トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
西山牧場を救った名牝に
感謝を込めて
西山 茂行
ニシノフラワーの墓標より
ニシノフラワー誕生日回。
「うえーん! うえーん!」
「ん?」
ニシノフラワーと一緒に昼食を食べたセイウンスカイは中央トレセン学園に戻る途中で、公園で
「あらら、かわいそうに……」
自分には関係ないとそのまま通り過ぎようとしたセイウンスカイの横で
ダッ!
ニシノフラワーが泣いている子どもの元へ駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
優しく問いかけるニシノフラワーに子どもはブンブンと泣きながら首を横に振る。
「大丈夫ですよ、ちょっと痛いの少し我慢して一緒に来てね」
ニシノフラワーは痛みが
「どう、まだ痛い?」
「うぅん! ……あ、ちょっと痛いけどさっきまでと比べたら痛くないよ!」
痛みで多少顔をゆがめつつも笑顔で答える子どもに、心配そうに尋ねたニシノフラワーに笑顔が浮かぶ。
そうしていつの間にかニシノフラワーの隣に立っていたセイウンスカイは、足を多少ひこずりながらも公園を後にする子どもを仲良く見送った。
「いや~、フラワー。すごい手際がよかったね。まるで本物のお母さんみたいだったよ」
冗談ぽく言うセイウンスカイに
「あはは、じゃあスカイさんが私の旦那さんですか?」
と笑顔で返すニシノフラワー。
「え? セイちゃんがフラワーの旦那さん?」
その瞬間。セイウンスカイの脳裏にある光景が浮かんだ。
『あ~、疲れた……』
電車に揺られて疲労で足元もおぼつかないスーツ姿のセイウンスカイは鞄を持つ反対の手でネクタイを緩ませながら家路を歩いていた。朝の満員電車から始まり二転三転する上司の発言、自分の要求ばかり突きつけてくる理不尽な取引先。昼に食べた愛妻弁当という息抜きでは消化しきれないほどのストレスがセイウンスカイの心身を削っていた。
『あ~、ただいま……』
鞄から鍵を取り出しドアを開けた瞬間
『パパ、おかえり!』
リビングからニシノフラワーの髪色を引き継いだ小さな息子がセイウンスカイに向かってジャンプし、セイウンスカイが慌てて受け止める。そんな父と息子の様子を
『ふふ。あなた、おかえりなさい』
とエプロン姿のニシノフラワーが微笑みながら見守っていた。
「あ~、仕事の疲れが吹っ飛ぶわぁ~」
「ちょ、スカイさん!? スカイさん!!」
鼻から血を流しながらうわの空で妄想にふけるセイウンスカイに、ニシノフラワーが必死にティッシュで血を止めようとしていた。
そんな二人がよく見える公園の茂みで
「はうぅ……」
偶然盗み見てしまったアグネスデジタルが尊死していた。
この話が88話目。88→母。
すごい偶然(笑)