トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
「ターボが来たぞ!」
「うわっ!? いきなり何なの、ツインターボ師匠!?」
ノックもせずにバンッ! と扉を開ける外着のツインターボにトウカイテイオーは驚く。
「師匠はいらない! ツインターボだ!」
ツインターボが突っ込みを入れるとトウカイテイオーの手を取る。
「さぁ、行くぞトウカイテイオー!」
「……え? どこに?」
突然のことにぽかーんとするトウカイテイオーにツインターボは頬を膨らませる。
「テイオーは約束した! ターボとお化け屋敷に行くって!」
「……え? 僕、約束したっけ?」
「したもん! テイオー約束したもん!!」
首を傾げるトウカイテイオーにツインターボは
「テイオーがベンチで雑誌を読んでいた時に約束したもん! ターボと一緒にお化け屋敷に行くって!!」
(……あ。そういえば何か適当にそんなことを約束した……というより約束させられたような気がする)
当時、自分の特集が掲載された雑誌をベンチで読んでいたトウカイテイオーはツインターボに絡まれた。雑誌に集中したかったトウカイテイオーは適当に受け答えその場を取り繕ったことを思い出した。
(でも僕は別にお化け屋敷に興味ないんだよなぁ……ん?)
ぴろり~ん!
メールが来た音にトウカイテイオーはスマートフォンを開く。
『あ、テイオー。おはよう。ネイチャさんです。
うちのターボが『今日はテイオーとお化け屋敷に行くんだ!』と嬉しそうにはしゃいでいたからめんどくさいと思うけど今日はよろしくね』
「……う~ん」
ナイスネイチャからのメールを確認したトウカイテイオーは悩む。自分はお化け屋敷に行くつもりはない。しかし嫌々とはいえ約束をしてツインターボはそんな自分との約束を楽しみにしていた。約束をしていながら自分からそれを
「……うぅ、わかったよ。じゃあ着替えるからちょっと待ってて」
「うん! ターボ待つ!!」
めんどくさそうに着替えを始めるトウカイテイオーとは対照的に、ツインターボは「テイオーとお出かけ♪ テイオーとお出かけ♪」と着替えが終わるまで上機嫌でスキップをしていた。
一時間後。コウレンランド。
金融業を中心にカジノやホテルなど多角的な経営を行っている日本有数の巨大企業、
その中でお化け屋敷はリニューアルされ、訪れたウマ娘には特典がもらえるとのことでツインターボはトウカイテイオーを誘った。
「いくぞ、テイオー!」
「う、うん……」
特典とどんなお化け屋敷なんだろうという期待に満ち溢れたツインターボとは対照的に、気乗りがしないトウカイテイオーは渋々お化け屋敷に入る。
今にもお化けや出そうなBGMに薄暗い屋敷内。冷たい風が二人の間を通り抜ける。
「……あれ、お化け出てこないな」
考えもなしにどんどんと前に進むツインターボに少し身体を震わせながらついていくトウカイテイオー。
「……」
そんな後ろを歩くトウカイテイオーにツインターボは振り返り疑問をぶつける。
「……テイオー。もしかしてビビッているのか?」
「ッ!? ……そ、そんなわけないじゃん! 僕は無敵のテイオー様だよ。お化け屋敷なんかにビビるわけが──」
トウカイテイオーは言葉を失う。目の前の墓石から異常ともいえる長さの舌が伸びたからだ。
「あ、あああ、ああああああ!?」
「? どうしたんだ、テイオー?」
震える指でトウカイテイオーは墓石を指さす。
「ん?」
ツインターボが墓石を見る。
「……何もないぞ? やっぱりビビッているのか、テイオーは?」
ニヤッとツインターボがトウカイテイオーへと振り返る。と同時に墓石から長い舌が伸び出る。
「い、今! ……舌が……舌が!!」
「ん?」
ツインターボが再び墓石を見る。しかしツインターボが墓石を見ると、先ほどまで伸びていた舌は影も形もなかった。
「どうしたんだ、テイオー? おかしいぞ?」
ツンツン、ツンツン……
何かがツインターボの肩を叩く。
「誰だ? ターボの肩を叩くのは──」
振り返ったツインターボは絶句する。そこには
あたし……お化けなの~~~
ツインターボの目の前に、舌を伸ばした墓石の姿が。
「「いぎゃああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!??」」
恐怖で半狂乱になったトウカイテイオーとツインターボはお化け屋敷の備品を破壊しながら一目散にその場を逃走した。
「……あらら。ちょっとやりすぎちゃったのかも」
お化け屋敷の短期アルバイトでお化け役をしていたアイネスフウジンが墓石から「ふぅ……」と汗をぬぐいながら顔を出した。
後日。トウカイテイオーのトレーナー(以下テイトレ)の部屋。
「「…………」」
テイトレとツインターボのトレーナー(以下ターボトレ)は、トウカイテイオーとツインターボがお化け屋敷を破壊したことによる修繕費の請求書を見て固まっていた。
「……なぁ、ターボトレ。これって見なかったことに出来ないかな……」
「……あぁ、見なかったことにしよう。テイトレ……」
現実逃避に二人は請求書をゴミ箱に破り捨て、部屋を後にしようとする。しかし
「「う!? うぐ……──」」
外に出た瞬間、サングラスに黒いスーツという異様な恰好をした男達に何らかの液体がしみ込んだハンカチで口元を塞がれ、意識を失わされた。
その後二人はフランス語で希望という意味を持つ