トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜   作:筆先文十郎

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ミスターシービー誕生日回。


ミスターシービーと山登り

「明日山に登ろうと思っているんだけど、キミはどうする?」

「え?」

 トレーニングが終わり「明日の休日はしっかり休んでくれよ」とミスターシービーのトレーナー(以下シビトレ)が言った直後、ミスターシービーが尋ねた。

「え、俺?」

 突然の質問に少しだけ止まった後、シビトレは思い出す。

「う~ん、特に予定はないな。じゃあ俺も一緒に山に登ろうかな?」

「わかった。じゃあ明日朝5時に駅前で待ってる」

 そうしてシビトレはミスターシービーを送ると自らの部屋に戻って準備を始める。

「山登りか。久しぶりだな」

 シビトレはクローゼットを開ける。

「お、あったあった。処分しなくてよかった!」

 シビトレは隅に片づけられていたスニーカー、複数のウェア、リュックを取り出し実際に着て確認する。

「よし、どこか破れていたり穴が空いていたりとかは問題はないな! あとは……」

 シビトレは晩飯も兼ねて水や食料などを買い込むと明日に備えて早めの晩飯を食べて就寝した。

 

 翌日 駅前。

「それじゃあ行こうか……どうしたの?」

「……いや、行こう」

 ミスターシービーの恰好を見て、シビトレは固まった。

 ミスターシービーのトレードマークの『シビ』のバッジが付いた白いミニハットが付いた麦わら帽子を被り、背中に竹が綺麗に編み込まれた大きな(かご)。手には大きな(くわ)に腰には小ぶりなリュックを帯びていた。着ている服は汚れてもいいようなヨレヨレのジャージとシビトレとは明らかに服装は違っていた。

(もしかして俺は何かとんでもない思い違いをしていたのか?)

 そんな思いが付きまとい、ミスターシービーとの会話が入ってこない中で電車に揺られること数時間して歩くこと十数分。

「着いたよ」

「……ここ?」

 ミスターシービーと共に山に登ったシビトレは固まる。目の前に広がる光景、それは竹林だった。

「あの、シービー。俺、山登りって聞いたんだけど?」

「……あぁ!」

 その言葉にミスターシービーは納得する。

「だからキミは何かガチめの服装だったんだね。ごめん、ここの竹林に行くのに少し山に登らないといけないからつい『山に登る』って言っちゃった。誤解を招く発言をしてごめんね」

「……あ、いや。大丈夫だよ」

 想像していた山登りとは違うものの「これはこれで!」とシビトレはすぐに切り替える。

「ところで、この竹林。綺麗に整備されているみたいだけど……入っていいのかい?」

「えぇ。竹林(ここ)持ち主(オーナー)には話は通しているから。それじゃあタケノコを探しましょう」

 そう言うとミスターシービーは(たけのこ)を見つけるため、獲物を狙う猛禽類(もうきんるい)のような目で地面を見ながら前に進む。シビトレもリュックなどを下ろしてミスターシービーと同じように地面を見ながら歩く。

「……ん。あ、あったよ!」

 ミスターシービーが指をさす。そこには地面がポコッと膨らんでいた。近づいたミスターシービーが周りの枯れて落ちた笹の葉をどけると、ちょこっと筍が地面から顔を覗かせていた。

「それじゃあ掘ろうか」

 軍手を着けたミスターシービーが筍を傷つけないように気をつけながら周囲の土を取り除き、鍬を使って掘っていく。そして

「取れたよ!」

 満足した笑顔で汗をぬぐったミスターシービーが筍を見せる。土が付いた筍は夜の間に養分や水分をしっかりと吸い上げていたからか、みずみずしい筍がその手にあった。

「じゃあ早速食べようか?」

「え?」

 驚き固まるシビトレをよそに、ミスターシービーは周囲に気をつけながらガスコンロと小ぶりの鍋を取り出し水と適量の塩を入れて沸騰。五分ほど湯がくと水を入れたボールに筍を入れて冷やし、キッチンペーパーで水気を取った後に包丁とまな板で薄く切った後に紙皿に綺麗に並べたものを二人の間に置いた。

「さあ、いただこうよ」

「……あ、あぁ」

 割り箸を割り「いただきます」と手を合わせると別の紙皿に醤油を垂らして食べる。

「うん、シャキッとした歯ごたえがあって……ちょっと舌にまとわりつくような苦みがあるけど……野菜では味わえない苦みで。すごい……すごい美味しいよ!」

「ははっ、何それ!」

 どこかの語彙(ごい)(りょく)がなくなったウマ娘のような感想に、目に浮かんだ涙を指で拭きながら笑う。

 ミスターシービーから筍を見つけるコツを教わったシビトレはその後もミスターシービーと共に筍を掘り満足した様子で家へと帰った。

「さて、と」

 夕方。筍ごはん、筍の天ぷらなどを作ったシビトレはテーブルに並べられた筍料理を見てシビトレは嬉しそうに自分の料理に頷く。

「そして一番はこれ!」

 シビトレは満面の笑みで一つの皿を持ち上げる。それは朝食べた筍の刺身だった。

「それじゃあ、いただきます!」

 手を合わせたシビトレはわさび醬油に筍をつけてパクッと口に含んだ。

 

 

 

「ブウウウゥゥゥッッッ!! えっっっぐぅぅぅっっっ!!」

 筍は時間が経つとえぐみが増す。そのことを知らなかったシビトレは筍を弾丸のように吐き出した。

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