トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
この日。メジロ家では華やかなパーティーが行われていた。
「ふぅ……」
会場の熱気と興奮に少し火照った身体を夜風で冷やそうと、エメラルド色の雪と表現されるようなドレスに身を包んだメジロアルダンは会場を出てバルコニーへ行く。
「やはり涼しいですね。気持ちいい」
スゥっと夜風がメジロアルダンの身体を通り抜ける。
「あら……」
視線の先にメジロアルダンは何かを見つける。それは青い鳥だった。メジロ家に仕えるメイド達が住む部屋のベランダに青い鳥は羽を休めていた。透明感のある美しく、触れれば壊れてしまいそうな青い鳥にメジロアルダンは自分と重ねて静かに微笑む。
「アルダン。どうしたんだ、こんな所で? 風邪をひいてしまうぞ」
メジロアルダンが振り返る。そこにはメジロ家のパーティーに出ても場違いではない正装をした自身のトレーナー(以下アルトレ)が立っていた。
「心配をおかけしてごめんなさいトレーナーさん。ちょっと夜風に当たりたくて……」
「……そうか」
その言葉に安堵したアルトレが少しだけ笑う。その笑顔にメジロアルダンはアルトレが自分を本気で心配して探していたのだと悟り嬉しくなる半面、何も言わずにバルコニーに来てしまった自分を反省する。
「あ、トレーナーさん。あれを見て下さい」
メジロアルダンが青い鳥が止まるベランダを指さす。
「ん?」
アルトレはメジロアルダンの指先を追う。そこにはベランダで吊るされた女性物の下着があった。
「ふふ、綺麗ですよね」
彫刻のように微動だにしない青い鳥に心静かに呟くメジロアルダンに、アルトレは困惑した。
(……え? 下着が? いや、確かに綺麗な下着かもしれないが……そんな絵を鑑賞するような顔で言うことなのか!?)
「あ、あの……アルダン。これはどういう──」
「しー。あまり大きな声を出さないで下さい。気づかれてしまいますから」
(た、確かに下着を見ていると他の人に気づかれてしまうな……じゃなくて、俺は別に下着が見たいわけじゃないんだけど!! ってアルダンは俺が女性の下着がめちゃくちゃ見たい変質者だと思っているのか!? というかアルダンな中では俺は変質者確定だったのか!? 別に俺は女性の下着に興味がない……とは断言は出来ないけど、少なくとも担当バの前で下着を鑑賞できるほど変質者ではないぞ!!)
人差し指を口元に寄せるメジロアルダンにアルトレは混乱する。
ビュー!
パサパサッ
二人の存在に気がついたのか、青い鳥は周囲を見渡しどこかへと飛び立った。同時に瞬間的な突風によって吊るされていた下着がどこかへ飛んでしまった。
「あら、いなくなってしまいましたね」
(えぇ!? そんなに下着が見たかったの!? というか下着なら飽きるほど見られるよね!? そんな残念そうにすること!?)
残念そうにため息を落とすメジロアルダンにアルトレの混乱に拍車がかかる。
「でも見れて良かったですね。トレーナーさんにも見てもらえて良かったです」
(ええええええっ!? 俺、そんなに女性の下着に執着する人間だと思われていたのか!? いや、そもそも俺は担当バの横で下着を鑑賞するような神経は持ち合わせていないから!! むしろ地獄なんだけど!!)
「それにしても綺麗でしたね。また見られるといいですね」
(いや、下着の感想を
「ふふ、それにしても綺麗な青色でしたね」
青い鳥を思い返すメジロアルダンに、アルトレは飛んでいった下着の色を思い出す。
(え、あれ青だったっけ? 俺には男の欲情を奮い立たせるような赤に見えたけど? ……って俺は一体何を言っているんだ!?)
「あ、あれ……青だっけ? ごめん、俺には赤に見えたけどな……」
(何を言っているんだ、俺は!? というか何で俺は教え子と共に自分が下着を見たと言わないといけないわけ!? 誰か説明してくれ!!)
アルトレの願いが通じたのか、メジロアルダンが首を傾げながら答える。
「あれ、私にはあの鳥は青に見えましたけど?」
「え?」
(……青い鳥?)
アルトレは思い出す。吊るされた下着のベランダに青い鳥がいたことを。
「……あの、トレーナーさん?」
顔を引きつかれ冷や汗を流し始めるアルトレを疑問と心配が入り混じった顔でメジロアルダンが尋ねる。
「あ、いや……何でもない。ささ、少し寒くなってきたから会場に戻るとしよう!」
(やばっ! アルダンに俺が下着を見ていたと思われなくて良かった! アルダンが俺を担当バが隣にいるにも関わらず女性の下着を鑑賞するド変態だと思われてなくて良かった!!)
メジロアルダンに心情を悟られないように平静を装いながら、アルトレはメジロアルダンと共に会場へと戻っていった。
アンジャッシュだったらもっと面白く出来るんだろうな、と思う今日この頃。
というかアンジャッシュの大島さんと渡辺さんがまたコントをする日はあるのでしょうか?