トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜   作:筆先文十郎

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ミスターシービーの山登りの裏側&サクラバクシンオーと鮒ずしのその後

 皇恋(こうれん)本社ビル

「よーし! あと数時間頑張れば……」

 利根澤(とねざわ)幸雄(ゆきお)は内ポケットからスケジュール帳を取り出し何度も確かめる。

「よし、明日は休み……三週間ぶりの休みだ……! それも土日……!」

 上司であり皇恋グループでは神的存在である会長、馬数寄(うますき)の個人的な理由で利根澤は何度も休みを潰されてきた。

「しかし今日の会長は上機嫌。部下達にも会長のご機嫌を損なわないように充分配慮している。あと数時間でワシにとって三週間、二連休に限れば三か月ぶりの──」

 

 プルルルルッ! 

 

「はい、利根澤です!」

 条件反射的に利根澤はワンコールで出る。

『おい、利根澤か……』

「か、会長……!」

 老人特有のかすれた声に心の底から人を恐怖にさせる低い声、馬数寄和孝に利根澤は背筋をピンっ! とさせる。

『今すぐワシの部屋まで来い……』

 それだけ言うと馬数寄は電話を切った。

「い、急がなければ……!」

 

 会長の『今すぐ』は本当に今すぐ。

 

 その事を骨身にしみている利根澤は多少の障害物は気にせず全速力で走った。

 数分後。

「利根澤、特別にお前にも読ませてやろう……」

 両手で手渡す馬数寄に、利根澤は嫌な予感を覚えた。

(普段の会長ならポイッと投げて『読め!』というはず……。その会長が両手でワシに手渡した。これは絶対にろくでもないことになるぞ!)

 覚悟を決めて、利根澤は手紙を読む。

 

『お久しぶり、馬数寄のおじいちゃん。ミスターシービーだよ。今日はおじいちゃんにお願いがあって手紙を書いたんだ。次の日曜日にタケノコ掘りに行こうと思っているんだ。だから例の竹林でタケノコ掘っても大丈夫かな? 『いいよ!』って言ってくれると嬉しいな』

 

 読み終えた瞬間。利根澤は全てを悟った。次に会長が何を言うのかも。

「で、だ。利根澤……お前には日曜日にミスターシービーちゃんが竹林でタケノコが掘れるように万全な下準備をするように命じる……」

「ッ!!」

 予想通りの馬数寄の言葉に、利根澤は口を開けて固まる。

「ん? なんじゃ利根澤。まさかお前、ワシの命令に不満──」

「何をおっしゃいます会長……! そのような……」

 慌てて首を左右に振って否定する。

「ミスターシービーさんのタケノコ掘りに貢献できるなんて幸せ以外何物でもありません。早速部下を集めてタケノコ掘りが無事に出来るように山道と竹林の整理、イノシシなどの害獣が来ないように万全の準備をします! では……」

 そう言うと利根澤は馬数寄に一礼し部屋を出るとすぐに部下に連絡。部下達を引き連れ竹林へと向かって行った。

(ワシの、ワシの休暇が……)

 と理不尽さに泣きながら。

 

 

 

 サクラバクシンオーと鮒ずしのその後

 とある店。

「うっふっ……!」

 青ざめるサクラバクシンオーは、せり上がる自身のげっぷの臭いに気分を害してとっさに口元を抑える。

 鮒ずしを食べた翌日。『この教訓を無駄にしないために明日ホンオフェを食べようと思うのだが……どうする?』と尋ねた自身のトレーナー(以下バクトレ)に、『はい! そのホンオフェという料理、ぜひ食べに行きましょう!!』と答えたサクラバクシンオーは宣言通りホンオフェを食べにとある韓国料理店に足を運んだ。

 エイを醗酵させる際に出るアンモニア臭で、世界第二位と言われる悪臭料理のホンオフェ。

 そのことを知らなかったサクラバクシンオーはホンオフェの臭いに後ずさりしたものの学級委員長としての誇りと共に完食。口から上る悪臭に耐えながら店を後にした。

「いやぁ~、臭いは臭かったけど……けっこうクセになる味だったな!」

 同じく口からアンモニア臭を漂わせながら満面の笑みでバクトレは言った。

 

 

 

「じゃあ来週は世界一臭いと言われるニシンを塩漬けにした缶詰で、集合住宅で開けた際に異臭騒ぎになったこともあるという『シュールストレミング』を食べてみるか!」

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