トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜   作:筆先文十郎

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「ウマ娘 プリティーダービー」の二次創作のガイドラインを筆先文十郎がある一部分を要約

ウマ娘は実際の競走馬を元に馬主さんや多くの方のご協力があって成立しているので暴力的・グロテスクなもの、または性的描写(・・・・)を含むものなどは出さないでくださいね。



とある男がウマ娘のR18を投稿しようとしたそうです(R18ではないです)

 加辺野(かべの)茂部男(もぶお)

 名は(たい)を表すという言葉通り、とある大学に通う俺という存在は誰の人生にも記憶に残らないものだった。

 容姿も美形とは程遠く、勉強も運動もまるで駄目。いじめなどの標的にならないように目立たず、自分より弱い存在を見つけてはホッとするクソのような人生だった。

 そんな自分からは何もせず、安全という名の檻に閉じこもった結果。とんでもない失敗はないが何かを得たという経験もない、何のために生まれてきたのかわからない……誰かの人生のモブの一人という人生だった。

 そんな俺が唯一そんな無力感から解き放たれる場所、それは小説だった。

 きっかけはとある小説に魅了され、『こんな小説のようなものを書きたい!』と思って書いた小説を投稿した事だった。

 素人丸出しの小説など誰も見てくれるはずがなく、投稿して数か月。俺は投稿したことすら忘れていた。

 ある日、投稿したことを思い出した俺は何の考えもなく小説サイトのマイページを開いた。そして書いた小説に感想がついたことに気づく。

 開いてみると『内容は稚拙で誤字脱字も多い。はっきり言わせていただくと、設定を見直して国語力を身に着けてから投稿するべきと考えます』という辛口のものだった。

 普通の人なら落ち込み、もしかしたら『二度と小説なんて書くものか!』と書くことを止めてしまうかもしれない。だがこの時の俺は違った。

 

 こんな俺を、モブや背景みたいな俺を、注目して(見て)くれる人がいるんだ。

 

 と。

 主人公になりたいという思いを持ちながら苦難や責任を受ける度胸もなく、誰かの添え物か数合わせのような……いてもいなくてもどうでもいい人生。そんな俺に見も知らずの赤の他人がわざわざ時間を割いてくれた。自分に注目してくれた。

 それが何よりも嬉しかった。

 その事がきっかけで俺は小説を投稿するようになった。投稿しても感想はおろか評価やお気に入り、しおりもつかないことはあったが、それでも投稿していく内に感想などもつくようになった。

 その感想も辛らつなものから『こういうところがいい』、『続き楽しみに待ってます!』など評価するものも少しずつ出るようになった。

 俺は嬉しかった。

 

 もっと感想が欲しい! 

 

 次第にそういう気持ちが強くなった。だがそれが地獄の始まりだとは、その時の俺は知らなかった。

 感想が欲しいと思った俺はオリジナルから二次創作へと小説を方向性を変える。

 その作品がどういうものなのかという土台もあってか、今までの小説よりも感想は多く寄せられた。その中には『原作とあまりにも違いすぎる』、『世界観を壊しているのではないか?』という否定的なものもあったが、赤の他人が自分に注目してくれているというだけで俺の心は満たされた。

 

 もっとだ! もっと俺に注目しろ!! 

 

 その時俺の頭に天啓(てんけい)、今となっては愚かな考えた浮かんだ。

 

 そうだ、今多くの人間に注目されているウマ娘の二次創作を書こう! しかもウマ娘(あいつら)()だ。エロいものにすれば多くの人間が食いつくに違いない!! 

 

俺はウマ娘のキャラクターを一人一人調べていき、見つける。俺の琴線に触れるキャラを。

「マチカネタンホイザ……ゆるふわでかわいい容姿といい、自身を『普通』と言いながら『勝たなくちゃ、なんの意味もない』と根底に熱いものを持っている。誰かの背景の一部でありながらこの状態を変えたいと思う俺に似ている。

「そうだ。このマチカネタンホイザをヒロインにしたエロ小説を書いてやる!」

 そう考えた俺はインターネットからエロ小説を読みあさり、本屋から「これは!」と思うエロ漫画やエロ小説を買った。それらを参考にしながら少しずつ、男の欲情を(あお)る小説を書き上げていった。

「……クククッ。いい……素晴らしい作品だ!」

 自身が書き上げた小説に俺は恍惚とした笑みを浮かべた。何度もプレビューを見返し誤字脱字がないか、自分の想像した通りの情景を読者に伝えることが出来るかを確認。

「よし、投稿するぞ!」

 今後寄せられるだろう感想に心躍らせながら『小説投稿』のボタンを押そうとした。その時だった。

 

『拝啓前略ボンジュ~ル♪』

「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!??」

 

 俺は椅子から転げ落ちる。小説投稿サイトの画面から突然、眼鏡をかけた太やかな男のドアップに切り替わったからだ。

「……お、おおお。……お、お前は誰だ!?」

 腰を抜かしたまま俺は謎の男に向かって叫ぶ。

『おやおや、これは失礼。私は君と同じ大学に通う大学生で、ウマ娘をこよなく愛するサークル、『ウマ娘LoveLove会』の会長を務める者だ。君がつい先ほど投稿しようとした小説、読ませてもらったよ。……いやぁ、素晴らしい。実に素晴らしいものだ』

 謎の男は賞賛の言葉を述べながら笑う。しかしその瞳は背筋が凍るほど冷たく、それでいて敵にしてはならない相手を敵にした怒気を孕んでいた。歯をガチガチと鳴らす俺に男は口を開く。

『だがウマ娘の名誉、そして彼女たちのためには君の小説は世界に出すわけにはいかないのだよ。……君が自分の中だけに留めておかなかったのは実に惜しいよ!』

「ひぃっ、うぐっ!? …………──―」

 張り付いたような笑みが外れ、憤怒を仮面に切り替わった男に失禁した俺は気がついていなかった。自分しかいないはずの部屋に誰かが侵入したことを。そして気づいた時には何者かが口に何かの液体がしみ込んだ布を押し当て、すぐに全身に力が入らなくなって地面に倒れていた。

 

 その後俺は拉致した『ウマ娘LoveLove会』に強制的に入会。爆音と共に交差点に進入した暴走車に()かれたのにも関わらずすぐさま立ち上がり、運転手をボコボコにした女を筆頭とした万夫不当の会員達に『健全な肉体に健全な魂が宿る。肉体を鍛えろ! そして健全な魂を宿しウマ娘を応援するのだ!』と徹底的にしごかれた。

 そして

 

「ウマ娘の幸せこそが俺の生きる道!」

 

 とウマ娘への熱い情熱を(たずさ)え、得意な文才と存在感がないことを逆手にとって敵の背後や急所を脅かす『(おぼろ)の加辺野』としてウマ娘を応援するのだった。

 




『ウマ娘LoveLove会』
他人のパソコンにハッキングした上に拉致したり、会員の一人が車に轢かれて平気だったり……何者なんだ?
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