トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
怪獣オグリ
オグリキャップがゴジラの着ぐるみのようなものを着た姿の怪獣。
『ウマ娘 シンデレラグレイ』4巻のおまけページが初登場。
怪獣オグリ。
文献によると一番最初に現れたのは平安時代。50メートルを優に超える巨体で多くの食料を求めて都に出現。都を守るために多数の武士が攻勢を仕掛けたものの全く歯が立たず多くの食料を献上することで事なきを得た。
再び現れたのは江戸時代で、現在の岐阜ウマ娘カサマツトレーニングセンター学園がある岐阜県羽島郡笠松町に出現。この時も多数の武士が刀や弓矢だけでなく火縄銃や大砲を用いて撃退しようとしたが効果はなく、逆に怒りで大暴れする結果となった。
その後笠松を始めとする周囲の地域が怪獣オグリに大量の食糧を献上。満足した怪獣オグリはどこかへ消えていったが、その献上した食料や迎撃の費用、復興費は多くの者を苦しめた。
そのため怪獣オグリは台風や地震と同じように人々から天災と恐れられるようになった。
そして月日は流れ……。
東京都府中市。
がおー!
中央トレセン学園がある府中市で肉食恐竜の着ぐるみを来たオグリキャップのような巨大な生物、怪獣オグリがビルなどを我が物顔で破壊していた。
ぶおおおぉぉぉっっっー!
辺り一面の
もぐもぐ……もぐもぐ……ぺっ! ……もぐもぐもぐもぐ……ごくんっ!
車や瓦礫などを吐き出し、食料だけを口に留めると味わいながら
その後、軽くゲップをすると再び食料を求めて食料がありそうな場所に歩を進めて破壊活動を繰り返す。
海上で迎撃しようとした海上自衛隊の艦艇のほとんどは怪獣オグリによって破壊。すぐさま陸上自衛隊と航空自衛隊が陸空両方から迎撃を行うが、怪獣オグリは意に介さずそのまま上陸。目についた戦車や装甲車をその巨体で踏みつぶし、オグリキャップの菱模様の髪飾りに似た額からビームを乱射。多数の航空機が撃墜されることとなった。
自衛隊でも敵わない伝説の災害獣、怪獣オグリへの恐怖で住民は我先にと逃げ出す。その流れに逆らうように怪獣オグリに近づく人影があった。
「ハァ、ハァ……怪獣オグリ。まさか本当に実在したなんて……」
父親が長い歴史のある風水の専門家で、その関係で歴史学に詳しい専門家とも交流があるコパノリッキーは怪獣オグリの言い伝えを聞いたことがあった。しかし出現したのが最近でも数百年前ということもあり、誰もが噂に尾びれや脚色がついた伝承だと信じて疑わなかった。歴史学者から何度も怪獣オグリの話を聞いていたコパノリッキーですら怪獣オグリをこの目で見るまで「本当にそんな巨大な怪獣がいるのか?」と半信半疑だった。
しかしこうして目の前にいる以上、それを疑うも目を背けることも出来ない。そして自身の生命維持活動のためとはいえ、多くの被害を出している災害獣を退けられるかもしれない力を持つ自分が何もせず逃げることも。
コパノリッキーは再び吸引しようと大きく息を吐く怪獣オグリを見据えて印を結び
「覇アアアァァァァァァッッッ!!」
空を覆う暗雲を全て吹き飛ばほどの水龍の形をした巨大なエネルギーを怪獣オグリに向けて放つ。
水龍は瓦礫を吐き出しモグモグと美味しそうに口の中に残った食べ物を食べる怪獣オグリに直撃。辺りに巨体の怪獣オグリが見えなくなるほどの土煙が立ち昇る。
「やった!?」
無防備状態での直撃にコパノリッキーは何らかのダメージを与えたものと確信する。しかし
「う、嘘……」
コパノリッキーは呆然とする。そこに立っていたのは直撃したことに気がついていないかのように黙々と食事をする怪獣オグリの姿があった。
「ハァ、ハァ……り、リッキーちゃん!」
人混みから逆流するように走ったコパノリッキーに追いついたスマートファルコンが息を整えコパノリッキーに近づく。
