トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
「今日
『え?』
部下達の言葉がシンクロする。
「……お言葉ながら利根澤先生。その新CMを作る件って利根澤先生が会長に進言して実行されるものなのですか? ……なぜそのようなことを?」
部下達を代表し利根澤のすぐ近くに座っていた黒服、
こうなることはすでに予想していたのだろう。『アストンマーチャンのトレーナーに脅されて会長にアストンマーチャンを新CMに起用しましょう』と脅されたことを
「……ウマ娘大好きで些細なミスでも烈火のように怒る会長にウマ娘を起用したCMを勧めるのは危険……。無防備でサバンナの草原に立つくらいの暴挙、愚行、バカげた行為……。だが会長から逃げてばかりでは会長の感心は得られん。会長の怒りを恐れて何もしなければ他の者に今ある立場を奪われ、失脚……! そうならないためにも危険を生じて挑まなければならない時がある。今がその時なのだ……!」
『ッ!?』
利根澤の言葉に全員が覚悟を決める。
「よし、全員が趣旨を理解したところで会議を進める……! 会長が愉悦するアイディアを……!」
数時間後。
会議で上がったいくつかの案からこれは! と思うものを資料にして、利根澤は皇恋グループのドン、
「……この、バカ者が!!」
丸めた資料を投げつけられ、「え!?」と混乱する利根澤に馬数寄は続ける。
「利根澤。お前は
「うっ……!」
的を射た馬数寄の言葉に利根澤は押し黙る。
「だから受けているのだ……犬がお父さんをやっとるだけのくだらんCMが……!」
「……ッ!? し、失礼しました、もう一度部下達と話し合いますのでご時間を……!」
それは言っては……と言いかけたのをグッと堪え、利根澤は会長室を後にした。
一時間後。
部下達を再招集した利根澤はアストンマーチャンの可愛さを前面に出しつつ、皇恋に借金をする人間をターゲットにした幸福感を得られそうなCM案を馬数寄に提出。「ククク、見事……アストンマーチャンちゃんの魅力を伝えつつ、
某家庭。
「そういえば朝の放送であの暴利で債務者から金を巻き上げ、払えなければウマ娘のための食料を生産するための強制労働施設にぶち込むという噂のある皇恋グループが新しくCMを出すって言っていたな」
男は酒とつまみをテーブルに置くとチャンネルを取る。
「あ、これみたいだな」
『あ、トレーナーさん。この犬かわいいですよ!』
ペットショップにアストンマーチャンとアストンマーチャンのトレーナー(以下マートレ)が訪れていた。
『ねぇ、かわいいでしょう! この犬飼いましょうよ!』
真っ白なチワワのいるショーウインドーの前に立ち、チワワを指さすアストンマーチャン。その犬の値段を見てマートレは首を横に振る。
『だめだめ、ボーナスまで待ちなさ……』
見上げるチワワに、マートレは思わず妄想する。
『わんわん! わんわん!』
『ハハハ、待ってください!』
砂浜で元気よく走るチワワを楽しそうに追いかけるアストンマーチャン。そんなチワワを抱きかかえてキスをするアストンマーチャンを。
どうする? 皇恋~♪
チワワを見つめたまま動かなくなったトレーナーの顔の前で「トレーナーさん? トレーナーさ~ん?」と手を振って意識を確認するアストンマーチャンでCMは終わった。
「……」
テレビの電源を切った男はふと呟いた。
「これ、アイ〇ル?」
おまけ
「新CM、じつにいいですね。僕はレオタードを着てアストンマーチャンが躍るという案もよかったと思いますが、やはり砂浜でチワワとたわむれるアストンマーチャンの方が彼女の清楚さが際立って……どうしたんですか、武田さん?」
新CMを絶賛する班の最年少、