トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
リーンコーン! リーンコーン!
共に歩むことになる男女が結ばれ、新たなる二人の門出を祝福する鐘の音が周囲に響き渡る。
チャペルの入り口から祭壇に向かって真っすぐに延びる通路を歩く純白のウエディングドレスに包まれたゴールドシチーのマネージャーと漆黒のタクシードのゴールドシチーのトレーナー(以下シチトレ)に、
「マネージャーさん、おめでとう!」
「シチトレ! 女房を泣かせるんじゃねぇぞ!」
両サイドに座る席からモデル業の関係者やトーセンジョーダンのトレーナーを始めとするトレーナー仲間達が二人に向かって祝福の言葉を投げかけると同時にパシャパシャ! とフラッシュとともにカメラのシャッター音があちこちで鳴り響く。
そして司会者の開宴のあいさつからの新郎新婦の紹介、主賓のあいさつ、乾杯からの会食、ケーキ入刀をした後に新郎新婦がお色直しのために中座。お色直しをした後に進行役がマイクを取る。
「それでは新郎新婦、お二人にご関係の深いゴールドシチー様より友人代表のスピーチをお願いします」
パチパチパチ! という拍手とともに黒やベージュなどシックな装いの上品なフォーマルワンピースをまとったゴールドシチーがマイクの前に立つ。
「あーあー」
マイクを調子を確かめたゴールドシチーが軽い深呼吸をするとポケットから手紙を広げる。
「マネージャー、トレーナー。今日と言う日を迎えられたことを喜び申し上げます。二人には本当に頭が上がりません。本心ではモデルの仕事に集中してほしいと思いつつも「レースに出たい!」というアタシのわがままを聞いてくれてレースとモデルを調整し、苦労しながらも全力で支えてくれたマネージャー。
誰もがモデルに集中するべきだと言いアタシを人形のように扱う人が多い中、レースで勝ってアタシがアタシだという証明がしたいという思いを汲み取って、モデルとレースというコンディションが整えにくい状況にも指導してくれたトレーナー。
二人には感謝の気持ちしかありません」
ゴールドシチーの言葉にマネージャーとシチトレはうっすらと涙を浮かべる。
「二人にはこれから幸せに……幸せ、に…………あれ?」
用意した手紙の文字が急ににじむ。それが自身が流した涙ということにゴールドシチーは気がつかなかった。
「……!」
自身のベッドでゴールドシチーはパチリ! と目を開く。ふと目元を触ると涙の後があった。
「……! 何でアタシが泣かないといけないわけ!?」
ふつふつと怒りの感情が沸き起こる。
「あいつが誰と結婚しようが関係ないじゃない! っていうかマネージャーも何であんなヤツと結婚しているのよ!? あんなムカついて、ウザくて、ストーカーで人の話を盗み聞いた上にスマホを勝手にみるデリカシーのないバカで、……お人よしで、熱血で、優しくて、モデルやレースを諦めようとしたアタシをどっちも追いかけるべきだ! とアタシも気づいてなかったアタシの本当の気持ちを察した……ってこれじゃあのバカをけなしているのか誉めているのかわかんないじゃないの!!」
こうしてベッドの上で憤慨するゴールドシチーだった。