トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
熱狂的なファンというわけではありませんが、それでも自分の人生に多大な影響を与えた漫画家の死にショックを隠すことが出来ません。
そんな特別ファンでもない人間でも大きな影響を与えた偉大な人に敬意と感謝を込めて今回の小説を書きました。
鳥山明先生のご冥福をお祈りいたします。
(ジェンティルドンナのファンは未読推奨?)
中央トレセン学園。
「……はぁ」
ジェンティルドンナはため息をついていた。
「どうした、ジェンティルドンナ? ため息なんてついて」
「あら、トレーナー」
自身のトレーナー(以下ジェントレ)に声をかけられ、ジェンティルドンナは振り返る。
「……いえ、最近筋力トレーニングに力を入れているでしょう? でもいいトレーニングがなくて……なんか、こう、内なるパワーを最大限に解放できるトレーニングはないものかしら?」
「……う、内なるパワーを、最大限に……ねぇ」
砲丸投げに使用されるような鉄球をチョコボールサイズにまで圧縮させたり、小ゾウほどの重さがある鉄球の箱を軽々持ち運ぶジェンティルドンナの光景を思い出し、ジェントレは苦笑いを浮かべる。
「……う~ん。トレーナーとして言わせてもらうなら……ジェンティルドンナは一度トレーニングから離れてみてはどうかと思うんだ」
「トレーニングから離れる?」
ジェントレの意味が分からずジェンティルドンナは聞き返す。その言葉にはかすかな怒気が含まれていた。それを察してトレーナーは首を左右に振ってから続ける。
「……あ、トレーニングをサボるっていう意味じゃないんだ。筋トレと同じだ。筋トレも休息もなしにずっと負荷をかけ続けていたら筋組織が肥大化せず、逆に痛めるとか悪影響を場合もある」
「……」
ジェンティルドンナは静かに頷きトレーナーの話を聞く。
「だからトレーニングじゃなくて別の事をしてリラックスしてみるのもありだと思うんだ。一度トレーニングから離れて別のことをすることで客観的に自分を見つめなおすことが出来て、新たな発見が見つかる場合もある」
「なるほど、トレーナーの言う事は理解したわ。それでその『別の事をしてリラックス』するのはいいけど具体的に何をすればいいの?」
その言葉にジェントレは笑う。そう言われるのを待っていたかのように。
「そんなジェンティルドンナにおススメするリラックス方法は、これだ!」
ジェントレは持っていた紙袋から何かを取り出す。
「……えっと、マンガ?」
戸惑うジェンティルドンナにジェントレは「おうっ!」と力強く答える。
「昨日実家に帰って物置を整理していたら出てきたんだ! 面白いからぜひジェンティルドンナにも読んで欲しくってさ!」
「…………」
「……もしかして。マンガ……嫌いだった?」
何でマンガ? と疑問に思うジェンティルドンナの反応に、ジェントレは不安げに尋ねる。その様子にジェンティルドンナは可愛いと思う反面、自分のために行動してくれたのに拒否する気まずさを覚えた。
「……ごめんなさい。打開策がマンガと思わなくて面を食らっただけ。私のトレーナーが勧めてくれたものですもの。ぜひ読ませていただくわ」
「本当か!?」
その言葉にぱぁ~! と明るくなるジェントレ。その反応に子どもを見る母親のような感情を覚えながら、ジェンティルドンナは漫画が大量に入った紙袋を受け取った。
翌日。
「どうだった、ジェンティルドンナ?」
中庭でジェンティルドンナを見かけたジェントレはうずうずした様子で声をかける。
「『どうだった』って、何のことかしら?」
「じぇ、ジェンティルドンナ……」
途端に悲しそうな顔をするジェントレにジェンティルドンナは小さく笑う。
「ふふ、冗談よ。マンガの感想でしょう? もの凄く面白かったわ。まるで自分が強くなったような感覚を覚えて……この感情を説明するにはここでの立ち話では説明しきるのはムリなくらい!」
漫画を読んだ時の高揚を思い出したのか、若干頬を赤くするジェンティルドンナに「やっぱり!」とジェントレは喜ぶ。その時だった。
ピロリーン! ピロリーン! 緊急速報です…………
二人の持つスマートフォンからけたたましい音声が流れる。二人だけではない。周囲のスマートフォンからも同様の音声が流れる。
地球に巨大隕石が飛来。すぐに安全な場所に避難してください。繰り返します。現在…………
「巨大隕石!? どういうことだ!?」
更なる情報を得るためジェントレは『巨大隕石 飛来』と検索する。そこには地球に向かって巨大隕石が近づいて来る情報があった。そして巨大隕石が衝突すると思われる推定場所は……中央トレセン学園だった。
「う、嘘! 早く逃げないと!?」、「で、でも……どこに逃げればいいの!?」、「助けて! お母さん!!」
巨大隕石が中央トレセン学園に落ちてくる。その情報に周囲。否、トレセン学園全体がパニックを起こす。
すぐに理事長の
「ジェンティルドンナ! 今すぐここから離れるんだ! ……ジェンティルドンナ?」
ジェンティルドンナの手を引っ張って中央トレセン学園から離れようとしたジェントレは、ジェンティルドンナの様子を見て止まる。
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
ジェンティルドンナは震えていた。恐怖ではない。近寄ることも出来ない程の怒りで……小刻みに震えていた。
「許せない……たかが大きな石ころが……私の大切な場所を、仲間を……」
ジェンティルドンナの怒りに呼応するように大地が砕け、穏やかだった水面も台風の海面のように激しく揺れ、木々が強風にあおられたように葉っぱが散っていく。
「たかが石ころが……私の、私の大切な場所を……仲間を……奪うなあああぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!」
ジェンティルドンナが空気が爆発したかのような
「!!??」
金髪になったジェンティルドンナにジェントレは目を大きく見開く。その姿は昨日ジェンティルドンナに貸した漫画のキャラクターに酷似していたからだ。
「……!」
ジェンティルドンナは裸眼でも視認できるようになった巨大隕石を見つめるとしっかりと大きく脚を開き、腰を落とす。そして
「か……」
「……ん?」
そのポーズにジェントレは「もしや……」と疑問を口を漏らす。
「め……」
ジェンティルドンナは両掌をそのままに、腰の辺りまでゆっくりと持っていく。
「は……」
ジェンティルドンナの両掌からエネルギーのようなものが集まり始める。
「め……」
両掌に集まっていたエネルギーが巨大な塊となっていく。そして
「波アアアアアアァァァァァァッッッッッッ!!!!」
腰に構えていた両掌をジェンティルドンナが前方に突き出すと、両掌に溜まっていたエネルギーは大砲のように巨大隕石に向かって打ち出された。
目にも止まらぬ速さで打ち出された巨大なエネルギーの塊は巨大隕石に衝突。その瞬間、巨大隕石は跡形もなく粉々に砕け散った。
「ふう……、トレーナーが貸してくれたマンガが役に立ってよかったわ」
金髪からいつもの茶色の髪に戻ったジェンティルドンナを見て、ジェントレは思わず呟いた。
「
鳥山明先生、多くの感動を下さり‥‥‥本当にありがとうございました。