トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜   作:筆先文十郎

85 / 121
ダイイチルビー誕生日回。


ダイイチルビーとおにぎり

 休日 ダイイチルビーのトレーナー(以下ルビトレ)の部屋。

「く~、色々と手を加えないこの素朴さがいいねぇ!」

 ビールの缶を片手に、ルビトレが握ったおにぎりをパクッと口にしたメジロマックイーンのトレーナー(以下マックトレ)が嬉しそうに呟く。

「シャキシャキ! うん、この一本丸ごと漬けたキュウリの浅漬けも!」

 サトノダイヤモンドのトレーナー(以下ダイヤトレ)がみずみずしい歯ごたえを味わいながら食べ進めていく。

「そうか。それは良かった」

 そう言うとルビトレは鮮度はいいが傷がついたため安くなった、見切り商品の大根で作った煮込み大根が入った鍋を二人の前に置く。

「おぉ、これも美味そうだ!」

「そんじゃあさっそく……」

 マックトレとダイヤトレは取り皿に乗せると辛子(からし)などの調味料をつけて口に運ぶ。

 

「「……!」」

 

 味わうのに必死で言葉にする時間も惜しい二人はルビトレにグーサインで煮込み大根の美味しさを伝える。

「そうか、それは良かった」

 その反応にルビトレの口元がほころんだ。

 

 華麗なる一族のダイイチルビー。

 代々多くのアスリートウマ娘を輩出してきた大富豪・メジロ家のメジロマックイーン。

 メジロ家と比べるとまだ歴史の浅い新興の家系ではあるが、競走ウマ娘界の発展に並々ならぬ力を注いでいるサトノ家のサトノダイヤモンド。

 

 そんな彼女たちのトレーナーを務める彼らは、彼女たちが出席するパーティーに呼ばれて今まで食べたことのない豪華な料理に舌鼓を打った。

 しかし普段からそういった料理を食べていない彼らにとって懐に優しい料理の方が心が落ち着いた。

「やっぱり豪華な料理もいいけど、こういったお金のかからない料理の方が落ち着くよな!」

「「まったくだ!」」

 ルビトレの言葉に二人は同意した。

 

『やっぱり豪華な料理もいいけど、こういったお金のかからない料理の方が落ち着くよな!』

「…………」

 ルビトレの言葉を部屋の外で高級菓子の箱を持ったダイイチルビーが聞いていた。

「……私は私に合わせてくれるトレーナーさんの苦労に気づかず。このお菓子は日ごろの感謝をこめてと思って用意したのですが……これは不要のようですね」

 少し悲しい表情を浮かべた後、ダイイチルビーはその場を去って行った。

 

 翌日。

 ダイイチルビーは家の厨房で炊きたてのごはんに四苦八苦しながらごはんを握ろうとしていた。

「お嬢様、何故このようなことを……」

 お抱えのコックが心配そうに尋ねるがダイイチルビーは首を横に振る。

「何も聞かないでください。これは私が超えなければいけない試練ですので」

 決して大きくないが覚悟がこもった声で言われてはコックは黙るしかない。

 そうしてダイイチルビーはコックが見守る中、おにぎりを作っては味見を繰り返し、後日ルビトレに「お昼にどうぞ」とおにぎりを手渡し「美味しいよ!」というルビトレの言葉に口元を緩ませた。

 

 

 一方。

「い、いや。マックイーン! もう無理……」

「た、頼む。許してくれ……」

 マックトレとダイヤトレはガチョウやアヒルに大量の餌を与えて肝臓を肥大させるフォアグラのように高級料理を食べさせられた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。