トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
メジロパーマーファンは読まない方がいいかも?
メジロドーベルたち中央トレセン学園に在学していた学生が卒業し、それぞれの道を歩みだした世界で。
メジロドーベルの自室。
「……何、これッ!?」
月刊『サイゲームス』を読んでいた漫画家、メジロドーベルは耐え難い
「もう、
メジロドーベルは雑誌を机に置くと外出するためクローゼットに向かった。
一時間後。
月刊サイゲームスの出版社の会議室にメジロドーベルは担当であるメジロパーマーを問い詰めていた。
「ひどいじゃない、パーマー! 見たわよ、今月号の私のマンガ!!」
「え、ひどいって……ストーリーが?」
「がはッ!?」
思いもよらない返答にメジロドーベルは大きくのけぞる。
「違うわよ、誤植よ誤植! セリフの文字が間違えているのよ!」
「えぇ、本当に? どこどこ何ページ目?」
メジロパーマーはメジロドーベルが持ってきた月刊サイゲームスを開く。
「ほら、そこの『拳闘士ライアン』の主人公のライアンが四天王の一人、ゴールドシップに挑む前の会話で『アイツだけは……許さない!』って最高にカッコいいセリフが……」
『パンツだけは許さない!』
メジロドーベルが指をさすコマではキリッとした顔で上記のセリフを言うメジロライアンの姿があった。
「ひどいわよ、コレ!」
「あ、本当だ……やっちゃった!」
メジロパーマーは自らの失敗をごまかすようにてへっ! と舌を出す。
「いや、『やっちゃった』じゃないから! これじゃあいきなりライアンがノーパン主義に目覚めたみたいじゃないの!」
「ハハハハハ」
「『ハハハハハ』!? なんで上機嫌なのよ! ご誤植はそこだけじゃないのよ!」
「え~、本当? どこどこ」
「ライアンが暗い過去を語って『私の憎しみは消えないんだ!』って決意を新たにする超シブいシーンで……」
『私の肉染みは消えないんだ!』
「あ……本当だ。漢字間違っている」
「肉染みって何なのよ!? これじゃあライアンの着ている服が体液でビチャビチャになってるみたいじゃないのよ! ひどいわよ、もう!」
「……やっちゃった」
「いや、だから『やっちゃった』じゃないからね、ちょっと!」
「ハハハハハ。肉染みって何? 脂汗? ハハハハハ」
「『ハハハハハ』じゃないのよ。何でそんなに上機嫌なのよ!?」
「いやぁ、最近彼氏が出来てさぁ! これこれ!」
そう言ってメジロパーマーはスマートフォンで画像を見せる。そこにはダイタクヘリオスを男にしたような男と腕を組むメジロパーマーが映っていた。
「あぁ、それは良かったわね……じゃないのよ! まだ誤植があるんだから!」
「えぇ、どこどこ?」
「ほら、ここの四天王ゴールドシップが『お前がライアンか?』って言う超緊迫した場面で……」
『お前がアセアンか?』
「あ……本当だ……」
問題のコマを見てポカーンとするメジロパーマーに、メジロドーベルは汗を飛ばしながら言う。
「いや、『お前がアセアンか?』って何で東南アジア諸国連合(
「…………」
「また『やっちゃった』とか言わないでよ!」
「やっちゃったうぇい!」
「いや『やっちゃったうぇい!』ってちょっとカッコよく言ってる場合じゃないのよ! まだ誤植はあるんだから!」
「え~どこ? 彼氏いない歴0年の私がどんな間違いを?」
後頭部を掻いてにやけるメジロパーマーを殴りたい衝動を抑えながら、メジロドーベルは次のコマを指し示す。
「次のコマのここ! ライアンが『私がライアンだ!』って言う超クールな場面で……」
『私がタクアンだ!』
「なんで主人公がいきなり漬け物宣言しているのよ!」
「確かにねぇ! ハハハハハ、やっちゃったうぇい!」
「いやだから『やっちゃったうぇい!』じゃないから! 気に入ったの、その言い方」
「気に入ったから取られたら嫌なんだうぇい!」
「取らないわよ、そんなしゃべり方! それよりもまだ誤植はあるのよ!」
「えぇ、まだあるの? どの辺なんだうぇい!」
「そんなムリに言わなくてもいいわよ……最後のページでライアンが『私の新しい技を見せてやる!』って言う超ドキドキのシーンよ!」
「どれどれ……」
「私の新しい
「あ、本当だ……やっちゃったうぇい」
「何なのよ、新しい痣って……これじゃあライアンが負傷しまくりの弱いやつに見えるじゃない!」
「ごめん、ドーベル。彼氏のことで頭がいっぱいでつい、うっかり……」
「しかももっとひどい誤植が最後のコマ! ライアンが拳にパワーを溜めて『ウオオオオオオォォォォォォッッッ!!!!』って敵に突っ込むシーンよ!」
「え~、そんなセリフ。さすがに間違いないよ……」
「間違ってるのよ!」
『爆逃げ!』
「何が『爆逃げ!』よ!? もう意味わかんないし! それにこのコマについているアオリ文句は何なのよ!?」
『彼氏ができました!』
「もうストーリーと全く関係ないじゃない!!」
「やっちゃったうぇい」
「『やっちゃったうぇい』じゃないわよね!? これもう自慢したくてつい言っちゃっただけでしょう!」
「言っちゃったうぇい」
「だから『言っちゃったうぇい』じゃ……ああ、なんかもう……やってられないんだうぇい!!」
そう言ってメジロドーベルは月刊サイゲームスを窓に向けて投げ飛ばした。
「ごめんねだうぇい」