリルドルフは言った。
「わ、私……シンボリルドルフって言います! ロートハーゼさんみたいなウマ娘になって……貴女を超えていきます! …………あ、違」
興奮したあまりとんでもない事を口走ったと慌てて口を抑えるシンボリルドルフ。そんなシンボリルドルフに
「……そうか」
ロートハーゼは目の前で見上げるシンボリルドルフにしかわからないほど小さく……笑った。
そう言ってシンボリルドルフの頭を撫で、一緒に写真を撮るとロートハーゼはその場を後にした。
「ルドルフ……お前ってやつは!」
「…………!」
勝手な事をしたシンボリルドルフを叱る父親だったが、喜びで頭が支配されたシンボリルドルフには何も入ってこなかった。
(よし、私は絶対に強くなる。そしてロートハーゼさんと同じレースに立って……勝つんだ!)
憧れのロートハーゼに勝つ。
その想いと共にシンボリルドルフは自らを鍛え、苦難を乗り越え、選ばれた者が集う中央トレセン学園に入学。ロートハーゼに続く無敗記録を築いていった。
やっとロートハーゼさんと同じレースに立つ資格のある場所まで来れた。後はここで更に自分を磨き、同じレースに立って、勝利するだけ!
かつての誓いを果たすべく新たな決意を示したシンボリルドルフ。しかしその誓いは果たされることはなかった。
ロートハーゼが信号無視で交差点に進入した暴走車から恐怖で動けなくなったウマ娘をかばい、命を落としたことで。
強すぎるが故に陰口が後を絶たなかったがそれでも堂々とする歩き続けたロートハーゼ。強く、そして実は自らを犠牲にしても弱者を守った優しさを持ち合わせていた生徒会長に多くの者がその死を惜しんだ。
かつての誓いが果たせなくなったことに消失感を覚えたシンボリルドルフだったが、その後
ロートハーゼさんに負けない、皇帝と言われるようなウマ娘になろう!
と亡きロートハーゼに向けて新たな誓いを立てた。その後数々の勝利とともに人格・人望を認められて、ロートハーゼ亡き後空席になっていた生徒会長に就任。以後生徒会長として多くの者の導く立場となった。
「生徒会長になって長くなるが……今でもロートハーゼさんに敵う気がしないな。……あれ?」
シンボリルドルフはふと気づく。
「私がロートハーゼさんに初めてお会いした時、ロートハーゼさんは生徒会長だった。そして私が入学した時も生徒会長。……ロートハーゼさんは何年生徒会長をしているのだろう?」
シンボリルドルフは何年生徒会長をしているのだろう、という疑問から思いついたネタです笑
ある方からレッドラビットという競走馬は実際にいるということでドイツ語で赤い(rot)兎(hase)でロートハーゼに変更しました。
ちなみにもうご存知とは思いますが、ロートハーゼ(旧レッドラビット)の由来は三国志でも名馬中の名馬、赤兎馬です。