トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
「ふふっ、今日はいっぱい食べちゃいました。エビイカホタテ、ズワイガニの全部乗せお好み焼きに、はちみーマシマシドリンク……もぉ~、明日トレーナーさんにもの凄いトレーニングを課されちゃいますね」
と明日起こるであろう未来に苦笑いを浮かべながら、ヒシミラクルは嬉しそうに中央トレセン学園へと続く公園を通って帰ろうとしていた。
ひゅーーー
「ん?」
上空から何かが落ちていく音に、ヒシミラクルは上を見上げる。すると
どーーーんッ!!
上空から落ちてきた何かはヒシミラクルの近くにあったごみ箱に落下。同時に舞い上がる
「げほげほっ! ……ん、いったい何が?」
ヒシミラクルがごみ箱を
「……う~ん、何ですかね。これ?」
ごみ箱から電子ジャーを取り出したヒシミラクルは付いていたお札をはがす。すると
ぼわっ!
大量の白い煙と共に何かがヒシミラクルの前に姿を現した。
金髪に陶磁器のような肌、整った顔立ちに汚れ一つない真っ白な衣服に身を包んだ、神々しいオーラを放つ女性にヒシミラクルは「すごいきれい……」と
「貴女が封印を解いてくれたのですね? ありがとうございます。私は女神です」
「わはぁ……女神様でしたか! これはすごいですね! あ、私はヒシミラクルっていいます」
ペコリと頭を下げる女神に、驚いたヒシミラクルも慌てて頭を下げる。
「……えっと、ところで。なんで女神様は電子ジャーに封印されていたんですか?」
「ッ!? ……そ、それは神事に関わることなのでお答えすることは出来ません!」
そう言って女神は「こほんっ」と咳払いをしてごまかす。
「……そうだ。私の封印を解いてくれたお礼として、一つ願いを叶えてあげましょう。何でもいいですよ、ヒシミラクルさん」
「わぁ! 願い事を一つ叶えてくれるんですか!? ……これはすごいですね!」
ヒシミラクルは腕を組んで考え込む。
(ククク、バカな娘め!)
思案するヒシミラクルに、女神は心の中で邪悪な笑みを浮かべる。
(オレ様は女神じゃねぇ! 遠い昔にとある武道家に電子ジャーに封印された悪魔だよ!)
表面上は美しい女神を演じたまま、悪魔は思い返す。
(オレ様は願いと引き換えに願いを言った者の魂を食らって自分の力にする悪魔だ。あの謎の武闘家に封印されるまでは色々な奴の願いを叶えてやったな。
「大金持ちになりたい!」って願ったやつは
そして「石のような永久の美を!」と言った女はそのまま
どいつもこいつもバカばかりだよな。願いを叶えてくれるやつが何も考えていないと思い込んでいるんだからな!)
「さぁ、ヒシミラクル。貴女の願いを」
(言え、ヒシミラクル! オレ様はそれを叶えてやろう。ちょっっっっっっとだけ望んだ形ではないかもしれないが!)
「う~ん、そうですね」
考えがまとまったヒシミラクルは口を開く。
「ついさっきだったら『お好み焼きのスペシャル玉!』って答えていたんですけど、それはつい先ほど食べてしまいましたし。他の
ヒシミラクルの次の言葉に、悪魔は
「私には叶えてもらいたい願い事はないので、消えて下さい(帰って下さっていいですよ、という意味で)」
ヒシミラクルがそう言った瞬間。美しい女神から一変、黒い肌に牙と尻尾・羽を生やした悪魔の体が光に包まれる。
「い、嫌だ!! オレ様は、オレ様は消えたく……な…………──」
悪魔の願いはむなしく、悪魔の体は光の粒となって空へと昇っていった。
「……なんだったんでしょうか?」
それ以上のことは考えず、ヒシミラクルは古びた電子ジャーを近くを「古びた家電、何でも無料でお引き取りします!」とスピーカーで案内をしていた通りかかった廃品回収業者に手渡すと、中央トレセン学園へと帰って行った。
後日。
「今日はダイエットも兼ねたプールでのスタミナトレーニングだ! 覚悟しろ!!」
と鬼の形相で自身のトレーナーにプールに投げ込まれたヒシミラクルは「女神様にプールトレーニングがない世界にして下さいと願えばよかった!」と後悔した。
発想の元ネタは高橋留美子先生の『犬夜叉』に登場する四魂の玉。
ネタバレ防止のため深くは語りませんが、一言で言うならば『本当に全ての元凶』。
もう一つはとある小噺。
とある金持ちが
「お前に大金を無利子で貸す。それを10年後に返してくれ。なお一円でも不足していたらお前の命を奪う」
と言われて男が断るというもの。
「バカな男だ。それを銀行に預ければその分儲かるのに!」
と嘲笑する金持ちに男が一言。
「アンタみたいなのと10年も付き合うなんてごめんだ!」
電子ジャーは鳥山明先生の『ドラゴンボール』の電子ジャーと魔封波。