「リッキーちゃん、何を考えているの!? ここは危険だよ、早く離れよう!!」
「……ありがとう、ファル子さん。でも逃げるわけにはいかないの。ここであの怪獣オグリを野放しにしたら……多くの人が悲しむことになっちゃう!」
「リッキーちゃん!」
真正面に立ったスマートファルコンは両肩を握り涙を流しながら訴える。
「リッキーちゃんの気持ちはわかるよ! でも自衛隊の皆さんでも敵わない怪獣にどうやって立ち向かうの!? 実際リッキーちゃんの攻撃は通用しなかった! 私はリッキーちゃんを失いたくないの!! だから……」
「……わかった」
悔しそうに唇を噛みしめながらコパノリッキーは頷く。
「でも一つだけ試させて。そしてファル子さんにお願いがあるの」
「え、お願いって?」
「ファル子さんが私の誕生日の日にやってくれたアレをやって! 皆に呼びかけて!」
「えええぇぇぇっっっ!?」
スマートファルコンは身体をビクッと震わせ大きく目を開かせる。
「あ、アレ……って」
コパノリッキーの言葉にスマートファルコンは思い出す。
『おっきなハート、あなたに届け~♪ キラキラ、きゅる~~~ん!!』
と冗談でコパノリッキーに言った時のことを。
「ファル子さんの持つ火の氣は悪い氣を跳ね返していい運気を呼んでくれる強い力があるって前に話したことがあるよね? 今からファル子さんに呼びかけに応じてくれた人からエネルギーをもらえるようにするから、そのもらったエネルギーをファル子さんの火の氣に変えて私に送るようにする。だから、私に騙されたと思って……お願い!!」
両手を合わせるコパノリッキーに戸惑い悩んだスマートファルコンだったが必死の懇願に折れた。
スマートファンを開いたスマートファルコンはファンに向かって呼びかける。
「急なお願いでごめんなさい! みんなにお願いがあるの。私の動きを真似て『おっきなハート、あなたに届け~♪ キラキラ、きゅる~~~ん!!』っていうポーズを共にエールを送って! お願いします!!」
終了後。突然のお願いにもかかわらず、各方面からエネルギーがスマートファルコンへと流れ込んでいく。そのエネルギーの流れは時間が経つに比例し、ついにはスマートファルコンの身体が宙に浮くほど氣が流れてこんでいった。
「ファル子さん!」
「は、はい! おっきなハート、あなたに届け~♪ キラキラ、きゅる~~~ん!!」
赤面しながらスマートファルコンはコパノリッキーに向けてエールを送る。エールと共にスマートファルコンからコパノリッキーに強大な氣が流れ込んでいく。
「す、すごい! これなら!」
再び印を結び、八卦陣を描く。コパノリッキーから神々しい赤い炎をまとった巨大な龍が怪獣オグリに向かっていく。
ッッッ!!??
自衛隊の攻撃にもどこ吹く風だった怪獣オグリがギョッ!? と迫りくる巨大龍に向かって身構える。怪獣オグリと巨大龍とがぶつかり合う衝撃に地面が大きく揺れて、空気の振動でガラスが周囲に散乱する。
う、う……うわあああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!
天へと昇ろうとする巨大龍に地上に踏みとどまろうとする怪獣オグリ。だがいかに巨体とそれに見合う体重を持つ怪獣オグリであっても、全国から送られた人々のエネルギーには敵わなかった。
怪獣オグリの腹に巨大龍が食らいつくとそのまま天へと上昇。そのまま宇宙へと飛び立っていた。
その後怪獣オグリはハレー彗星に不時着。それは次のハレー彗星が来るまで怪獣オグリの脅威に怯えなくていいことを意味した。
こうしてコパノリッキーとスマートファルコンによって日本は平和を取り戻した。
「うわ~、『おっきなハート、あなたに届け~♪ キラキラ、きゅる~~~ん!!』……デジタルタトゥーだよ!!」
スマートファルコンに消したくても消えない自分史を残して。